奈良先端科学技術大学院大学公開講座2013 「ビッグデータが世界を変える あなたに迫る超大規模データ」 10/26

一か月間の週末奈良先端大通いを無事終えて、修了証を貰いました!

何度も書いてますが、この公開講座を受講して本当に良かったです。自分の仕事に関わる領域について、先端の研究を判りやすく解説してくれる講義を聞ける機会というのはなかなかあるものではなく、それが自宅から車で20分足らずのところで聞けたというのは本当に幸運だったと思います。奈良先端大は子ども向けの実験教室やオープンキャンパスも結構頻繁に行っているのを市報で見ていて、地味ながら地域にフィードバックを続けてくれているのだなあと改めて思いました。

大学の先生というのは話があまり上手でなく、だから講義が面白くなくて学生も講義を真面目に聞かない、みたいなことがまことしやかに言われるけれど、今回講義してくださった先生方はスタイルはさまざまでしたけれど、どの先生も非常に聞かせる講義で時間が短い、もっと聞きたいと思わされるものでした。普段の講義はあんなくだけた感じではないのかも知れませんが、公開講座の為に50ページ以上の資料を編んで講演台に立たれる皆さんの熱意は、「事務局から”いいからやれ”と言われてほとほと弱りながらやってるんです」という言葉とは裏腹なものだと感じました。

「ビッグ・データは、従来のデータベースと何が違うのか?」という漠たる疑問は、本講義を聞き、様々な文献をあたり、基礎知識を身に着けた今でも漠たる疑問として残ってはいる訳です。その疑問の残存に気づいたときに思ったのは、欧米では「AとBは何が違うのか?」に言葉を砕き、その違いを納得させていく思考法が多いのに対し、我々日本人は「AとBは本質的には同じ」ということに言葉を砕くことが多いのかもということでした。新しいコンセプトは多くが欧米からやってきて、その新しいコンセプトは一聴しただけだと、今まで聞いたことのあるものとなんだかよく似てて、何が違うのかなかなかピンとこない。我々日本人はそういうものに触れたとき、部分部分を追いかけながら、「あ、これはいついつにあったこれと同じものだ」と認識して安心しようとする。だから、差異を本質とする斬新性を生み出すことが出来ない。そういうことなのかな、と思いました。

以下恒例の箇条書き:

  • 猪俣准教授の、故金子哲雄氏を彷彿とさせるしゃべりは圧巻。そのしゃべりの中でRSA暗号の本質を伝える手腕も圧巻。
  • 安本教授が、聴衆からの質問で答えていた、「農業とのコラボレーションでは、我々は農業のことは全く分からないので、一緒に進めさせて頂くことで大変得るものがあった」というくだり、我々IT業者の古くからの課題と重なって共感。逆に最近、ITそのものがビジネスのコアになってきて、業務知識の認識に対する視点が薄らいでいるように思う。あの質問をされた方は素晴らしかったと思う。