誰かが追いかける背中になること

この業界、あまり詳しくは書けないけれど、会社を辞める人が立て続く時期というのがある。今、まさに立て続いているんだけど、その中に、私とほぼ同じ頃に入社して、3,4年同じチームで仕事をしていた、とても仕事の出来る5歳ほど年下の男性がいた。先週一杯で退職で、辞めることを知ったのは先週の火曜日、それも人づてだった。

彼と同じチームで仕事をしていたときは本当に飛ぶ鳥を落とす勢いというか、物凄くうまく行っていたチームだった。私は転職して1,2年の頃で、まだもう一つ社内組織も事情もワークフローもそれどころか製品さえ万全に把握できておらず、そんなところを一から十まで細かく丁寧にフォローしてくれたのが彼だった。何かにつけ細部まで完璧で、私はお客様のところで案件をどういう方向で進めれば満足して頂けるか、大枠の方向性を間違えないようにすることに集中すればよかった。とても信頼できるチームメイトだった。

それで、「辞めるって聞きましたよ」とメールしたら、彼から丁寧な返信がもらえた。だいたい、そういうときのメールに書かれる内容というのはマイナスなことはないものだけれど、彼がそのメールに、私の仕事ぶりに影響され、同じ職種を目指してみたいと思っていました、と綴られていて、話半分でも非常に嬉しかった。自分の仕事ぶりが、誰かの励みになれたのなら、それによってチームメイトとしてのその人を失うことになるとしても、自分のやっていることは間違っていないと自信を持てるありがたいことだ。

自分の背中が、誰かにとって追いかける目標になれていた自分は、少し誇りにしてもいいんじゃないかと思った。これは自分にとってとても励みになる。サラリーマンとしてこの年になって、こういった励みはなかなか巡り合えるものではない。だからこそ、胸に大事に灯しながら明日からも努力しようと思う。