『トゥルー・ストーリーズ』���Paul Auster

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)
Paul Auster 柴田 元幸
新潮社  2007-12

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 読了していて感想が書けてなかった本その���。

 この本に限らず、今年読んだ海外物で得たことはすべて共通していて、「今までアメリカ的と思いこんでいたことが必ずしもそうではなく、アメリカでも成功している企業や人は、少なからず、いわゆる”日本的”な価値観や行動規範で活動している」ということ。結局、真に素晴らしい価値観や行動規範というのは、洋の東西を問わず共通ではないのか���そういったものをめんどくさいと言わんばかりに、もっともらしい理屈をつけて軽視するのはやはり間違っているのだと自信が持てたこと。

 もうひとつ、この本から得たのは記憶力の大切さ。日々の暮らしを、どうでもいいと思い、何かにつけてイヤだダメだと言い募るような生き方をしていては、何も残らないということ。

p20 パーキングメーターに金を足すよう言ったのかもしれないし、何か買い物を頼んだのかもしれないが、確かなことはわからない。
p28 中国人に英語の個人レッスンをして生計を立てる
p33 もしかすると、私が手紙をそこに置くのは、自分自身の愚かさを肝に銘じるためなのかもしれない。自分が何も知らないことを忘れないため、
p39 あくまで自分がそうしたかったからそうしたのだ。
p70 自分の子供たちに好んで語るとおり、そうやって私は作家になったのである。
p75 時代遅れのやり方に聞こえるかもしれない。たぶんそうなのだろう。
p79 苦労して学んだ経験と知識を、この人は新年の核に持っているのだという感じが伝わってくるのである。
p83 大統領はアイゼンハワーであり、国全体が巨大なテレビコマーシャルになり果てていた。
p103 多数派の横暴を抑えるのが政府の務めなんです。
p112 たとえ人生が台なしになろうと、あの戦争に加わる気はなかった。
p116 その後耳にした噂では、国連の職に就いたという。
p122 自分の不安を表に出す代わりに、冗談や皮肉の雪崩の下にそれを埋めたのだ。
p143 つきつめて考えれば、それが最大の仕事でもあった。苛ついた荒っぽい不平を適当にあしらい、侮辱をかわし、負けずにやり返すすべを身につけること。
p156 自分のバランスを崩しつづけていたかったのだろう。
p163 私としても心のバランスを保つのに一苦労だった。
p173 戦争はあまねく偏在している。戦争はすべてを汚染しているのだ。
p212 むろん、新の恩人は詩人のジェームズ・メリルである
p231 あまりに冷たい、およそ礼儀も品位も無視した態度に私は唖然とした。
p236 愚者を信じれば、結局自分を欺く愚を犯すだけだ。
p279 時速三キロ以下のペースを自分に強いて初めて、見たいものが全部見えるんだ
p285 サルマン・ラシュディは自分の生活を取り戻そうと闘っている
p290 物乞いやホームレス
p292 都市のなかのある一点を選んで、それを自分のものと考えてみること。