失うということ

大切な人と別れること
ひとりぼっちになること
誰かに笑われてしまうこと
欲しいものが買えないこと

何を嘆いているのか もう一度確かめて
(『光芒』/B'z)
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B’z
VERMILLION RECORDS(J)(M) 2007-12-04

by G-Tools
この会社に転職して以来8年おつきあいしてきたお客様を失った。8年間、常に弊社で拡張や更新して頂いていたシステムを競合に奪われた。もちろんそのシステムを奪われたことイコールお客様を失うことではないが、通常システムは4,5年保守なのでその間は使い続ける、つまり向こう4,5年は大きなチャンスが回ってこないということになる。

お世話になったお客様なので感情的なものもある。当然守秘義務があるのでほとんど書くことはできないけれど、大体においてシステムというのはほとんどベンダーを変えることなく10年20年と使っていくか、短いスパンでその都度最適なベンダーを選ぶかのどちらかで、5年以上おつきあいしているお客様は会社にとっても「上得意」であり、「数字を読み込んでいる」お客様になる。そういうお客様を失うダメージは相当大きいのだけれど、長くおつきあいするタイプのお客様の場合、ベンダーが安穏としないように時折プレッシャーをかけるので、当然失うかもしれないという局面は回ってくる。現場は当然長くおつきあいしているので、どうも今回は風向きがまずいぞ、というのは早い段階から肌で感じられる。

それが入札のように条件が明確で期日も明確な選定なら戦いやすいけれど、たいていの民間企業はそんなにガラス張りで検討したりしない。満たさなければいけない仕様条件というのも担当者の胸三寸だったり、見積提示期限も1社だけ1日多く猶予されたりする。そんな中、この案件を落としたことの口惜しさというのは、多分に政治的なものが関与したと思われるところなのか、何が我々のディスアドバンテージなのか分かっていながら社内が動かなかったことなのか動かしきれなかったことなのか、この案件このお客様はこの5,6年は大きな需要が見込まれるのに自社はその未来を計算に入れた提案ができないことなのか、奪っていった競合がその5,6年の大きな需要の舞台を持ってマーケティング的に広めてくることがわかっているからなのか、いつか自社がその競合からWinBackしたときの取りざたされ方が面白くないからなのか。自分のメンツにこだわっているのだろうか。

しかし、この案件このお客様については、海外本社含めてやれることは全部やりきったという自負はある。これで勝てなかったのなら仕方がないと、結果が出る前に思うことができたくらいやりきった。でも実際に敗北が決定した今、このお客様にどう対処していくのかという現実的な課題とともに、進路についての大きな課題を突き付けられた思いでいる。

何を嘆いているのか もう一度確かめて