『依存症ビジネス-「廃人」製造社会の真実』/デイミアン・トンプソン

オレは絶対にスタンプを押せるサルになんかならないのだ。
2,30年前の10代の頃、ゲームに明け暮れていたけれど、ケータイゲームが大流行した頃は、「あんなもんの何が面白いんだろう?」と全く小バカにしてました。電車を待つホームで、なんとなくスマホ出してスワイプしてしまうのは自分もやるのでわかるものの、ケータイゲームに関してはあんな単純なゲームに何をそんなにお金まで注ぎ込んで、と見下してたのですが、その反面、あれは「意地になる」人間のタチをうまく利用しているんだろうなあと直感的に感じてたことを詳細に解説してくれているのが本著です。

「癖」と「依存症」はどこで線引きできるのか、という問いに対し、本著は「他人に迷惑をかけたり自分を損なったりするにも関わらずその行為をやめられないのは依存症」と定義するんですが、そこまででない、軽いものも軽いだけに逆に厄介だったりするなあと思いました。歩きスマホもそのひとつの典型じゃないでしょうか。歩いてるときに前を見ずにスマホ見るなんて危ないに決まってる。けど依存してるので脳がそれを止めさせてくれない。

アルコール依存はみっともないことだという共通認識が社会にあるのだから、スマホ依存もそういう目で社会が見るようになれば状況はちょっと変わるのかも。この話になるといつも思いだすのが、一時セレブの間で流行したという、「パーティとか、実際に会ってるときはテーブルの上に自分のスマホを出してしまう」というヤツ。セレブのような社会的に成功を収める人は、スマホに気を取られすぎるというような、問題行動を自分で把握していて、それに対処する強い意志を持ってるんだなあと。

とまれかくまれゲームをほんとにただの金儲けの仕組みにしてしまった輩が許せません。

4478022925 依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実
デイミアン・トンプソン 中里 京子
ダイヤモンド社 2014-10-10

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