「仏像はなぜ撮影禁止なのか」を考えることでわかること

白毫寺の宝蔵入ったところに、「仏像はなぜ撮影禁止なのですか」というQ&Aが書かれていた。

建物内が撮影禁止の寺院はめずらしくはないと思う。そしてだいたいの人は、いちいち言われなくても、建物内、とりわけ仏像の類は撮影禁止だろうな、と了解してると思う。でも、なぜ撮影禁止??と問われてみると、頭に抱いているその答えを言葉にするときに、躊躇のない人は少なくないんじゃないかと思う。

白毫寺は簡明にこう教える:

「仏像は信仰の対象であって、鑑賞の対象である美術品ではないからです」

それ以上でも以下でもない。仏像の撮影禁止を調べると、推測されているいろんな理由が出てくる-フラッシュの光も悪影響だとか、著作権とか。そして、実はそういうのが禁止をしている本当の理由で、「仏像は信仰の対象であって、鑑賞の対象である美術品ではないからです」というのは表向きの、建前の理由だろうと言われたりする。

ここに見え隠れするのは「心がけ」の問題だ。事が宗教という、特に日本ではあまり真剣に扱われないことの多いものであったとしても、だからと言って真の理由は経済的な事情に起因するもの-撮った写真で金儲けされたら困るとか-だと考えること自体が、「心がけ」がなっていないということだ。確かに仏像は信仰の対象なのだ。写真を撮ったその人が、写真に対して拝むことは教義に反することなのだろうし、そもそも写真を撮った人が後日綿々とその写真を見続けるということもあまり想像つかない。つまり、その写真はただの「記録」、よく言って時折の「観賞用」というものだ。仏像の本来の使われ方からは程遠い。

こういう理由であることを、正面から受け止めて正面から語ることができるかどうかというのが、「心がけ」を実現する基礎だと思う。

ちなみに写真は白毫寺で買ってきた「閻魔様手ぬぐい」です!手染めですって。

大飯に行って

仕事で、大飯に行く機会がありました。

大飯発電所には、2年前に一度行ったことがあり、今回二度目です。2年前ということは、東日本大震災の前になる訳ですが、当たり前ながら、敷地内に入るための手続きは厳重だったことを覚えていました。

僕は、何かを考え語る際は、できるだけ、現場の空気を経験してないといけないと信じているタチで、「なんであんなに数学の天才が輩出されるのか?」という疑問を、現地の空気を感じればなにかあるに違いないと思ってハンガリーを旅行したりするので、仕事で今、大飯に行く機会を得たのは幸運でした。

大飯には電車で行きました。自宅の最寄駅5:13という始発に乗って、新幹線と在来線各停を乗り継ぎ(朝早すぎて在来特急がない)、大飯発電所最寄駅の若狭本郷駅に到着したのは9:06でした。そこからわずか4時間30分の滞在、タクシーの運転手さんと、発電所の警備員さんと、現地の御客様と御客様の協力会社である東京の会社の方、若狭本郷駅の食堂の店員さん、若狭本郷駅の駅員のおばさん、僕が話できたのはわずかこれだけの人々でしたが、大飯はなんというか至って普通、でした。当たり前ですけど、至って普通でした。

何かモノを言うとき、目を瞑ってモノを言うなら、それほどたやすいことはありません。でも、何かモノを言うとき、それが誰かにとってはマイナスになる意見のときもあるわけです。その「誰か」の顔が具体的に浮かんでしまうとき、どうしてもそのモノ言いは鈍くなってしまいがちだけど、それでも、その「誰か」の顔を、目を瞑らずにしっかり見て言うことができるかどうかが、真剣に考えてモノを言えているかどうかを分けると思います。

大飯ではどうしても写真を撮る気になれませんでした。帰りの電車に乗って、若狭本郷駅をいよいよ離れるというときに撮った一枚がこれです。

ツライ

そう信じる者しか救わない せこい神様 拝むよりは
僕とずっといっしょにいるほうが 気持ちよくなれるから

昨日、とあるショッピングモールのファミリーレストランに入ってオーダー済ませて携帯いじってたら。

左斜め前前方からぼんやり感じた視線。

・・・

2歳児?

子ども椅子に座って何かを食べてるんだけど、食べてる最中にわざわざ振り返ってこっちを見てる。
じーーーーーっと。

まあ慣れてますけどね。僕、やったら子どもにじーーーーーっと見られますので。

怖がってる訳でも、おもしろいものがいるというふうな訳でもなく、ただただ惹きつけられるようにじーーーーーっと見るんですよね。なぜか。

なんかリアクション取ってあげたほうが、見てること気づかれた!と思って見なくなるかなと思い、ちょっと笑ってみたりしたけど無駄。ときどき向き直ってなんか食べては、こっち向く。

しょうがないので諦めて、再びケータイを見始めて、しばらくその子のこと忘れてたら・・・

うわーーーーーん!!

 無視されたのが悲しかったんでしょうか・・・

けたたましく泣き始め、その後その子が泣きやむことはありませんでした・・・

まさか近づいて行って「ごめんね」という訳にもいかず・・・

ツライつらいとわめいてるばかりじゃ 心にしわが増えるだけ 

つよがり

「優しいね」なんて 買い被るなって
怒りにも似てるけど違う

言葉に出せないもやもやがまだ自分の胸の内にも残っていることを幸せに思う

ずうずうしいやつ、軽薄なやつ、要領のいいやつに

いつもいつも出し抜かれて歯軋りで堪えている僕を信じてくれる人を信じる

たまにはちょっと自信に満ちた声で
君の名を叫んでみんだ 

ペナルティ

これも大阪の橋下市長の発案ですが、所定の学力に到達しない生徒はたとえ小中学生でも留年や科目の再履修をさせるべきだという案が議論されています。そもそものアイディアは教育評論家の尾木直樹氏で、小中学校での学力の底上げを図るには必要だというのです。(尾木氏ご本人は大げさに取り上げられて困惑しているようですが)

橋下市長の小中学留年案。実際に学力低下が問題になっている以上、必要な学力を習得するために時間をかけるべきという考え方は賛成なんですが、それでも浮かんでくる違和感を整理すると:

  • なんらかのペナルティがあって初めて人はモチベーションを上げる、という発想が感じられる。ペナルティだけで人を動かそうとする方策は、混乱を招くことが多い。実は「飛び級」とかも並行して議論されていたらごめんなさい。
  • そもそも小中学生時代は、学力不足の責任は本人ではなくて親・先生にあると思う。それを一元的に本人の責任に帰して、ペナルティとして留年させるというのは本人への責任度合いが大き過ぎると思う。
  • その、「指導力不足」をどう改善していくのか、という議論がもうひとつわからない。「指導力不足」を数値化するために、「実際に落ちこぼれた生徒がこれだけいます」というのを明示しようとしている気すらする。

なぜ学力向上に躍起になるかというと、やはり学力のレベルは、市民生活のレベルと密接に関連性があるからと思われる訳です。教育浸透度の高い地域のほうが、犯罪率は低く生活水準は高いと一般的には言われるから。

そこへ行くと、率直に言って大阪市は、相当な体たらくの市だと思います。少なくとも数字上は。これを改善するために教育を根本から変える、まず基礎学力の低下を防ぐために義務教育の小中から手を付ける、という理屈は分からなくはないですが、それよりも、大阪に蔓延る「ズル」を丁寧に取り除く作業をやっていくほうが、市民生活のレベルを元に戻していく正攻法じゃないかなと思います。市民生活のレベルを元に戻す手立てとして、小中学生に「ペナルティ」を設ける、というのだとしたら、やはり賛成しかねる、と言ったところだし、純粋に学力向上を目指しているのだとしたら、他にやり方はあるだろうと思います。

「答えを出す」道具と「答えが出る」道具-『鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言』

いちばん感動したのは、「差金」の話。

  • 差金(曲尺)はもちろん見たことあるし知ってるんだけど、あれだけで計算ができるとは知らなかった。長い尺と短い尺の目盛の刻みは、同じじゃなくて違うのだ。「物差し」と言えば当たり前のようにミリで刻まれてるもので、長い尺と短い尺がくっ付いているのは、直角を取るためとしか思ってなかったので、刻みが違うということに仰天した。短いほうは、円に当てるだけでその直径から円周がわかるように刻まれているらしい。それどころか、この差金だけで、 掛け算、割り算、二乗の開平、比例配分、三角法等々、いろいろな計算ができたらしい。映画では西岡氏が「電気そろばん」と言ってたと思う電卓など、不要なくらいほとんどの計算が、差金だけでできるらしい。
    道具とはこういうものだと思った。差金は、長尺と短尺に違う目盛が刻まれ、当て方で様々な計算ができる、「答えを出す」道具だ。使い方を覚えて初めて、いろんな答えを得ることができる。対して電卓は、「答えが出る」道具。使い方なんて覚えなくても、キーを叩くだけで答えが出る。この区別はよく覚えておく。
  • 西岡氏は言葉づかいが優しい。お弟子さんは「近寄りがたかった」と語ってたけど、単に言葉が荒いことだけが恐ろしいことではない。
  • 自分の自信のある意見はあらぶってもいい。逆に知らないこと、見ただけ聞いただけのことは、丁寧に話さないといけない。
  • 飛鳥・天平には先人の答えがない。その境遇を思い知れ。
  • 「薬師寺で死ね」
  • こういう映画こそ「助成」に相応しい。でも相応しい・相応しくないを、行政が判断するのは難しいしある種危険だし。
  •  法隆寺には鉄筋を入れられ、薬師寺にはコンクリートを使わされ。それへの反論の仕方も戦術があったと思うけれど、でもただ頑固になっているだけではなく、飲まざるを得ないところは飲んで前に進めている。
  • コンクリートの寿命は100年、それでも押し通したのは、コンクリートは年数が持つという意見に抗えないからだろう。
  • 「ほんまもんの仕事」。オレにとっての「ほんまもんの仕事」をやり遂げたい仕事は、なんだろう?
  • http://www.oninikike.com/

ネイキッド

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。

自分の考え・思いを通すためには、説得力のある筋道が必要になる。
僕のような仕事では、特に理詰めが必要であるし、理詰めで説得力が出せる分野でもある。
しかしながら、ビジネスというのは、時に理詰めでは到底出ない結論をゴールに設定されることもある。
そして、どういう訳か、理詰めで説明にかかっても、社内すら説得できないことがある。
説得できないので更に理を詰めてかかると、煙たがられたり、放棄されて乱暴に金額の話に始終されたりする。

それでも負けは負け。潔く認めて、やることなすことをより丁寧にするための糧にする。
忘れてはならないことのひとつは、妥協してはいけないということだ。
妥協しないためには、常日頃から様々な話を聞くことに限る。そして、様々な話を聞くためには、やるべきことをやるための時間を集中して取ること。集中して取ったら集中してやること。

判り切っていることでも、繰り返し書くことが力につながる。

もう二度と僕を許さないでしょう
あなたは僕を見放すでしょう 未来永劫 

愛も憐みも届かない

ブリコルール

I'm a bricoleur.

どっかの誰かがまた生半可に言い出しそうなので、たまには先手を打って言ってやる。唾を飛ばして言ってやる。根性なくても言える。

オレはブリコルール。

確かにシステムは概念だけれど記号でもある。そしてシステムエンジニアというよりもシステムブリコルール。

企業秘密

僕はIT企業に勤めているので、定期的に新製品の社内説明会というのがある。

新製品に投入されている新技術は、お客様に説明するかどうかはさておいて、社員はきちんと理解していなければいけなそうなものだが、現実にはなかなかそうではない。

有名なところでは、コカ・コーラの材料と製法は、(日本)コカ・コーラの経営トップでも知らされていない(それが本当かどうかはさておいて)というように、社員でも知らないケースももちろんある。

なぜ、自社製品のことなのに社員にも知らせないのか、というのは様々考えられる理由があって、例えば、その社員が転職した場合に情報が持ち出されるとか、転職せずとも不用意に知人に話してしまうことによる漏洩を抑制する、とか。

食べ物の材料・製法と、ITのような製品の技術とは、納得して買いたいというレベルが違うよ、とお客様には言われそうだが(でもどっちかって言うと命に直結する食べ物のほうが大事なんじゃないの?と思わなくはない)、ITであっても、そういうことはある。

いわゆる「企業秘密」だ。

新製品説明会を受けてる最中、その「説明のつかない」技術がひとつ出てきて、このことを思い出した。それは企業秘密というよりは、説明している人にもその技術詳細が知らされていない、というパターンだったのだけれど、これをお客様に自分が説明するとき、必ずお客様から「理屈がわからないとなあー」と言われるな、というイメージがすぐに浮かんだのだ。

なんとなく、昔はそういう、「その製品の特徴」のようなものは、「こらすごいでんな。どないなってまんのや?」「そらお客さん、企業秘密ですわ」みたいな会話で、「よしこうた!」となったイメージがある。それは、実際にその製品の特長たる機能が、実際にそのように動作するからだったと思うけれど、最近は、説明責任だなんだと言い始めて、理屈で説明できないものは買わない、という流れが一般的に感じている。

でも、説明のつくものなんて、実はたかが知れていて、そんなんではイノベーションは起きない。そういうことも、知っている。その上で、「よしこうた!」にならなくなってしまった時代の流れも判っていて、根深い問題だなあと考えている。

初とうたりんぐ

念願の「とうたりんぐ」に行ってきました!

「とうたりんぐ」は、山崎貴氏や河瀨直美氏の撮影現場にケイタリングしているこみずとうたさんのお店。河瀬監督の映画『朱花の月』の主演男優さんでもあります。

  • サイトは確か11:00~と書いてたと思ったんですが、着いたら12:00 OPENでした(笑)。
  • かぼちゃのイエローカレーを食べました。具としてかぼちゃが入ってるってレベルじゃなくて、カレー自体かぼちゃの味がします!おいしいです。
  • 並を頼みましたが結構な量です。後から来た女性は、僕の並を見て「小で」と言ってました。
  • 店内は狭めです。3、4人くらい?温かくなったら、テイクアウトして公園で、なんかもよさそう。ゴミはちゃんと処理してね!

あの辺、あんまり歩いてなかったんですがところどころ店が増えてておもしろかった!

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