『フランシス子へ』/吉本隆明

みんな本当に「めんどくさがり」になっちゃったんだな、と思います。わかりやすくないとダメなんだなって。

 何か大事なものかそうじゃないか、それもよくわからんのだけど、本当は中間に何かあるのに、原因と結果をすぐに結びつけるって今の考え方は自分も含めて本当じゃないなって思います。

 何かを抜かして原因と結果をすぐに結び付けて、それで解決だって思おうとしてるけど、それは違うんじゃないかって。

これは、「絆が大事」とか「日本人のこころ」とか「おもてなし」とか「ものづくりバンザイ」とか、そういう心性と結び付いたもんじゃないってことがいちばん大事だと思う。これはまず、すごく科学的な思考方法のところから出てきているもので、決して情緒的とか道徳的とかそういうことじゃない。
そのうえで、僕は最近、「時間のかかること」を大事にしようと考えている。どうしてもこれだけの時間がかかってしまう、というようなこと。コーヒーを淹れはじめたのもその一つ。ロングライドなんてその最たるもの。「どうしたってこれだけの時間がかかる」ということに、これからの未来の価値観の切れ端を見出せる気がするから。
思考もそう。すっと耳に入ってくるわかりやすい論旨にそうだそうだと言っているときに、だいたい群衆というのは間違うもので。
そういう意味では、1年くらい前か、セレブの間で会ってる間はスマホをテーブルに出して使わない、みたいなのが流行ってるというの、やっぱり成功する人は何が問題かに気づき、それに対処する実行力と意志力を持ってるんだなあと感嘆したなあ。

上の世代のつぶれそうな反乱軍に行くまでも気持ちもなく、そうかといって、下の世代のように「時代は変わった」と言うわけにもいかない。