己然日記 210817 街の本屋で本を売る

その本を売るかどうか、で悩みが一段深くなってくる。手元にある本で売りたいと思う本は、人に勧めたい読んでほしい本で、それは自分にとっても読みたい本であり手元に置いておきたい本なのだ。例えばこの『なくなりそうな世界のことば』。少数言語の、その言語の特徴がよく出た一語一語を紹介している一冊。すでに話者が消滅している言語もある。ことばの詳しさはその言語を操る人々にとって何が大切かをよく表している。なんであれ「空」としか表現しない言語があるかも知れないし、空の色合いで全然別のことばが当たる言語があるかも知れない。そういう視点とともに、言語を守ることの大事さにも思いが至る。棚に並べてこの本の存在を知ってほしいけど、手放したくない、という難しい心情。

実際にはそういう本に定価で値札をつけて並べたりしている。