外資系に勤めているということ #jbnsgt3k

僕はいわゆる外資系というところに勤めていて、「日本の国力が凋落傾向」とか「日本経済を復活させるためには」とかいう言説を見るたび、何とも言えず難しいことを言われている気持ちになります。今やもう20年も前のバブルの頃を知る僕たちの世代には、外資系というと給料が高くて(であるが故に女性にもモテて、だから)憧れ、みたいなイメージがあるけれど、外資系が人気がある国というのはつまり、その国自体は程度低いってことだよ判ってる?と外資系に盲目的な人全員に聞いて回りたい気になったりする。そういうこという人が、片や「TPP反対!」みたいなこと声高に叫んだりして絶句する。

価格は誰が決めるのか。円高傾向が続いているのに輸入品の価格が一向に下がらなくて、それでその会社の日本法人を非難したりしてるのを時々目にするけれど、何言ってんの?って思う。商品をいくらで売るのかは、売り手が勝手に決めるのだ。そうでなきゃ、自由経済なんて成り立たないでしょう。「円高だから、その分価格下げろ」なんて平気な顔して言う人の気が知れない。もちろん、公共サービス的なものは(特に日本では)別だと思う。電力料金なんかは下げるべきだ。統制価格なんだから。けれど、民営企業の価格をどうするのかは、その会社の裁量だ。円高だから価格下げろなんて平気な顔して言う人は、じゃあ自分とこの製品の原料価格が下がったとか、交渉の結果下請け会社への支払いを削減できたとか、資材調達のコストが減少したりとかしたら、即刻製品価格に反映してるの?しないでしょう。「粗利率改善」とか、そういう方向に動くでしょう。なんでここ最近、誰もが自分の中にある「売り手」と「買い手」を分離させ、そんでもって平気な顔してモノ言うんでしょう。これが僕にはほんとに分からない。

僕が携わる日本のIT業界は、その黎明期から国策との関わりが深く、今でも国産企業と外資系の苛烈な戦いがあり、(僕らの目から見て)国産企業のその「体力」はどこから来るのか、と理解できないことも儘あります。どこかの部門の利益でもって、ほとんど利益の上がらないような業務や事業を支えたりして、そういうことの積み重ねによって、僕たち外資系の入り込めないような諸条件を予め造り出している。でもこれは、企業としては戦略として正当なことだと思うから、同じことができない自社の仕組みを恨めしくは思うけれど、悪しざまに非難したりはしない。ただ、僕たち「外資系」が、国産企業を打ち負かしていけばいくほど、日本の「国力」というのは、落ちていっているんだろうなあと思う。僕たち「外資系」が好業績を上げるためには、日本経済は反映してもらってないと困る。というのと同じ理屈で、やっぱり日本企業は、諸外国で稼ぐ道をもっと考えないといけないのではないか、とも思う。