大飯に行って

仕事で、大飯に行く機会がありました。

大飯発電所には、2年前に一度行ったことがあり、今回二度目です。2年前ということは、東日本大震災の前になる訳ですが、当たり前ながら、敷地内に入るための手続きは厳重だったことを覚えていました。

僕は、何かを考え語る際は、できるだけ、現場の空気を経験してないといけないと信じているタチで、「なんであんなに数学の天才が輩出されるのか?」という疑問を、現地の空気を感じればなにかあるに違いないと思ってハンガリーを旅行したりするので、仕事で今、大飯に行く機会を得たのは幸運でした。

大飯には電車で行きました。自宅の最寄駅5:13という始発に乗って、新幹線と在来線各停を乗り継ぎ(朝早すぎて在来特急がない)、大飯発電所最寄駅の若狭本郷駅に到着したのは9:06でした。そこからわずか4時間30分の滞在、タクシーの運転手さんと、発電所の警備員さんと、現地の御客様と御客様の協力会社である東京の会社の方、若狭本郷駅の食堂の店員さん、若狭本郷駅の駅員のおばさん、僕が話できたのはわずかこれだけの人々でしたが、大飯はなんというか至って普通、でした。当たり前ですけど、至って普通でした。

何かモノを言うとき、目を瞑ってモノを言うなら、それほどたやすいことはありません。でも、何かモノを言うとき、それが誰かにとってはマイナスになる意見のときもあるわけです。その「誰か」の顔が具体的に浮かんでしまうとき、どうしてもそのモノ言いは鈍くなってしまいがちだけど、それでも、その「誰か」の顔を、目を瞑らずにしっかり見て言うことができるかどうかが、真剣に考えてモノを言えているかどうかを分けると思います。

大飯ではどうしても写真を撮る気になれませんでした。帰りの電車に乗って、若狭本郷駅をいよいよ離れるというときに撮った一枚がこれです。