戒壇院、十七時丁度、昭和二十二年生

東大寺戒壇院の御朱印を書く方(正式な呼び名は何と言うのでしょう?)とお友達になりました。

二日に春日大社に初詣した際に、御朱印帳を購入しました。一時、御朱印帳が(ネットも含めた私の目に映る範囲で)一大ブームになったことがあり、その時はどうも安易な感じがして買わなかったのですが、私のロードバイクの「近所乗り」の行先は圧倒的に神社仏閣なので、御朱印帳に御朱印を頂いていくのも良いなと思い、お気に入りの神社である春日大社で御朱印帳を買いました。

記念すべき第一頁はもちろん春日大社でしたので、第二頁はそれなら東大寺でしょうと(ほんとは昨日、稲蔵神社で頂こうと思ったのですが、御朱印を書いてくれるところが判らなかった・・・)、今日は東大寺まで走りました。

ただ、下調べしておいたのですが、東大寺は御堂が多いので、御朱印を頂けるところがとても多いのです。大仏殿はもちろんとして、二月堂、三月堂、四月堂、戒壇院、行基堂、念仏堂、不動堂、まだまだあったと思います。まだ混雑してると思われる初詣の時期の今日、大仏殿にロードバイクで乗り付けてビンディングシューズで歩く気にはなれなかったので、今まで行ったことのない戒壇院でもらうことに決めて出発。

 

大仏池から見た大仏殿。こちら側は人通りも車通りもほとんどありませんでした。いつもの静けさでした。

 

その大仏池側から境内に入れる門があったので、ここから入りました。門の先は華厳寮と千手堂。千手堂は閉まっているようでしたが、ちょうど私が通り過ぎた後におばあさんが持参物と共に立ち止まっていたので、何かあったのかも知れません。

 

戒壇院と千手堂の間の門を、戒壇院側から見ています。この正月飾りが余りにも好みで写真に収めました。

 

このささやかさ、小ささ、均衡感、華美ではないけれども、不動の門に絶対で最低限のアクセントを置いた祝賀の表現。たまりません!

 

戒壇院は参拝時間の終わりが近づいていたからか、全然参拝者がいませんでした。静かなものでした。戒壇院は厳かと言うよりもむしろ人を寄せ付けない厳しい雰囲気があります。

堂内の四天王・二仏を拝ませて頂き、帰りに御朱印をお願いしたら、スーツを着た書き手の方が「自転車ですか?」と聞いて来られる。なんでもその方もクロスバイクに乗られているそうで、一日20km程毎日乗っておられたときがあったとか。主たるスポーツは剣道をされていて、足腰のトレーニングのために自転車も始められたとか。更にお話を聞くと、御勤務先を定年退職されてから、東大寺の職員として戒壇院に詰められているとか。とても若々しい方で、「私の親父も定年退職してますがどこにも出て行きませんよ」と言うと、「おいくつですか?」「65です」「あ、私と同じですわ、昭和二十二年生まれ?」「そうですそうです」「おや奇遇ですなあ~」と話が進みました。

ちょくちょくこの界隈まで走りに来てるので、また寄らせてもらいますと、名乗り、お名前をお伺いし、気持ちよく戒壇院を後にしたのでした。しかしいつも思いますが、年配の方でお話のうまい方というのは本当にうまい。顔がまず常時笑顔だし、使われる言葉に気持ちのよくない言葉が入らない。この方は、定年まで勤められた会社・ご職業も大きいと思いますが、年配の方と話をさせて頂くといつもこうできるように努力しないとなあと思うところです。

 

これが戒壇院の御朱印です。四天王の文字の睨みの効き具合が迫力ですが、書き手の方の人となりに少しでも触れたというだけで、御朱印というものへの印象も大分変わってくるから不思議です。東大寺の他の御堂の御朱印も頂いて行きたいと思います。

ちなみにタイトルの「十七時丁度」は、今日の日没の時刻です。寒いながらも日が出ている時は気持ちよく走れたのですが、日が暮れてからの寒さはサイクリストにとっては厳し過ぎました・・・。