微かに、微かにだけど積み上げできているかも、という実感。
帰社時間が昼休みにかかったのでジュンク堂に寄り道。今、どんな本が売れてるのかというのを表紙を眺めながら歩くのが楽しいので(買う気はなく)3Fをぶらぶらして「近いうちに読みたいな」と思ったのがタルディの『塹壕の戦争』。漫画なので少し立ち読みしてしまったのだけど、日本対どこか、じゃなくてどこか対どこかの戦争のイメージというのは本当に全くできていないものなんだなというのを思い知らされたショックが大きかった。
で、とぼとぼと歩いていると目に飛び込んできたのが「多動」「若林恵」「コンヴィヴィアリティ」。ここ最近気を取られているキーワード連発で思わずその『現代思想』を手に取って読み出す。目を取られた特集はドミニク・チェン氏と若林恵氏の対談なんだけど、「多動」はもちろんポジティブに取り上げられている訳ではなく、それはADHDというような多動をネガティブにとらえているということではなくて(そもそも例の「多動」が、そこを反転するような意味感で使ったところがやらしいしややこしくしている)、多動はテックがアテンションを強制するように差し向けた受動的な状態だからいい状態なはずではない、という認識から始まって、消費の強制のされ方とか主観の強制のされ方とかに話が移ろっていく。一度読んだくらいでは全然消化できない。もちろん買いました。
先日読了した『「待つ」ということ』でも問題意識にあった「所要時間を極限まで削っていく社会の行き先」みたいなものとももちろんリンクするし、ドミニク・チェン氏のことも民藝のことも、今まで興味を持ったら読んでいたことが積み重なっていっている微かな希望を見た気がした。
ジュンク堂書店大阪本店: 大阪府大阪市北区堂島1-6-20 堂島アバンザ2階~3階
ちょっと寄ってみたら、欲しい本のオンパレードで困った!
ほんとうに何の気なしに寄ってみたら、そんなときに限ってあれも欲しい、これも欲しい、ってなる。あれはたぶん、「本を探す」という行為は、頭の中が空っぽのほうが適しているということなんだろうなあ、と今振り返ってみて思った。暇つぶしに図書館に行ったときのほうが、目にした本に興味を覚えることが多い気がするし。
とりあえず足を運んだIT棚で、目に飛び込んだのがこれ。
| さよなら未来――エディターズ・クロニクル 2010-2017 | |
![]() |
若林 恵 岩波書店 2018-04-20 売り上げランキング : 13970 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
國分功一郎xかこさとし対談、のポップで即決。
その割にはそのポップを写真に撮ってないんだけど。
中途半端に時間が空いたので難波のジュンク堂へ。オフィスからすぐのところに本店があるんだけど、なんとなく未知との遭遇は難波店のほうが相性がいい。ちょうと昨日、『100分de名著 ペスト』を読み返し、最近最新の哲学とか思想とか全然触れようとしていないなあ、でもろくに(趣味で)本を読む時間も取れないし致し方ないよなあ、と諦めて寝たところ。かといって哲学書とか見ようとはっきり思ってジュンクに行った訳じゃないので意味もなく「料理」の棚を一棚ずつ眺めて回ったりし、巡ってきた『現代思想』の棚でポップつけられてたのがこれ。買わない訳ないよね。僕が難波店に行った後しばらくの間に難波店に行って『現代思想』の棚に行って、「かこさとし特集」ってポップがあるのにその本そのものがない、置かれているべきところがぽっかり空いてる棚に巡ってしまった人、すみません。
![]() |
現代思想 2017年9月臨時増刊号 総特集◎かこさとし ―『だるまちゃん』『からすのパンやさん』から科学絵本、そしてあそびの大研究まで・・・広がり続ける表現の世界― かこさとし 國分功一郎 中村桂子 池内了 蜂飼耳 枝元なほみ 猪熊弘子 岡崎勝 渡邉麻里子 藤原辰史 青土社 2017-08-28 by G-Tools |
触発。SHOCK HEARTS!(THE YELLOW MONKEY)
この2,3年の体調不良は歯が原因じゃないかと最近娘と同じ歯医者に通い始めて、治療後40分くらい飲食業できない間に本屋にて、”生駒市民なら読まないとね!”というポストに触発されて。そう、これ未読だったなあ。なぜか遠ざかってしまうことがあって、機会があるならとらまえないとなあと。イエモンもなんか遠ざかってしまうことがあるんだけど"HORIZON"よかったしなあ。
旭屋カルチャースクエアイオンモール奈良登美ヶ丘店 奈良県生駒市鹿畑町3027番地
なんで「街の本屋で本を買う」なのにamazonかというと、街の本屋どこも置いてなかったから。
最初、amazonで検索したら「現在在庫切れ」に続いて発送予定が4,5日後という珍しいシチュエーションで、それなら近所の本屋で買おう、この話題の書がない訳ないだろうと回ってみたのだけど、ない!最寄りの啓林堂書店生駒店、その次の啓林堂書店学園前店、そして西大寺のジュンク堂書店奈良店、どこもない。そういう訳で、街の本屋の状況がよくわかる事例だなと思って書いてみた。
今回、三件回って改めて思ったのは、本屋にある小説新刊の書棚の少なさ狭さだった。ちょっと前までは本屋と言えば小説新刊の棚が圧倒的だった。今ではほんとに見る影もない。三件本屋を歩き回って棚の配分についていろいろ思うことがあったのだけどすっかり忘れてしまった。
![]() |
オペレーションZ 真山仁 新潮社 2017-10-20 by G-Tools |
まず間違いなく今年のナンバーワンでしょう。必読。でも全然耳にしない。目にしない。
当時TBSワシントン支局長の山口敬之氏を告発する内容になる本著。facebookで出版されることを知り、しばらくしてまたタイムラインに流れてきて、「あれ?もう出版されてるのかな?」と思ってamazonを見たら10/18付で発売になっていて、それならと近所の近鉄百貨店内の啓林堂書店へ。これだけのインパクトの新刊だから簡単に見つかるだろうと思って平積みコーナーに行ったら…
ない!!
正直、何の基準で選んでいるのか全然わからない平積みコーナーでした。もうちょっとテーマ性のある平積みコーナーだった気がするけどなあ。結局、普通の単行本の「ノンフィクション」の棚にありました。この本はもうちょっと前面に出したほうがいいと思うけどなあ。
![]() |
Black Box 伊藤 詩織 文藝春秋 2017-10-18 by G-Tools |
何をどこまで信じればいいか君が僕に教えてよ。
詳細は省くがキリスト教葬儀を初めて経験した。家族と新大阪駅で待ち合わせし、先に着いたので時間つぶしのつもりで入ったリブロですぐに目に飛びこんだのがこの『100分de名著 歎異抄』だった。親鸞はこれまでも幾つかの"導き"で何冊か読んだことがある。中でも衝撃が強かったのは県立図書情報館の乾さんに薦めて頂いた『歴史のなかに見る親鸞』。すべてをひとつのものに依る、という点でキリスト教と親鸞ー浄土真宗に類似点を感じていた僕は、では何がその2つを分かつのかを、親鸞を改めて読むことで考えたいと、この『100分de名著 歎異抄』を見て思った。しかし、手元に本は残っているし、その時のノートも残っているから、それらを再読するのが先だと一度は見送った。なのに結局買う気にさせたのは、手持ち無沙汰にスマホを弄っていたら目に入ったヤッさんの「#街のレコ屋でCDを買う」というハッシュタグだった。こういうのはすべてタイミングなのだ。人生はバランスとタイミングなのだ。
そうして、「何をどこまで信じるかを君が僕に教えてほしい」という言葉は、年々自分の中で意味が広がり深みを増してくる。そう、信じるものしか救わないセコい神様を僕自身から信じるのではなく、君に僕が教えてもらうのだ。
![]() |
『歎異抄』 2017年10月 (100分 de 名著) 釈 徹宗 NHK出版 2017-09-25 by G-Tools |





