『���Q������』���村上春樹

1Q84 BOOK 1
新潮社  2009-05-29

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1Q84 BOOK 2
新潮社  2009-05-29

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 読み終えて唸って考え込んで10日余り過ぎた今、『���Q������』を思い起こしてみると頭に浮かび上がってくるのは、誰かの思いとか考えとか悩みとかのどれが「くだらない」と言えるのかなんて誰にも決められないし、反対に、自分の思いとか考えとか悩みとかを誰かに「くだらない」と言われる由もないけれども誰かに「くだらない」と言われてしまってもそれはしょうがないことなんだ、という諦念。さらに逆に、誰かの思いとか考えとか悩みを「くだらない」と言ってしまう権利も誰にでもあるけれど、そう言ってしまうためにどれだけの覚悟が必要か、きちんと意識していたいなという気持ち。「くだらない」という言葉に、少しでも優劣の色が混じるなら、今まで通り僕はそれを許さない。その許さないやり方は、『���Q84』の中にも何種類も出てくる。噛んで含めるように伝えるようなやり方もあるにはあるけれど、僕は今まで通り徹底的に打って出るやり方で行くだろう。

 テーマに『宗教』があるのは間違いない。だけど、『リトルピープル』は文字通り『ちいさい人間』、つまり人間の弱いところであり凶暴性で、それは宗教を引き起こすこともあるし宗教を暴走させることもあるし、宗教という形を取らず暴走することもある。その『リトルピープル』の輪廻が、少し考えただけだと辻褄があわないことだらけで読み取りに悩んでしまう。そして、BOOK2の後半でのこのあたりの説明的描写は、読書が好きな人じゃないとたぶんキツくて面白いとは思わないんじゃないか。それでも、僕は読み応えたっぷりでいい物語だと思う。