『四畳半神話大系』���森見登美彦

四畳半神話大系 (角川文庫)
森見 登美彦
角川書店  2008-03-25

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 殻を破れない引っ込み思案系の大学���回生の「私」が展開する、���つの並行世界での学生青春ストーリー。

 『夜は短し歩けよ乙女』が面白かったので、森見登美彦を読んでみようということで、まず文庫になっていたコレを買ってみた。初版は2004年で『夜は短し���������』の2年前で、なんだか納得してしまった。『夜は短し…』のほうが、こなれてる。『四畳半神話体系』は、「私」の大学���回生が、「あのときこうしていたら���������」形式で���話語られる物語で、���話目の印象を持って���話目、���話目、と読み進めていくと、「結局コレは出てくるのか���」「これはこっちの世界ではこうでてくるか���」という面白さはあるんだけど、「並行世界」という印象を強く残すためなのか、全く同じ文章が出てくる箇所があり、そこが、ちょっとスピード感を欠くときがある。森見作品独特の、時代錯誤近代文学的言い回し台詞回しも、同じフレーズが反復して出てくるので、小気味よさがちょっと足りなくて、読み進めるスピードがちょっともたつくのが残念。

 それでも『夜は短し…』とちょっと違うのは、最終話『八十日間四畳半一周』が、���話の中で最も荒唐無稽で有得ないシチュエーションなのに、少し胸震わせるものがあるのだ。この登場人物この話で胸震わされるのも情けないといえば情けないのだけど、日常少し忘れているような感覚をくっきり浮かび上がらせるのに、こういう荒唐無稽な仕掛けってやっぱり有効なんだなあと再認識した。

���������「自分に言い聞かせながらも、私は挫けかけていた。」
������������「向上心を持つのは悪くないことだが、目指す方向をあやまると大変なことになる。」
������������「ドッと体の力が抜けるように思われたが、師匠が涙を拭いながら感激しているので、こちらも二万哩にも及ぶ壮大な旅が終わったことに感激しかけた。」
������������「柔軟な社交性を身につけようにも、そもそも会話の輪に入れない。」
������������「ここまで閉鎖的な愛の迷路に迷いこんだら、帰り道が分からなくなるのは必定である。」
������������「もしここに小津がいれば、完膚なきまでに馬鹿にしてくれたことであろう。」