『はじめての構造主義』���橋爪大三郎

はじめての構造主義 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎
講談社  1988-05

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 大学生の時、ご多分にもれずほとんど勉学に励んでなかったんだけど、哲学や思想を専攻してた訳でもないのになぜか思想には興味があって、面白そうと思った書物を読み散らかして、結果、構造主義に大きな衝撃を受けた。衝撃を受けたと言っても理解できた訳でもモノにできた訳でもないんだけど、自分が今まで持ってきた物の見方とまったく違う物の見方がある、しかもそれはそれまで絶対的に正しいと思われてきたようなものや、感覚的にそうだろうと思ってきたようなことまでひっくり返してしまう破壊力のあるものの考え方だった、という点で衝撃的だった。「自分の知らないところにいくらでも世界がある」そうすっかり思えることが大人になることだとしたら、僕を大人にしたひとつは構造主義だったと思う。
 本著は、かつてのめりこんだ構造主義の知識を整理したくて選んでみたんだけど、すごくよく纏まっていてわかりやすくていい本だった。構造主義がなぜモダニズムを打ち倒せたのか、それ以前にモダニズムとは何か、なぜモダニズムは強大な権威を持っていたのか、そういうところまできちんと理解させてくれる。レヴィ���ストロースの仕事では、やはり何度触れてもインセスト・タブーの解明は衝撃的で興奮する。何が優れていて何が優れていないのかなんて、誰にも断言できないのだ。