市長選に際して① 国民健康保険料引き下げ?

我が市で月末に市長選があるのですが、どの候補者のビラだったか忘れましたが、「高すぎる国民健康保険料を引き下げ、やさしいあったか市政!」みたいなことが書かれていました。

「ん?」と当然思ったので調べてみました。

これまでの我が市の国民健康保険財政を大まかに掴むと、

  • 国保財政規模は約100億円で、平成15年から約3.5億円増加している。
  • うち医療費給付額は約79億円(H24)。
  • H20年度に国保財政調整基金がゼロになり、H20年度・H22年度に保険税上げを行い黒字化。一般会計からの借入も返済(http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/04200/04/documents/0202.pdf)。
  • しかし国保財政に占める保険税収入の割合は恒常的に1/4。国・県・市からの補助金に1/4を頼っている(http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/04200/04/01.html)。
  • 一人あたり医療費給付額は32万円(H24)。国民健康保険加入者数は市民の約22%。

私は会社員なので、国民健康保険の財政のために市税が流用されないかをチェックしたいと思います。市税は国民健康保険の恩恵に関わらない我々も支払っているものなので、それが転用されるのは所謂「受益者負担の原則」に反すると言える訳です。

まず、国保財政に対する「国・県・市からの補助金」が全体の約25%、25億円を占めています。詰まるところこれは税金なのですが、国保財政の来歴のページで、「一般会計からの借入も返済、黒字化」と書かれていたので、現状、一般会計からの借入はないものと認識します。この「国・県・市からの補助金」は法律上定められている補助金で、別の角度からみた公平性を期すために已むを得ない税金の転用と理解します。

次に、では国保税を引き下げて、その分の財政をどこから持ってくる?例えば現在、国保税収入で賄えているのは国保財政全体の1/4である約25億円。仮に国保税を1/4引き下げます、とすると、単純にこの国保税収入は約1/4に、つまり18.75億円となり、6.25億円不足する。この6.25億円の財源をどこで確保する?

http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/04200/04/01.html によると、国・県・市からの補助金以外に、「退職者医療の交付金」「他の健康保険からの交付金」というのがあります。この2つで国保財政の1/2が賄われています。この「他の健康保険からの交付金」の「他」が何で、それぞれどの程度の額なのか、それが何に基づいて決められているのかが調べきれないのですが、交付金なので市政側で額を変更できるものではないと思われます。

そうすると、国民健康保険税(料)を引き下げるための財源約6億円は、

  • 医療費給付を抑制する
  • 一般会計から借入れる

のいずれかの方法での捻出になります。生駒市の国保医療給付額の増加の主たる要因は「医療費が高い高齢者率が高い(65歳以上の率が37.2%で県内市1位)」、つまりこの層の多くは定期収入を得ていないでしょうから、市税の使われ方、つまり一般会計に興味を持たないとすれば、この政策は「ひとかたまりの投票集団を狙った」政策だと思われます。

よって、医療費給付の抑制策を伴っていない限り、会社員であり国民健康保険に依存しない私としては、この政策を掲げる候補者は支持しないのが妥当と考えます。