『文芸ブルータス』/有川浩、木内昇、舞城王太郎、いとうせいこう、朝井リョウ、伊坂幸太郎、西村賢太、鹿島田真希、堀江敏幸、絲山秋子、万城目学

「文芸」をテーマにコラボした雑誌はときどき出るけど、やっぱり売れてほしいのです!

たまたま東京駅ナカの本屋"HINT INDEX BOOK"で見つけて買ったのですが、ちょうど昨日が発売日だったんですね。yom yom、小説新潮、新潮、オール読物、enTAXI、文藝、群像、小説すばるの八誌に掲載され、単行本未刊行の11作家11作品が収録。紙も厚め、段組みも雰囲気で、本の体裁から「文芸」誌です。

掲載された小説だけでなく、対談や作家ガイド、文藝賞ガイドなんかも綺麗に纏まっていておもしろい。あまり本を読まない人がこれ一冊買って、「文芸」のおもしろさに目覚めることはないかも知れないけれど、「文芸」好きの人は是非ともこれを買って、「文芸」を再び盛り上げていく気概を、業界に伝えてほしいなと思いました。仮にこれが、「文芸」という芸術の高尚さを損ない、一般平均化してしまうことだとしても、それは、「文芸」を衰退させたとは言わないけれど「つまらないもの」にしてしまったとは言える権威主義から「文芸」を取り戻す一歩だから。

好きな作家だらけで、新幹線でどれから読もうかな~と迷った末、『阿修羅ガール』以来、破壊力の虜になっている舞城王太郎と、なんか読んでる間ずっと罵声を浴びせられているような辛辣さ加減の虜になっている絲山秋子の2編を読んだんですが、たまらんかったです。舞城の『私はあなたの瞳の林檎』は、中学生の恋愛小説に見せかけた内面と言語表現の齟齬と統一の話、そして絲山の『ニイタカヤマノボレ』は、これまたアスペルガーを持ち出してカムフラージュされた、世の中の本音と建前の狭間に震災をぶつけてきた辛辣なストーリー。文芸好きは、11作全部既読でも、その他の記事だけでも買って損ないです。