『システム提案で勝つための19のポイント』���野間彰

システム提案で勝つための19のポイント
野間 彰

翔泳社  2006-04-11
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p14 顧客からの反論をこわがる必要はありません。
p17 テーマ候補ごとに構築する仮設
 1. いつ、どのようなシステム投資案件が顧客で発生するか
 2. 顧客はその案件を、どのように検討するか。そこでどのような検討課題にぶつかるか
 3. あなたは、いつ、どのような情報提供や支援を行ない、どのような優位性を確立するか
 4. そのために、提案活動にどれだけのリソース���工数や経費���が必要か
 5. 最終的に、いつ、いくらで、顧客の誰から、どのような案件を受注するか
 6. 受注・遂行のために、どのような課題を、どのように解決するか
p25
 1. 常に顧客に喜ばれる情報を持っていく
 2. 売り込みではなく、価値を提供するスタンスを維持する
 3. 顧客からの質問や反論に対して、的確な回答や切り返しができる
p38 検証すべき課題
 1. これから関係構築を進める顧客とは、本当に「いつでも会える」関係が作れるか
 2. 「いつでも会える」関係になった顧客に、その顧客が将来投資する魅力的なテーマ���重点テーマ���が存在しているか
 3. 重点テーマは、今後顧客名社内で順調に承認されていくか
  …小規模企業では簡単に承認が停滞・覆される。その場合の考え方は、
    ①ある一定の率で、順調に進まないことを踏まえて活動する
    ②転覆の多いセグメントに対しては、異なった予想方法が必要

 4. 重点テーマ推進を支援し、必要な情報獲得や人脈構築、妥当な提案タイミングの把握ができるか
 5. 競争相手よりも先に提案し、勝つことができるか
 6. 受注できた場合、どれだけの収益を得られるか
 7. 提案、受注、開発にどれだけのリソース���時間、経費���が必要か
p52 「システムベンチマーク」…競争相手・先進異業種と比較し、遅れているシステム化領域を気付かせる
p60 徹底的に考える
p67 経営者や上司がそれぞれの提案領域の最大ポテンシャルや妥当な受注目標、リソース調達計画を、正確に設定することができるでしょうか
p75 経営課題さえわかれば、システム化の提案は考えられると思うかも知れません。しかし、革新策の知識がなければ、腕を組んで考えても、現状を革新するアイディアは出てこないのです
p79 現場の合意形成ができていない
p107 アイディアを評価し、絞ることよりも、可能性のあるアイディアを出しつくす
p113 事実を鋭く意味解釈し、インパクトのあるメッセージに仕立てることが必要です
p148  プロジェクトの変更管理
p148 変更管理を厳格に守るには、顧客プロジェクト責任者の上司に訴求すること重要
p159 自主研究への顧客巻き込み
p170 勝ちパターン
p178 ロジックとファクト
p184 徹底的に詰め切る

『IT投資で伸びる会社、沈む会社』���平野雅幸

IT投資で伸びる会社、沈む会社
平野 雅章
日本経済新聞出版社  2007-08

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  • ITで業績を伸ばすためには、組織の能力が一定以上に高まっている必要がある

p9「工場設計の支配的思想���ドミナントモデル���」

p52 アラル・ワイル
  • 戦略的���ビジネスパートナーとのサプライチェーン改善投資���
  • 情報的���企業内部のサプライチェーン改善投資���
  • 取引的���業務効率化投資���
  • インフラストラクチャー的���ITインフラストラクチャーの維持改善投資���


p79「組織と組織成員とを区別しないことに起因」

p85「組織IQ」
  • 外部情報感度
  • 内部知識流通
  • 効果的な意思決定機構
  • 組織フォーカス
  • 情報時代のビジネスネットワーク→継続的革新


p120「トラブルや事故は確率的に必ず起きるもの」

p136「e-Japanプロジェクトでは、行政の組織プロセスや手続きの大宗を変えることなく、単にITに置き換えるデジタル化だけを図るためにIT投資が行われたきらいがあります。」

p155「英国ではオフィスにたくさんパソコンがあるものの、その大半は特定の仕事のみを行うようにシステム部門によってあらかじめセットアップされて専用機となっていたのです」

p205「日本版SOX法・COSO・COBIT」

p209「内部統制に関わる経常的なIT費用は、大体売上高の0.07-0.35%」

『メモリー・キーパーの娘』���キム・エドワーズ

メモリー・キーパーの娘
キム・エドワーズ
日本放送出版協会  2008-02-26

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 1964年。デイヴィッドとノラは男女の双子を授かるが、娘はダウン症だった。デイヴィッドはノラを悲しませないようにと思い、ノラには死産と偽り、施設に預けることにしたが…。1964年から1989年に至る、ディヴィッドとノラ、その家族と周囲の物語。

 デイヴィッドが娘フィービを施設に預けることにしたのには訳がある。ダウン症だったから、ダウン症は寿命が相対的に短いから、といった理由だけではない。しかし、もし自分がその立場だったら、死産と偽って施設に預けるという決断ができるだろうか���反対に、ダウン症で生まれてきた子どもを育てていくことに、なんら悲嘆や不安を感じずにいられるだろうか���あるいはダウン症をどれほどのことか把握できるだろうか���何もかもわからないことだらけだった。そして、そのわからないことだらけのまま人生を生きていかなければならないという命の重みを静かに味あわせてくれたのは、この小説が25年という年月を描き切っている長編であるからに他ならない。

 デイヴィッドは妻ノラと息子ポールに秘密を打ち明けることができず、その後起きる辛い出来事はすべて、自分のその決断の報いだとして絶えて生きていくことに徹する。その秘密を隠し通したことで、彼と家族のすれ違いは解かれないまま彼は生涯を終えてしまう。その秘密を打ち明けたほうが正しかったのかどうか���デイヴィッドがどこまでそのすれ違いに自覚的なのかは判らないけれど、自分の行いの報いだとしてそれを受け入れて生きていこうとする姿勢は、例えそれが独り善がりでも間違いでも、なぜか共感するところはある。

 ポールの「アメリカ人にはうんざりだ」や、ポールの恋人ミシェルの「犠牲を払うのはいつも女」など、しばしば「日本人の習性」といって嘲笑される行動や、欧米ではこんなに男女平等が進んでいるなどと取り上げられる知識が、いかに受け売りで胡散臭いものなのかを知らされる部分があった。一方で、会話で出てきた事柄を真実として前に進んでいくところ、これはやっぱり日本とアメリカで違うところなのかも知れないとこれも改めて思った。日本は、いくら会話をしたとしても、「本当のところはどこか違うところにある。隠されているものが真実である」という感覚を胸に持って生きている感じがどうしてもするから。 

p26「まぶたを横切る蒙古襞。平たい鼻。」
p57「ノラは額縁にはいった父の写真を段ボール箱にしまいながら、やり場のない怒りに駆られて顔をほてらせた。」
p183「さっきまでケイ・マーシャルを羨んでいたかと思えば、今度はまったく別の理由でブリーを妬んでいる。」
p202「おまえはこれから順風満帆の人生を歩むんだ、たぶんもう父さんや母さんに連絡をよこすこともなかろう。わしらみたいな人間に割く時間はもうないだろうしな」
p222「テーブルで飛び交うのは、いまや数字や記号、そして制度の変更は無理だという声、声、声。」
p254「その秘め事のおかげで、デイヴィッドとの距離に以前ほど耐えがたさを感じなくなった。」
p316「辛抱を切らした自分が腹立たしかった。」
p351「たぶん広く一般にも、”代償の理論”というのがある。」
p363「ジューンを、母を、ノラを慰めたい、そう願ってきた。そしていまもやはり、これまで同様なにもできなかった。」
p447「アメリカ人にはほんとうんざりだ」
p480「土曜日���アルが仕事から帰ってくる日。いつもフィービにはなにかプレゼントを、妻には花束を持って。」
p508「犠牲を払うのはいつも女のほうなの。」
p522「あなたぐらいの歳のころ、私もこんな色が好きだった。」
p528「そのすべてが、フィービの歩んできた人生とくらべて、なんだかくだらなく思えた。」


『ゆれる』���西川美和

ゆれる
西川 美和
ポプラ社  2006-06

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 しっかり読んだのに、メモを取る前に返却期限を過ぎてしまい、時間に余裕がなくてそのまま返しちゃったのが後悔。人間の感情の襞のイヤーなところを畳みかけてくるところがなかなか良かった。現代文学ではあんまりこういうモチーフの小説がないから。近代小説だとほとんどこういうモチーフなのにな。やはり、現代の問題意識というか興味というかは、人間性ではなくて欲望だからなんだろうかな���近代小説も、もちろん欲望がテーマになってるのもたくさんあるけど、人間性がテーマになってるのも、それと同じくらい存在する気がする。
 『ゆれる』は、人間性の問題というより、タイミングの問題なんじゃないかなこれって、と思うとこがない訳じゃなかったけど、妬んだり決めつけたりというネガティブな人間性でドラマが成り立ってて面白かった。最も認識に残ったのは、血のつながりがある関係であっても、あまりに繰り返すと、決め付けが固定してしまうんだなあという怖さ。我が子であっても、「こういうヤツだ」って決めつけてしまうくらい疲れてしまうんだなあと、その点は怖かった。

『ピンクペッパー ���』���南Q太

ピンクペッパー 1 (1) (Feelコミックス) (Feelコミックス)
南 Q太
祥伝社  2008-10-08

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 できちゃった結婚した������代カップルの育児、仕事、日々。

 南Q太は『さよならみどりちゃん』で知って大好きになって、結構コレクションしてます。新刊が出たというのでamazonで買ってみたら、今まで見たことのない作風・テーマでこれまた感動。
 できちゃった結婚ってなんでそうなるんだろう���と思ってたら「えー���こんなことほんとにするんか���」という驚きもあったし、南Q太らしい生々しいタッチももちろんあるんだけど、同じ生々しさでも、子供をもったことによる日々の心持の違いを、陳腐なようで陳腐にならない表現で描いててどんどん読み進む。

 「������過ぎてやっとわかることってあるんだね」というセリフがあって、もしこれを������代の頃読んでたら、絶対今のオレでわかってやるって意地になってたと思う。でも、今は、������にならないとわからないこともあるんだろうなあと思うし、オレが今不安に思ってるコレは、実は人より少し早く気づいちゃったことで、まだそのキャパシティを持てない年齢だったから余計不安になっているので、もう少し落ち着いたほうがいいとか、逆に������代に気づいておくべきことを、今頃気づいちゃったよ情けないなあとか、いろいろちぐはぐな自分をちょっと落ち着いて見つめるきっかけにすることができる。これは大きなことじゃないかなあと思う。

 「欲しいと思ったものをすぐに欲しがる 子どものようだ」と主人公のしょう子が思う場面。欲しいと思う、こうなりたいと思う、こうなってほしいと思う、それ自体は悪いことじゃないと思うけど、思い通りにならない間や思い通りにならなかったときに次にどうするのかで、その人が決まるのだと思う。南Q太の漫画に出てくる人物は、みんな、出くわした場面に対していっこいっこ正面からぶつかっていこうとする。その姿勢を見習わないとなあと思う。

 やっぱり、しょう子と両親との関係のあたりが泣けてくる。お母さんとのジェネレーションギャップは大変なものだけど、当然思いやりとか優しさとかはおんなじで、そういうのが愛だよねと泣けてくる。

 

『葉桜の季節に君を想うということ』���歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
歌野 晶午
文藝春秋  2007-05

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 普段あまり読まないミステリーですが、この小説は、読み進めながら頭の裏側で少しずつ感じてる違和感がラストで一気に繋がっていくところが面白かったのと、主人公の成瀬将虎の切符のいい語り口が楽しくてすいすい読めました。成瀬は言葉もそうだけど、何か行動を起こすときのロジックが驚くほど筋の通ったもので、それが「筋を通すことの大切さ」を改めて思い起こさせてよかったです。

p101「とにかく観察しろ。意味は考えなくていい。見たことをそのまま頭に叩き込んでおけ。そうすればおまえの頭がそのまま貴重な資料となる。」
p104「しかし労力を厭う人間は珍しくない。」
p130「過去から学ばない人間は、猿以下の動物と一緒だ」
p135「そう自覚しているだけまだましだと、愚にもつかぬ自己分析に酔いしれている甘ちゃんなのである」
p139「戸島会の組織図が頭の中に叩き込まれ、組員の性格や癖もかなり把握できた」
p178「誰が殺ったのであろうと敵は討つ」
p234「わからないふりをしてみせるのも、円滑なコミュニケーションを図るうえでは重要である」
p250「しかし、不動産屋にフィリピン人妻と聞かされて驚いた俺にも、差別の意識が根深くあるのだろう」
p265「千恵が生まれて半年くらいはしあわせだったなあ」
p341「俺は自己愛が強い男だ」
p362「明日、心が穏やかになっている保証はない」