サザン、桜井高校、女子マラソン

先週末はスポーツとか音楽とか、そういうのから様々刺激を受けました。

NHKで放送された「35周年スペシャル 復活!サザンオールスターズの流儀」。サザンは若い頃、好きと嫌いが微妙に入り混じる対象で、ときどき繰り出す絶妙に力の抜けた「おふざけ」の、その面白さは判るんだけど、なぜサザンだったら許されるのに他で許されないことがあるのか、サザンのセンスは判るけれどそれだけで認められていいのか、という割り切れない思いと、絶妙に逃げずにもっと腰を入れてやってくれよ、という歯がゆい思いで、のめり込むにのめり込めないバンドだったんだけど、自分が30代後半を過ぎたあたりから、サザンがサザンを続けている凄みとかファンを大事にするスタンスとかに感動してました。

桑田さんが番組の後半、「青山学院大学って洒落た大学に入って、彼女つくって楽しもうって思ってたけど、全然そんなふうにならない。半年ほど経ってサテンでTVの長嶋さんの引退セレモニー観て涙が思わずはらはらと流れて。オレ、何やってんだろうって」。その挫折があって音楽に行けたし、ここまでやってこれたと。その後、恒例の「流儀」をまとめる最後の下り、「サザンの流儀」で「力を抜くんですけど、そういうのはどうしても下にいっちゃうんですよねえ~」と、この上ないサザンらしい脱力感で締めてました(笑)。

高校野球、我らが奈良県代表桜井高校を一生懸命TVで応援してたんですが、監督も言ってた通り、先攻取ったらよかったのになあと思ったところはあります。奈良県(勢)の傾向として、後攻を取るんですよね。最後の最後を残しておきたいという心理。これ、県民性だと思います。

それはともかく、桜井高校は「自分との闘い」を主眼としているといろんな記事で読んでいました。好プレーには敵味方なく賛辞を贈るし、好打したりしても派手なガッツポーズはしない等、精神面を重視しているのが随所でよく判りました。率直に言って、甲子園で勝とうと思ったら、若さ丸出しでガッツポーズ出して勢いに乗るほうがいいし、下手な緊張とは無縁でいれると思います。

それでも、桜井高校は自分たちのスタイルを貫いて、それぞれに感じるところを持って一試合やり抜きました。スポーツである以上、勝ちを目指すのは当然ですが、「何を持って”勝ち”というのか」という、非常に高度な問いかけをされたと思います。それも、従来のありがちな精神論や修養論ではない、長い長いスパンを持った、考え続けるにふさわしい問いかけだったと思います。

自分がビジネスマンとして停滞している、停滞期にいる、そんな忸怩たる思いをいつも微かにでも抱きながらここしばらくの日々を過ごしてきた私にとって、サザンと桜井高校が見せてくれた「経過」は、新たな意欲を生み出す素になってくれそうなものでした。

そういう、芸術家魂やスポーツマンシップに触れて充足する一方で、世界陸上モスクワの女子マラソンの中継。日本人選手の前を行く3位の外国人選手がリタイアした際、「よしっ」という声とともに中継サイドの拍手があったのは頂けなかった。確かに日本人選手のメダルは渇望されたことなので喜ぶのは理解できるけれど、ライバル選手がリタイアしたタイミングでの拍手は潔いものではないと思う。もちろん、ライバルがリタイアしたことも含めてレースだから、3位になったことを喜ぶのは当然のことだと思う。だからこそ、あのタイミングで拍手するべきではない。