『Maximum Huavo』/INABA/SALAS

辛辣!一言で言えば「辛辣」。このEDM?ダンスミュージック?僕らくらいの世代ならかなり懐かしい感じのエレクトリック加減をイマ風にかっこよくなった曲にこの辛辣な歌詞を乗せる稲葉さん。アーティストももっと政治を語れよといつもB'zに思ってるんだけど実はB'zは案外政治的な歌詞も歌ってるんだけど、この『Maximum Huavo』は辛辣過ぎる!最初にタイトルの由来聞いたときは、音がダンスミュージック的だから、それと極になる感じで「男気」的なノリでつけたのかな、と思ったけど多分違った、これは「オレたちはタマ持ってるぜ!」って堂々と言ってる感じだね。

『Mujo Parade ~無情のパレード~』の”意味ない目標掲げ八百長/そいつに一票入れたのはオレ"とか"不満は垂れ流すけど/革命とかに興味ない"とか、"愛情は給料何ヶ月分?""ヒエラルキーの灯りの下で"とか。そしてその状況に「オドリマショオドリマショ」と、踊るしかない踊ることしかできないっていう無情な感じ!

もっと直接的に『Demolition Girl』は"忖度なんかないよ"とか出てくるし。『Violent Jungle』の"騒ぐ子どもにちょっと注意したら/短気な隣人は急に怒鳴り散らし"から始まる流れもなんというか救いがない。誰もがわかってるけど何もしない預言書みたいな趣がある。

でも最初全体一回聴いたときは「体が動くけどなんと救いのない雰囲気…」と思ったけどやっぱり「全部自分のせいだと思えばいい、そこから立ち向かっていけばいい」という稲葉節は健在で、繰り返し聴けば聴くほど勇気が湧いてくる。あんなに辛辣で「踊ることしかできない」って雰囲気漂わせてるのに立ち上がらせるのが『Maximum Huavo』の凄さだと思う。

インスタでも話題になった『IRODORI』も、なんだろうこの現状とのシンクロ感と思ったし、"どんな辛い試練もこの人生の彩"と説教臭い言葉がそのまま投げられるんじゃないところが受け取る側が受け入れられる言葉になって届いてくる素晴らしい曲、だけど個人的にはやっぱり『U』。これ一生聴いて生きていける。

そして稲葉さんの「親目線」の歌詞が逐一身に刺さる!今回そんな雰囲気が2曲もあってしみじみ聴き入る。発売前のもろもろの記事で、のれるダンスミュージック集的なイメージしか持ってなかったから、余計にこの「タマ持ってるぜ!」に感化されてしまう!