久し振りに読書で泣きました。
村上聖氏が亡くなったのは1998年、作中には谷川氏も羽生氏も登場するし、棋界は全く知らない私でも谷川氏や羽生氏は知っているのに村上氏のことは全く知りませんでした。幼い頃に難病ネフローゼを患い、病状が悪化すれば立つこともできなくなり高熱で数日何もせず考えることもせず寝続けるしかないような体で、一直線に名人を目指して生きていく姿。何かに取り組むというのはこれくらい徹底しなければならないということを再認識しました。それとともに、勝負に拘るのであれば何を捨てなければいけないのかも。そして、そうすることを「強さ」だと身近な人が認めてくれる環境が最もありがたいものだと言うことも分かります。
そして何より涙を流してしまうのは、聖氏の両親の献身です。難病を背負った我が子に対して、すべてを聞き入れようとし、自分の体を酷使しても息子の希望をかなえようとする。愛というものが何なのか、例え自分の周囲がそれに賛同しなくても、自分は貫き通すだけの強さを身につけなければいけないと強く思いました。自分のことは認めてもらえなくても構わないと思えるようになり、そして、誰かの強さは必ず認められるように生きなければならない。本作は多分、今年一番の読書になると思いますし、生涯のベスト5に入る気がします。
聖の青春 (講談社文庫) | |
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