街の本屋で本を買う - 2024/04/14 啓林堂書店生駒店『空中ブランコ』/奥田英朗 『文藝春秋オール読物3・4月号』/文藝春秋

娘が塾の国語のテキストに出てきた小説を結構な頻度で気にいるのだけど、『空中ブランコ』の名が出てきて、今までと少しフェーズが変わったなと感じ、この機会を逃さず読んでみてもらおうと近所の啓林堂書店生駒店へ。首尾よく文庫本が棚にあったのでゲットし、ついでに芥川賞か直木賞かを…と思いつつ棚をブラウジングしていたら文芸誌の棚が。『言葉の繭』で、島田氏が文芸誌のことを対談で語っていたのも記憶に新しかったので、全文掲載されている訳ではないけれど直木賞2作が掲載されている『オール読物』を。

文芸誌はもう数十年遠ざかっていたが、なんとなく今気分な気がする。文芸誌の戦略上、続き物が多いというのはあるけれど、なんとなく多種多彩な著者の、ボリューム満点の活字がてんこ盛りになっているメディアって今の気分な気がする。

街の本屋で本を買う - 2024/04/06 さくらマルシェ@奈良県立図書情報館『夏葉社日記』/秋月圓 『言葉の繭』/桜美林文学会

年を取ると年々「お、おもろそうやんか」という勢いだけで動いちゃうということがなくなってくる。近所に新しいラーメン屋ができたと聞いて「ちょっと試そう」とかいうのですら、「そんなわざわざいかんでもなんかついでがあったらでええやん」的な気分にすぐ陥る。なので、年を取って初めて、クラブやサークルといった、「やらないといけない感」のある集いがモチベーションになる、という感覚を実感することになった。たいていの人は、生まれたときからそれに納得していて何かに所属することに抵抗することがないのだろうと今になって初めて気づくことになった。恐ろしいことだ。

そういう訳で、ふうせんかずらでお友達になった棚音さんがどこかに出店するというのは、僕にとっては行動を起こすスイッチになっている。何も考えず「会いに行って一冊買いたいな〜」という気分が湧いてくるし、そこに買いたい一冊があると確信しているからなのだ。今回は、Instagramで『夏葉社日記』を取り置きしてくれるという案内が出てたのでイチもニもなく取り置きお願いして、満開の桜並木の佐保川を新大宮からレンタサイクルで駆け下りて受け取りにあがりました。そしたら、なんとこのタイミングで夏葉社を取材したという桜美林文学会発行の限定500部無償配布の『言葉の繭』をお譲り頂いた!! これはもう家宝です。大事に大事に読みたいと思います。

大事にしたいものを大事にするために、時間を大事にしないといけないし、時間を大事に過ごすためには健康の維持も大切だし、体だけでなく心も健康に過ごすためには無為な時間も大事。一切手を抜いている暇なんてない。

街の本屋で本を買う - 2024/01/24 ジュンク堂書店難波店『小山さんノート』/小山さんノートワークショップ

ネットの書評で見かけて今すぐにでも欲しくなり、その日の夜に近所の啓林堂書店に探しに行こうと思ったけれど、こんな感じのちょっと尖ったのは置いてなさそうな予感がして、翌日出社の予定ができたのでジュンク堂難波店で購入。かつて、近所に本屋が3件あったときには、もしかしたら三軒回ったらそれぞれ趣向が違うところがあるので一軒くらいは…という期待も持てたけど、そういう期待は効率性の名のもとにかき消された現実を再実感。ジュンク堂でも探すのが難しそうだったので、時間が限られていたので蔵書検索を久しぶりに使った。棚も、ぼんやり想定していた棚とはちょっと違う棚で驚いたけど、より驚いたのは「蔵書:2」で棚には1冊しかなかったこと。こういうタイプの書籍はジュンク堂と言えどもそれくらいしか在庫してないと初めて気づいた。

1991年から2004年まで東京のホームレス女性が書き続けたノートの抜粋を、有志が書き起こし編集した一冊。女性は既に亡くなっており、女性の知人たちが火葬の際にその膨大なノートも一緒に火葬しようと思ったがノートの内容を見て思いとどまりワークショップを続けられた。女性の「書き続ける」という執念に惹きつけられて購入したけれど、書くことと生きること(稼ぐことではない)がニアリーイコールになっている人の書いている文章からこちらに襲ってくるのは執念どころではなかった。


街の本屋で本を買う - 2024/01/01 蔦屋書店 周南市立徳山駅前図書館『決めつけてはいけません、他人を。何より自分を。--気楽さとやさしさの倫理学』/秋田道夫

直近はみやこのあと地図部で遊んでもらっているやまもとあつしさんとの出会いのイベントの来賓だった秋田道夫さんの書籍、買おうかどうしようかとぼんやり過ごしてたら、元旦の徳山駅でまさかのどでかいポップアップに遭遇し、これは機会だとサイン本を購入。

1枚1箴言、という構成で一気に読めます。氏のブログが出典のようで、ちょっとアリバイ的に「誰にでも言えそうなことですね、と言われますが、それを毎日欠かさずブログで続けてきました」というようなことを書いてたページもありました。自分もあと20年足らずで70歳になる訳で、今のところ何歳になっても仕事を辞めるという意味でのリタイアは考えてないけれど、どこかの地点を目標にするというやり方は苦しくなってくると本能的に感じていたので、毎日を生きるという感覚も直感的な実感がありました。この本の言葉の書かれ方を真に必要とする人は自分ではないかなと思ったりもしました。

街の本屋で本を買う - 2023/11/04 図書情報館「秋、みのりのマルシェ」棚音文庫『現代思想入門 』/千葉雅也 Kirja『作家と珈琲』/平凡社

本に出会うフィールドを、気づいたら広げてたなあと気づいた。

ふうせんかずらに参加してから、古本屋へのハードルが劇的に下がった。古本屋にもいろんな形態があるというのも知ったし、自分が古本屋に出すという行為もできるようになったし、その繋がりで教えてもらった本屋さんに足を運んでみる機会も増えた。広がりが増えると行けるお店も限られてくるけど、棚音さんの出展は必ず追いかけるようにしてる。必ず読みたい本があるから。

「秋、みのりのマルシェ」はふうせんかずらつながりのKirjaさんも出るってインスタかなにかで見てたので、棚音さん覗いてから探そうと思ったら、速攻棚音さんにKirjaさんのブースあっちって案内された。相変わらず商売っ気のない棚音さん。そしてKirjaさんはわからないかなーと思ってたのに顔を覚えてくれててびっくり。ご家族で来られてて温かい空気感のブースでした。

街の本屋で本を買う - 2020/08/12 旭屋書店 イオンモール奈良登美ヶ丘店『カモナマイハウス 』/重松清 『R・E・S・P・E・C・T』/ブレイディみかこ

子どもの興味を更に伸ばすためには何といってもタイミングが大切。

娘が学校だか塾だかの国語のテストで出た物語が面白かったらしく、物語全体を読みたいからその本を買ってほしいと妻にねだってきたと聞いて、誰の本?と問うたら重松清、との答え。重松清とは我が子ながらいいセンスをしてると感嘆。年長か小1かのときに、棚音文庫さんとこで買って帰った『きみの町で』を引っ張り出して、これも重松清だったんやで、とか話が弾む。

そんな中、妻が旧友との集いに出かけたので娘と一日過ごすことになり、用事のあったイオンモールで本屋に入ったらいの一番に目に飛び込んだのが『カモナマイハウス』。帯を見ると、この作者らしい、時宜を捉えたテーマで娘でなくても読みたくなる。近くにあった、新刊案内で見て気になっていた『R・E・S・P・E・C・T』との相乗効果で2冊とも購入。娘が読書好きになっていってくれると共通の趣味になって嬉しいので、興味を持った文章にはとことん付き合うようにしよう。

街の本屋で本を買う - 2020/07/17 蔦屋書店 周南市立徳山駅前図書館『くもをさがす 』/西加奈子

再会してしまったので。

先週、近所の啓林堂を物色してたら、『無人島のふたり』と本著が並んでいて、山本文緒氏が亡くなっていたことも知らず自分のアンテナの鈍り具合にしばし呆然とし、この2冊は読まねばならないと思ったものの現在手をかけている本があるためいったん我慢したのだけど、法事で帰省した山口の帰りの新幹線に乗るまでの時間つぶしでいつも入る蔦屋書店で本著に再会し、これは買わねばなるまいと購入。

この蔦屋書店、いろいろと物議があるみたいだし、いろんな意見もあるようだけど、私は施設としては人がいつもいてるし賑わいをつくるという観点でいいものができたと思っています。徳山駅前図書館ができるまでの徳山駅の寂しくなる一方加減は大変なものだったし、徳山駅前図書館ができて以来、いつ行ってもたくさん人がいます。もし蔦屋書店が信じられない安価であの場所を市から借り受けられているのだとして、蔦屋書店ではない何かが賑わいをあそこに作れるのならそれを呼べばいいと思います。

ともあれ、本著と『無人島のふたり』を並べて陳列した近所の啓林堂は素晴らしいので、敬意を持って『無人島のふたり』はあそこで買おうと思います。

街の本屋で本を買う - 2020/04/13 啓林堂書店奈良店『街とその不確かな壁 』/村上春樹

商用で奈良市街に出たその足で。

本だけではなくて、買い物をどこでするのかは年々鋭敏になってくる。昔は「お買い物は地元商店街で!」などというスローガンに対し、こちらの好奇心や新奇を求める心に向き合う努力も払わないで何を甘えたことを、ネットや大型店で買うほうが便利で楽しいに決まってるじゃないか、的な考えをかなり本気で抱いていたものの、年々変わってきているのは地元が衰退するからとかいう郷土愛的な動機だけではなく、実際にネットや大型店での買い物が「楽しくない」までは言わないものの、地元や実店舗で買い物することの「楽しさ」が、今までの楽しさ以外にも生まれ始めているから、というのは綺麗事のようで実際そうでもない。

街の本屋で本を買う - 2023/02/18 奈良 蔦屋書店『IN/SECTS vol.13 NEW 'BOOK SHOP' CULTURE 』/LLCインセクツ

 みやこのあと・地図部のあと、次の予定に微妙に時間があったので、ふらっと奈良蔦屋書店に。コンベンションセンターの駐車場って1時間以内なら無料なんだ?刻印見る限り停めてから30分は経ってたし。

 これが2021年6月の本なので、もう2年近く前。コロナ禍1年くらいの状況で、もう世の中こういう感じで永遠に行くのか、いやいやいつかまた以前のようになるよ、のせめぎあいの心境の頃合いだった印象。本屋さんで生きていくのは相当難しいというのはコロナに入る前からずっと言われていたことだけど、いま時点では更にそれが進んでいて、そんななか2年前の状況を客観的に読めるのは意味がある。それだけではなくて、「全行程を知って仕事をする」ことの良し悪しや、対人関係の解像度をあげるという意識も培われる。本好きとしては忸怩たる思いがあるし、貸棚やってて思うに任せないところもあってなおモヤモヤする。

 次の予定で学園前に行って啓林堂ふらふらしていたらこれを見つけた。

 思わず買ってしまいそうになる、うまいところをやっぱり突いてくるなあと感嘆。vol.1は2021年に出ているみたいで、IN/SECTS vol.13と同じタイミング。置かれている状況を読んで、その時どういったものが売れるかを把握して、それにそったプロダクトを出してくるという意味で優れたマーケターだと思うし、先日、「この10年くらい、日本の作家の小説にあんまりアンテナがたたなくなって、そう言えば村上春樹もあんまり読まなくなったなと思ったら、『色彩を持たない多崎つくると...』が出たのが2013年ですね」という会話をしたのを思い出した。実際にはその後に村上春樹作品としては『騎士団長殺し』があってちゃんと読んではいるんだけど。

己然日記 220105 街の本屋で本を売る

初棚手入れ!

今月から貸棚Plusという、雑貨も販売できる棚にさせてもらい、クリスマスフェアで出品したアイテムと書籍とを並べることに。年末年始の間はメンテに来れなかったんだけど、その間に棚音文庫さんが入れ替えておいてくださったので、溢れ分を引き上げてようと行ってみたら、棚2段分になっていてびっくり。たぶん、これは一時的な処置だと思うので、1段分は選択して持って帰らないと。

12月はクリスマス関係の本と雑貨以外はほぼ動かなかったので、並んでいる本はほぼニーズがない本だとは思う。ふうせんかずらに来る方にとって魅力的な本はなにか、魅力的な本があることをどうやってリーチするようにすればいいのか、また今月から新たな試行錯誤。