街の本屋で本を買う - 2014/04/08 ジュンク堂書店大阪本店 『BBANKSY'S BRISTOL:HOME SWEET HOME』

実は初めて目にしたのはふたば書房京都駅八条口店なんですが、移動の多い日で荷物が重くなるので迷った挙句買わなかったのでした。
アートにめっぽう造詣のない僕が名前を知ってる数少ないアーティスト、バンクシー。それでも覆面アーティストであること、高尚で警備も厳重なはずの美術館に人知れず自分の作品を展示したりしてしまうアーティストであること、くらいの知識しかありません。でも記憶に残ってる、胸にひっかかりが残ってるアーティストです。 少し立ち読みしたら、「バンクシーは反市場主義者か?」という問いかけをバンクシーの知人だか関係者だかに投げかけているページで、そこでのやりとりが極めて現実的で、バンクシーの活動と意味付けが鋭く言語化されていて、これは全部読みたいなとその場でピンと来ました。でも移動の多い日で・・・残念ながら出会ったふたば書房では買えずに、会社の近くのジュンク堂本店で買うことに。街の本屋で本を買うのにも利便性はついて回ってしまうのです。
4861823536 BANKSY'S BRISTOL:HOME SWEET HOME
スティーヴ・ライト 小倉 利丸
作品社 2014-02-28

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街の本屋で本を買う - 2014/04/07 ジュンク堂書店梅田ヒルトンプラザ店『日経ビジネス3/24号』→三省堂書店京都駅店『WEDGE 2014/4号』

先日、中之島図書館に返却ついでにいつものように10分程度雑誌を読んでいて、ユニクロの経営方針転換を報じた『日経ビジネス3/24号』が(「食卓ルネサンス」という記事も含めて)非常に面白くて通しで読んでしまいました。その非正規社員の正社員転換策を読んでいると、こないだウェブで読んだドワンゴの川上会長が就活を批判している記事を思い出しました。そしてそれが『WEDGE』に掲載されているのを広告で見て、何故JR肝煎りのWEDGEがリクルートを名指しで喧嘩売ってるんだろう?原発大賛成というプロパガンダを掲載するようなレガシーエスタブリッシュよりの雑誌が?と疑問を抱いてしまうと、この就業に関する記事に立て続けに出くわした状況を無視できません。『日経ビジネス3/24号』と『WEDGE2014/4号』を買ってじっくり並べて読みたい!しかしながら『日経ビジネス』は定期購読誌。普通の書店では買えないしと思いとりあえず『WEDGE』を探すけどこれもJRの駅に絡む本屋じゃないとなかなかない。いっそ両方電子書籍で買うか、と思いながらジュンク梅田店でWEDGE探してたらなんと単体売りされている日経ビジネスを発見!ジュンク難波ては見つけられなかったのに。喜んでバックナンバー棚を漁るけどお目当ての号はない…。ジュンク難波でも端末で探してみたんだけど、『日経ビジネス』という、いろんな書籍に被せられる名前のついた雑誌を検索するのは難しく、単体売りが確認できているジュンク難波でも端末で『日経ビジネス』を見つけることはできませんでした。

出張で新幹線に乗る予定があったので、Wedgeは駅で買うことに、日経ビジネスは電子書籍で買って、新幹線で読み比べようと考えましたが、例によって出版社独自の電子書籍のひどいこと。日経ビジネスはNIKKEI BP STOREという電子書籍フレームなのですが、まずもってひどいのはオンラインじゃないと読めない!

オンラインじゃないと読めないということは、どのくらいでタイムアウトになる設定なのかまだ調べてないですけど、あるページじっくり読んでてさあ次のページ、とめくると「ログアウトされました」みたいなメッセージが現れて再ログインさせられる訳です。読んでられるかこんな本!

コンテンツ盗用を防ぎたい意図は重々承知しているんですが、「読めない本」を売るというのはどうにも理解できません。ましてSurfaceの画面サイズに合わせた見開き表示すると本文記事の文字は全然読めません。なので頻繁にピンチしてスライド、を繰り返すことになって煩わしい。それを解消するためなのか、「テキスト」というウィンドウがあって、文字通り記事が標準のテキストファイルのイメージで表示されるウィンドウを表示させることもできますが、そうなると電子書籍である必要ゼロ。記事の内容を組み替えてメールで配信するメルマガモデルに戻ってくれたほうがまだまし。

出版社毎に工夫を凝らして、こんな売れるか売れないかわからないようなプラットフォーム独自開発してお金無駄にして電子書籍化も遅らせるようなら、素直にamazonのプラットフォームに一斉に載ったほうが全然賢いと思います。そうまでして守りたいものはいったい何なんでしょう。TVでさえ視聴者をネットに奪われると言っているのに、このままじゃあ本なんてほんとに見捨てられると思います。

街の本屋で本を買う - 2014/02/17 スタンダードブックストア@心斎橋→天牛堺書店ekimoなんば店 『週刊 東洋経済 2014年 2/15号』/東洋経済新聞社

さすがに東洋経済はなかったですが、日経ビジネスやCOURRIER JAPONは置いていて少しびっくりしました。

昼休み、中之島図書館に返却と貸出に行った際、目に入った東洋経済。表紙に「70歳まで働く 45歳から考える「次の仕事」」。これは買ってよもう、電子書籍版がいいかと思ったけれど読みにくいことは判っていたので、これは紙の書籍で買うことに。

で、売ってる訳ないと思いつつ、ルート上行きやすかったスタンダードブックストアへ。かなり久し振り。スタンダードブックストアにビジネス書買いに来ることなんてなかったので気付かなかったけれど、意外にも「Business」というラベルが貼られた書棚が結構多いです。ビジネス系の雑誌なんて見たことなかったと思ってたのですが、冒頭書いた通り幾つかはありました。Businessの棚はやはりIT絡みのものが多かったです。気になっていた『Yコンビネーター』を見つけたのでしばし立ち読み。有限責任が理解できてなかったドイツ人学生とか、意外と普通にいるんだな~となぜか少し安心。そう言えば、いかにもスタンダードブックストアに来そうな雰囲気の女の子二人組がホリエモンの新刊を手にしてたのをみて結構な衝撃を受けました。サブカルチャーなのかカルチャーなのか、そういう意味でポップになり浸透していくというのはあまり良いことではない気がしました。これは少しきちんと考えたいなと。

店を出てここから最寄りのビジネス誌売ってそうな本屋どこだ?と思い浮かべてみたらこないだ行った天牛堺書店ekimoなんば店が。なんばは四ツ橋筋がジュンクとBook 1stが並んでて便利だと思ってたんですが、やっぱり御堂筋側にあるのは強いですね~。今後はこちらのほうが利用頻度が高そうな気がします。

B00I48R27E 週刊 東洋経済 2014年 2/15号 [雑誌]
東洋経済新報社 2014-02-10

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街の本屋で本を買う - 2014/02/06 三省堂書店京都駅店 『クオータリー マグナカルタ Vol.05 WINTER 2013』/ヴィレッジブックス

「税金から逃げるのは誰だ」-このオビの文句でノックアウト。

少し前ここに来た際、『早稲田文学』の存在を初めて知って、欲しいと思ったんだけど荷物が重すぎてその日は買う気にならず、再び訪れる機会が出来たのでその棚に来てみたら目に飛び込んできたのがこの『マグナカルタ』。『早稲田文学』もそうですがこの『マグナカルタ』もvol.5とありしかも季刊誌のようなので、1年以上前からあるはずですが初めて知りました。本に関しては結構アンテナ伸ばしてるつもりだったんですがかなり鈍ってることを痛感。amazonでしょっちゅう本買ったり探したりちらちら流しブラウジングしたりしてますが、『早稲田文学』も『マグナカルタ』もリコメンドされたこと一度もない。ちゃんと売ってるのにね。文学中年に対しては、amazonのリコメンデーションはまだまだです。AQUAのCM曲あれなんだったっけ、と思って調べてああ千本桜か!と判ったついでにamazonでもちょっとサーチかけてみた後はリコメンデーションがミク初音一色になりましたけどね。

クオータリー マグナカルタ Vol.05 WINTER 2013
  Vol05 WINTER 2013 島地 勝彦

ヴィレッジブックス 2013-12-20
売り上げランキング : 26161


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早稲田文学5
5 松田青子 川上未映子 蓮實重彦 黒田夏子 阿部和重 セース・ノーテボーム タチヤーナ・トルスタヤ ドン・デリーロ アラン・ロブ=グリエ プラープダー・ユン 田原 ヤマザキマリ

早稲田文学会 2012-09-07
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街の本屋で本を買う - 2014/01/31 天牛堺書店ekimoなんば店 『COURRIER JAPON Vol.112』/講談社

なんだかんだ言って新しい本屋、結構できてると思うんだけど。狭い商圏に。コンビニ戦争みたい?

難波でちょっと時間があったのでジュンクとBook 1stをハシゴするという時間の浪費をしつつ、「こないだ『現代思想』も買ったとこだし、買いはしないぞ」と思ってたけど、もうちょっとぶらっとしたら御堂筋の北側改札近辺で天牛堺書店に遭遇。びっくりして思わず吸い込まれる。だいたいekimoが出来てたのも知らなかった。ekimoって天王寺の地下鉄駅ソトのちょっとした施設のことだと思ってました。なんばにも出来て、梅田にも作ってるって初めて知りました。

天牛堺書店は大江橋で初めて見たんだけど、古本屋さんって記憶してたんですがこのekimoなんば店は古本屋さんの雰囲気は全然ありませんでした。入ってみて印象に残ったのはバックナンバー。

こういうバックナンバーの陳列するところ、別に珍しくもなんともないんですけど、ここは妙に目に飛び込んできた。バックナンバー並んでても気づかなかったり探そうという気にならないことがほとんどなんだけど、ここは何故かバックナンバーから目に飛び込んでくる感じ。高さかな?よくわかんないけど。

せっかく入ったので、先日買わなかった『COURRIER JAPON』を買って帰りました。”「言葉」こそがあなたの武器である”に惹かれて買ったけど、思っていたよりもハウツー的というか、「成功を勝ち取る」ための方法論みたいな内容だったのでちょっと期待してたのと違いましたけど。

B00HS3GFGK COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2014年 03月号 [雑誌]
講談社 2014-01-25

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街の本屋で本を買う - 2014/01/28 ふたば書房京都駅八条口店 『現代思想 2014 vol.42-2』/青土社

読みかけの本が山ほどあるのに、出会ってしまうと買わずにはおれないのが本好きの証。
京都駅で乗り換えの際、ちょっとだけ時間があったのでみやこみちにあるふたば書房へ。近鉄八条口はとても便利なんだけど、近鉄京都駅の改札を出たところからは全然目立たなくていつまでたっても存在が頭に入りません。でもあそこにふたば書房があるのはとても便利。

特に何を見るでもなく(と言うのは先に新幹線駅構内のBOOK KIOSKで、ニューズウィーク、ダイヤモンド、日経ビジネス、東洋経済と一通り立ち読み終わってしまってたから)ぶらっとし始めたその矢先に目に飛び込んできた「國分功一郎プロデュース キルケゴール」の文字!「『現代思想』に”プロデュース”と来たよーしかし似合うなあ”プロデュース”、先生」と感嘆しながら手にとってみる。と、その先には気になっていた「『言葉』こそがあなたの武器である」の言葉が踊るクーリエ・ジャポンが。しかしクーリエ・ジャポンはすでに認識してたものだし、ネットで買ってもいいかと、もうひとつ天秤にかけた本を止めて『現代思想』を買いました。もうひとつ天秤にかけた本というのは『BRUTUS特別編集 合本・大友克洋』でした。

現代思想 2014年2月号 特集=キルケゴール (現代思考)
 20142  國分功一郎 藤野寛 柿並良佑 星野太 松本卓也 長門裕介 Th・W・アドルノ M・フリード H・デ・ヴリース P・フェンヴズ 宮崎裕助 大橋完太郎 佐藤啓介 串田純一

青土社 2014-01-27
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街の本屋で本を買う - 2013/12/15 ジャパンブックス生駒南店 『文藝春秋 2014年01月号』/文藝春秋

本を買うタイミングというのは意外に難しい。

 通勤電車の吊り広告で、文藝春秋に村上春樹が書下ろしを掲載したことを知って(しかも二作目と書いてある。一作目の時点では気づかなかった。不覚)、外回りの合間にさっそく買いに行こうと考えた。ちょうどいい具合にジュンク堂が近かったので買いに向かおうと思ったものの、「買う本が決まっていて、しかも定番の本ならそれは地元の本屋で買うのがよろしいのではないか」と地元愛の強い県外勤務者の私は思い当たり、文藝春秋のジュンク堂での購入は踏み止まった。

 同時に思い出したのがSmart ICOCAへのポイントチャージで、近くのJRの駅でポイントチャージを、と思い、はたとどうせチャージするならICOCAで買えばよいのでは、と思いつく。けれどたぶん地元の本屋では電子マネーは使えない。なにせクレジットカードも使えなかった。しょうがない、ポイントチャージ分は別のものを買おう、と切り替えたところに「あ!あの本買えばいいじゃないか!」と思いついたのにその時本を買うことを有耶無耶にしたばっかりに今になってもその書籍名が思い出せない。文藝春秋は無事、近所のいつものジャパンブックスで購入できたものの、あの時チャージ分で買おうと思った本が何だったのか思い出せないまま、チャージした金額は出張のたびにホームで買う缶コーヒー代でじわじわ消えていっている。

B00GUP6QYS文藝春秋 2014年 01月号 [雑誌]
文藝春秋 2013-12-10

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街の本屋で本を買う - 2013/11/19 MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 『福島第一原発観光地化計画』/ゲンロン

すごく楽しみにしていた一冊。無事出版されてよかったです。

まず一通り流し読みしてみて意識したキーワードは「欲望」と「動員」。僕にはこの二つとも、「風化させない」という意思と繋がります。そもそも観光地化すること自体、いかに「記憶を繋いでいくか」という、「非風化」の試みだと思っていますが、それを更に深めるキーワードとして「欲望」と「動員」があるのかなと思ってます。

特に「動員」は、福島第一原発に関わってだけでなく、ここ最近の現代社会で気になっているキーワード。「関与する」「参加する」というのはどういうことなんだろう?という疑問。ネットでのコミュニティやコミュニケーションはもはや当然、という風潮と、ネットなどというバーチャルな関係性ではダメだ、というアンチネットな風潮がある中、そういう「ネットに対する反発」の感情が若干混じった形でのリアル重視ではなくて、やっぱり生身の身体が実際にその場にいることの重要性を最近改めて信じ始めているので。それは単純に、「安易なことは価値を失っていく」という法則に則っているだけなんだけど、ウェブのクリックで簡単に示せる意思表示というのは、クリックするだけの簡単な意思表示だからその「ありがたみ」は当然減少し、苦労なくしてできることはもはや価値を失ってしまう。でも、実際にその人が行動で示すことというのは、それだけの時間も労力も使うもので、その分有効性は保たれるのではないかなと思う。だから、福島第一原発を観光地化する際にその目的として「動員」が取り上げられるのはとても納得がいくのです。

4907188021 福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2
東 浩紀 開沼 博 津田 大介 速水 健朗 藤村 龍至 清水 亮 梅沢 和木 井出 明 猪瀬 直樹 堀江 貴文 八谷 和彦 八束 はじめ 久田 将義 駒崎 弘樹 五十嵐 太郎 渡邉 英徳 石崎 芳行
ゲンロン 2013-11-15

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街の本屋で本を買う - 2013/11/17 ジャパンブックス生駒南店

本を読むのも、ただなんということもなく楽しみに感じなくなっている昨今。なんだろうこの気分。

書評を読んだり本屋で見かけたりして、気になっているタイトルは溜まっているけれど、なぜか今一つどれも手に取る気になれない。手に取ろうと思うと頭に浮かぶどんよりとした気分。それが何なのか何が原因なのかわからない、読もうと思ったら休みがだいたい一日潰れてしまってこれで良かったのか?と落ち込んでしまうのを思い起こしたからなのか、読書という行為をちゃんとやっているのに何か無駄なことをしたと思ってしまうことに自分自身幻滅してしまうことを思い出すからなのか、よくわからないけれどとにかくどんよりする。

なんとか打開したいのでとりあえず有益無益を一切考えず、いちばん今自分が興味の持てる『動きすぎてはいけない』を買おう、と近所のジャパンブックスに行ってみたけれど、薄々分かってはいたけれど、さすがに近所の小型の本屋さんにそんなゴリゴリのドゥルーズ哲学本置いてる訳ありません。本棚をくまなく探してみて偶然見つけたのがよしもとばななの『すばらしい日々』。知らないタイトルだな、いつの刊行だろ?と手に取ってみたら帯には「震災、放射能、両親の死ー」と書かれているし、これはそんなに古い本ではないと思ったら2013年10月25日初版。せっかく出会ったのでそのままご購入。だいたいこんな塞ぎ込んだ気分のときにはよしもとばななに助けられることが多いな。有難い。気楽にさっと今日読んでしまおう。

すばらしい日々
よしもとばなな

幻冬舎 2013-10-24
売り上げランキング : 953


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街の本屋で本を買う - 2013/11/15 ジュンク堂書店 梅田ヒルトンプラザ店

2か月前、「今こそ原子力推進に舵を切れ」と謳った雑誌が、「福島の被災者が見たチェルノブイリ」とは。

B00EQ5H72O WEDGE 2013年9月号 今こそ原子力推進に舵を切れ
岡本隆司 竹本三保 原田 泰
株式会社ウェッジ 2013

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チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』は過去の原発事故の歴史に学ぶという難しい課題を詳細に伝えてくれた本でした。『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』と、WEDGEの2013年11月号「福島の被災者が見たチェルノブイリ」とは、どちらもチェルノブイリの現地を取材し、現実に学ぶというスタンスと思われるのに、なぜこうも受ける印象が違うのだろう?『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』が言うことは真摯に受け止め自分なりに考えてみようと思うのに、WEDGEの言うことは最初から反発する気満々になってしまう。

WEDGEを出版しているのが株式会社ウェッジという会社だけど、株式会社ウェッジはJR東海の関連会社で、WEDGEはびっくりするくらい正直にJR東海の意向を反映したような記事を前面に出してくる。その最たるものが2013年9月号の「今こそ原子力推進に舵を切れ」だった。原子力を封印していることで燃料費4兆円という国富が海外に流出しているとか、なかなか言い返しようのない論法で原子力推進を押してくる。WEDGEはグリーン車で無料配布なので、読者ターゲットもアッパーミドル以上、経営者層なので、「一般世間は原子力反対なのでおおっぴらには言いにくいけれど、事業コストを考えれば電力費は安価なほうがいいから早く原発再稼働してもらいたい」と思っている層にうまく取り入る記事を掲載している。

そんなWEDGEだから、これにお金を出して利するというのは、僕一人が買おうが買うまいが態勢に影響はないんだけど、態勢に影響がないからといって自らの行動をいい加減にするのが最もよくないと常日頃言っているので、ここはひとつ、WEDGE2013年11月号が何を言っているかは、買うのではなく立ち読みで調べようとと、ジュンクヒルトンプラザで立ち読みした。

結局、WEDGEのチェルノブイリ特集から感じるうさん臭さというのは、「自分たちに都合のいい結論ありき」で、それを補強するために、あたかも過去の歴史に学ぶ姿勢を持っているとアピールするのにこれ以上ない「チェルノブイリ」を持ち出しているところだと思う。『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』は原子力発電をどうするかについては保留して、チェルノブイリの現状から正しい知識を学ぶことと、福島原発を「観光地化」するという案の説明に徹している。開かれたジャーナリズムというのは、決して中間で客観的な意見を伝えるということではないのだとすると、JR東海の意向を如実に反映するWEDGEもひとつの役割を持っていて、努めて客観的な記載にし、原発をどうするかについて明確なスタンスを出していない『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』はジャーナリズムとしては中途半端ということになってしまうのだろうか?