『悟浄出立』from『文芸ブルータス』/万城目学

ちょっと芥川っぽいカンジ?『文芸ブルータス』、文芸好きにだけじゃなくて、あまり本を読まない人に対してもいいツカミの仕事してる。

文芸ブルータス』は11人の作家の作品が掲載されているので、一作一作感想書くのはこの本の魅力を伝えてることにならないけど、敢えてということで。

言わずもがなの『鹿男あをによし』の著者、万城目学の作品『悟浄出立』。西遊記の設定を仮借して、どんなに悟空に警告されてものこのこ妖怪に捉えられるという三蔵法師・八戒・悟浄をバカバカしく真面目にコミカルに描きながら、何事にも一歩引いて傍観者的であるのを分別と取り違えているような悟浄が、「出立」するに至る出来事を、漢語を交えながら「さも」それっぽく描く。この「さもそれっぽい」というのが文芸にとって何よりも大事で、SFなんかその極みだと思うけど、「アホらし」と思っててもそのそれっぽさにぐいぐい引き込まれて、その辺の先生に言われたら「アホくさ」と思ってしまうような「人生の訓示」を、「そうだ。そんなふうに生きなきゃならん」と思わされてしまうのが正に文学。正に文芸。

くどいようですが『文芸ブルータス』、お勧めです!

B00A7BI3TW BRUTUS (ブルータス) 2012年 12/15号 [雑誌]
マガジンハウス 2012-12-01

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