急患

今週は月・火と九州。博多に10:30頃入ろうと、新大阪8:00前のN700に乗車。

山陽は無線LAN使えないけどバッテリが取れるだけでもありがたい。E席でPC、USBケーブル、Blackberryとセッティング、完了、して新神戸を出る。


-そのとき異変が。


「すみませんーすみませんー乗務員さんをー乗務員さんを!」

叫び声とまではいかないけれど不穏な気配を漂わせた、女性の声が聞こえる。その声の主は、僕の前の席だった。立ち上がって見てみると、声の主は中年のおかあさんという感じ、その隣に座っている成人はしているだろう男性-おそらく息子だろう-が、激しく引き付けている。癲癇か?

「意識が、意識がないんですー」

動きがあるのに意識がないというのはどういうことか、と思わなくもないけれど、言ってることは感覚的に判る。これはどう考えても一大事だ。気付いた何人もの人が、前方・後方に移動していく。僕は前のほうに向かって行き、2車両ほど進んだところで、先に行ってる人がいたのでいったん引き換えし、グリーン車のパーサーが駆けつけているのを確認して、先に行っていた人のところに戻ってその旨を告げる。

程なく車掌も到着し、社内アナウンスで「お医者様がいらっしゃいましたら~」というのが流れ、二方、医療関係の方が到着。とりあえず横にしたほうがいいということで、隣の3列シートに座っていた人に席を替わってもらい、車掌と僕でその男性を抱えて3列シートに移す。男性はどうしても起き上がろうとするんだけど、起き上がると余計に危ないらしく、必死に寝かせようとするお母さんと思しき女性。

お医者さんが少し話をしだしたくらいで、男性は嘘のように正気を取り戻した。しばらく様子を見つつ、車椅子が準備され、そのふたりは岡山で降りていった。女性は律儀に「ありがとうございました」と声をかけてくれた。


今回の件で自分が痛感したのは、緊急時というのは、ほんとうに訓練していないと思うように動けないのだな、ということ。冷静に考えれば、グリーン車に近づくのがいちばん乗務員に当たる可能性が高いし、乗務員室がどこなのか、座席の前のテーブルに書いてるのを見たのにその時は目に入らなかった。後から見たらすぐに乗務員室が何号車か、目に飛び込んできた。訓練というのはほんとに必要なんだなと痛感した。

もうひとつ、どれだけ相手にとってイヤなことでも、スムースに言葉を選んで話さなければいけないこともあるということ。車掌さんは、頻りに「岡山で降りられたほうがよろしいかと思います」と言っていた。言い方と言うべきことをちゃんと持ってること。これが仕事をする上でも大事なことだな、と痛感。