『100分de名著 大江健三郎 燃えあがる緑の木』/小野正嗣

信仰なき「祈り」は可能か?にやられた。

信仰と道徳心や倫理観は繋がっているのか、信仰は必須なのか、というのはもう長い間自分の中の課題。自分は強いて言えば仏教の影響下で育った訳だけど強い信仰心がある訳ではないし、外国の哲学の領域では宗教バックグラウンドは甚大で感覚的に掴めてないんだろうと思うことが多い。そこに「信仰なき「祈り」は可能か?」と見せられると読まざるを得ない。このガイドを読み終えたすぐの感想は、しかしそこよりも大江健三郎の実践的な姿勢とそれを読む自分の息苦しさだった。なんだろうこの息苦しさは?ストーリーが考えさせるテーマには違和感はまったくない、けれど何か「もう止めたい」というような息苦しさが迫ってくる。