Siri vs グーグル - 『モバイル・コンピューティング』

Siriはグーグルの検索事業に対する「脅威」--グーグル会長

Steven Musil (CNET News) 翻訳校正: 編集部 2011/11/07 08:13

Googleの会長Eric Schmidt氏が、Appleの音声アシスタント「Siri」を同社の事業を脅かし得る「著しい開発成果」だととらえている。

こういうことを、「ちゃんと気づいてますよ」とコメントを出すところがやっぱり違うなと思う。

グーグルは前から音声検索があった。日本語でも検索できる。気恥ずかしくてあんまり使いませんが、『モバイル・コンピューティング』を読んで、モバイルというのはインターフェースの革命が本質だと教えられて、なるほどと注目してました。

ただ、グーグルモバイルのように、いつもの検索窓の横にマイクのアイコンがついて、「音声でもどうぞ」と言われても大多数の人は僕のような感じだと思うけど、これがSiriのように「あなたのプライベート秘書」という提示のされ方をすると、全然活用度が違ってくる。そして、これは紛れもなく「検索」なのだ。

『モバイル・コンピューティング』を読んだ時の感想はこんなことを書いてた。

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モバイル・コンピューティング
PHP研究所  2010-02-06

by G-Tools

「モバイルったって、パソコンが小さくなるだけだろう?」程度の認識しかなかったところを、インターフェースの変化・進化をたどって根本的なところを理解させてくれた良書。モバイル・プラットフォームで始まっている主導権争いの構図は概ねこれまでのIT業界で起きてきた主導権争いの構図で理解できるけど、「モバイル・コンピューティング」の本質的なところは、インターフェース抜きでは理解できないところだった。「モバイルだからキーボードをつける余裕がない」程度の話じゃなかったのだ。

モバイル・コンピューティングは、「モバイル」だから、いつでもどこでも「情報処理」ができる、もしくはそれを実現する、ということ。古くはホストコンピュータの時代は情報処理ができる場所は「ホストコンピュータの設置場所」で、それがパーソナルコンピュータとなって「パーソナルコンピュータのある場所」となり、パーソナルコンピュータがノートブックになって「ノートブックが置ける場所」になった。そして「モバイル」になると、もはや置く場所も問わなくなる。いつでも「持っている」。その代り、どうやってコンピュータに情報処理を「させるのか」というインターフェースの問題が現れる。だから、インターフェースを理解しない訳にはいかなかった。
実用的な情報処理、例えばアドレス帳管理とか写真管理とかは、処理のバリエーションはそれほど多くなく、従ってそれほど多様なサービス提供者も求められないと思う。写真管理で言うとPicasaかFlickrとあと1種類くらいが世界で提供されてば十分。それは裏を返すと、この分野での仕事に従事できる人間がそれだけ少なくて済むということで、それだけ仕事がなくなることを意味する。これまでは、ローカルマシンで処理するが故に、ローカルマシンで動作するアプリケーションを選択することになり、それだけ開発の仕事があった。iPhoneとAndroidというプラットフォーム/マーケットが新たに現れたけど、本質的にはアプリケーションの規模と寿命はどんどん短くなると思う。小規模な開発体制で開発できる環境ということは、1つのアプリケーションはそれだけ短期間しか収益を上げられないということだ。矢継ぎ早にアプリケーションを提供し続けない限り、その開発団体は事業継続できなくなる。でも、ゲーム以外にそんなにバリエーションのあるアプリケーションカテゴリがあるか?ゲームですら、出尽くした感があるというのに。
この「仕事が無くなる」漠然とした問いへの解の道は、第6章「キンドルと出版産業の未来」にかすかに提示されているように思う。

p9「HTC DreamのCPUの処理速度は初代クレイの6.5倍、メモリーの容量は実に48倍」
p12「携帯電話端末の売上は2008年に3589万台と、前年よりも29.3%減少、また2009年上期には前年同期比で14%も減少」
p20「2種類のモバイル端末向けチップ ムーアズタウン メッドフィールド」
p46「ABC(Activity Based Computing)」
p70「1984年」
p71「キャリアを中心とするモバイル産業の構図は、少なくとも、つい最近まで、日本と米国とで驚くほど似通っていた」
p78「2007年7月31日に採択された」「無線インフラのオープン・アクセス規制」「700MHz帯の電波」
p82「契約利用者を獲得するには、一人当たり50~100ポンド(7500~15000円)もかかる。
p100「コンピュータがユーザの置かれた状況(コンテクスト)を感知し、そこで必要な仕事を自動的にこなしてくれる。」
p127「AR」
p131「ビジュアル・マーカーARに向けて、ARToolKit」「奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授が開発」
p139「恐らくモバイル・コンピューティングに適しているのは、」「音声を中心とするコマンドだろう」「アンディ・ルービン氏が自ら開発した携帯OSにアンドロイドという名称をつけたのは、モバイル・コンピューティングの未来に対する、そのようなビジョンに基づいていたのだろう」
p147「結局、これまでのアクセル要因が、全部逆転する」「新機能を搭載するのはもう止めて、むしろ昨日の利用率を高める方向に舵を切るべきだ」
p162「キャリアにとってアイフォーン・ビジネスは非常に利益率が高い」
p163「マイクロペイメントの仕組みをもっていること」
p173「NFC Near Field Communication」「RFID(電波による個体識別技術)
p182「いちいちダウンロードするよりは、ウエブ上の共通アプリを使用した方が効率的で処理も早くなる」
p183「モバイル・サービスは遅かれ早かれ、必ずクラウド・コンピューティングに向かう」
p209「2009年前期における電子ブックの売上は前年同期比で136.2%増の1400万ドルを記録」
p225「ひたすら情報機器の高性能化や多機能化に向かって突っ走るよりも、ペンやインクのように我々の生活に馴染んだ使い易さを優先する、という姿勢」
p232「たとえば教育があまり行き届いていない地域でも、ワイヤレス・インフラは存在する」