街の本屋で本を買う - 2023/11/04 図書情報館「秋、みのりのマルシェ」棚音文庫『現代思想入門 』/千葉雅也 Kirja『作家と珈琲』/平凡社

本に出会うフィールドを、気づいたら広げてたなあと気づいた。

ふうせんかずらに参加してから、古本屋へのハードルが劇的に下がった。古本屋にもいろんな形態があるというのも知ったし、自分が古本屋に出すという行為もできるようになったし、その繋がりで教えてもらった本屋さんに足を運んでみる機会も増えた。広がりが増えると行けるお店も限られてくるけど、棚音さんの出展は必ず追いかけるようにしてる。必ず読みたい本があるから。

「秋、みのりのマルシェ」はふうせんかずらつながりのKirjaさんも出るってインスタかなにかで見てたので、棚音さん覗いてから探そうと思ったら、速攻棚音さんにKirjaさんのブースあっちって案内された。相変わらず商売っ気のない棚音さん。そしてKirjaさんはわからないかなーと思ってたのに顔を覚えてくれててびっくり。ご家族で来られてて温かい空気感のブースでした。

街の本屋で本を買う - 2020/08/12 旭屋書店 イオンモール奈良登美ヶ丘店『カモナマイハウス 』/重松清 『R・E・S・P・E・C・T』/ブレイディみかこ

子どもの興味を更に伸ばすためには何といってもタイミングが大切。

娘が学校だか塾だかの国語のテストで出た物語が面白かったらしく、物語全体を読みたいからその本を買ってほしいと妻にねだってきたと聞いて、誰の本?と問うたら重松清、との答え。重松清とは我が子ながらいいセンスをしてると感嘆。年長か小1かのときに、棚音文庫さんとこで買って帰った『きみの町で』を引っ張り出して、これも重松清だったんやで、とか話が弾む。

そんな中、妻が旧友との集いに出かけたので娘と一日過ごすことになり、用事のあったイオンモールで本屋に入ったらいの一番に目に飛び込んだのが『カモナマイハウス』。帯を見ると、この作者らしい、時宜を捉えたテーマで娘でなくても読みたくなる。近くにあった、新刊案内で見て気になっていた『R・E・S・P・E・C・T』との相乗効果で2冊とも購入。娘が読書好きになっていってくれると共通の趣味になって嬉しいので、興味を持った文章にはとことん付き合うようにしよう。

街の本屋で本を買う - 2020/07/17 蔦屋書店 周南市立徳山駅前図書館『くもをさがす 』/西加奈子

再会してしまったので。

先週、近所の啓林堂を物色してたら、『無人島のふたり』と本著が並んでいて、山本文緒氏が亡くなっていたことも知らず自分のアンテナの鈍り具合にしばし呆然とし、この2冊は読まねばならないと思ったものの現在手をかけている本があるためいったん我慢したのだけど、法事で帰省した山口の帰りの新幹線に乗るまでの時間つぶしでいつも入る蔦屋書店で本著に再会し、これは買わねばなるまいと購入。

この蔦屋書店、いろいろと物議があるみたいだし、いろんな意見もあるようだけど、私は施設としては人がいつもいてるし賑わいをつくるという観点でいいものができたと思っています。徳山駅前図書館ができるまでの徳山駅の寂しくなる一方加減は大変なものだったし、徳山駅前図書館ができて以来、いつ行ってもたくさん人がいます。もし蔦屋書店が信じられない安価であの場所を市から借り受けられているのだとして、蔦屋書店ではない何かが賑わいをあそこに作れるのならそれを呼べばいいと思います。

ともあれ、本著と『無人島のふたり』を並べて陳列した近所の啓林堂は素晴らしいので、敬意を持って『無人島のふたり』はあそこで買おうと思います。

街の本屋で本を買う - 2020/04/13 啓林堂書店奈良店『街とその不確かな壁 』/村上春樹

商用で奈良市街に出たその足で。

本だけではなくて、買い物をどこでするのかは年々鋭敏になってくる。昔は「お買い物は地元商店街で!」などというスローガンに対し、こちらの好奇心や新奇を求める心に向き合う努力も払わないで何を甘えたことを、ネットや大型店で買うほうが便利で楽しいに決まってるじゃないか、的な考えをかなり本気で抱いていたものの、年々変わってきているのは地元が衰退するからとかいう郷土愛的な動機だけではなく、実際にネットや大型店での買い物が「楽しくない」までは言わないものの、地元や実店舗で買い物することの「楽しさ」が、今までの楽しさ以外にも生まれ始めているから、というのは綺麗事のようで実際そうでもない。

街の本屋で本を買う - 2023/02/18 奈良 蔦屋書店『IN/SECTS vol.13 NEW 'BOOK SHOP' CULTURE 』/LLCインセクツ

 みやこのあと・地図部のあと、次の予定に微妙に時間があったので、ふらっと奈良蔦屋書店に。コンベンションセンターの駐車場って1時間以内なら無料なんだ?刻印見る限り停めてから30分は経ってたし。

 これが2021年6月の本なので、もう2年近く前。コロナ禍1年くらいの状況で、もう世の中こういう感じで永遠に行くのか、いやいやいつかまた以前のようになるよ、のせめぎあいの心境の頃合いだった印象。本屋さんで生きていくのは相当難しいというのはコロナに入る前からずっと言われていたことだけど、いま時点では更にそれが進んでいて、そんななか2年前の状況を客観的に読めるのは意味がある。それだけではなくて、「全行程を知って仕事をする」ことの良し悪しや、対人関係の解像度をあげるという意識も培われる。本好きとしては忸怩たる思いがあるし、貸棚やってて思うに任せないところもあってなおモヤモヤする。

 次の予定で学園前に行って啓林堂ふらふらしていたらこれを見つけた。

 思わず買ってしまいそうになる、うまいところをやっぱり突いてくるなあと感嘆。vol.1は2021年に出ているみたいで、IN/SECTS vol.13と同じタイミング。置かれている状況を読んで、その時どういったものが売れるかを把握して、それにそったプロダクトを出してくるという意味で優れたマーケターだと思うし、先日、「この10年くらい、日本の作家の小説にあんまりアンテナがたたなくなって、そう言えば村上春樹もあんまり読まなくなったなと思ったら、『色彩を持たない多崎つくると...』が出たのが2013年ですね」という会話をしたのを思い出した。実際にはその後に村上春樹作品としては『騎士団長殺し』があってちゃんと読んではいるんだけど。

己然日記 210824 街の本屋で本を売る

ひさしぶりに売上レポートがあって、今回は自分の棚は一冊も売れていなかった。全般的にも売上が少なかった。雨が多かったからというのもあるかもしれないけど。自分の棚は想定的には売れそうな本はもう売れてしまったので、補充しないと売れないとは思う。やはりSNSとかで強く発信しないと広まらないのかな。自分というより、ふうせんかずらの存在自体をもっとプッシュできる方法がないか考えないと。そう言っている間に時間はすぎる。

街の本屋で本を買う - 2020/12/12 ブックスタジオ大阪店『ザリガニの鳴くところ 』/ディーリア・オーエンズ 『100分de名著 ディスタンクシオン』/NHK出版

久々の梅田で、かつ1時間くらい時間があったのでじっくり物色。
飽きるくらい書いてるけど、ネット書店とリアル書店のいちばんの違いは「自分のアンテナでは絶対引っかからなかった本に出会えるかどうか」に尽きると思ってて、ネット書店のレコメンドなんてどこまでいってもほんとに高が知れてます。確かに興味を惹く(興味の「ある」ではない)書名が並ぶけれど、出会いたい本というのはそうじゃない、とすごく思う。VR書店とかあったらいいんじゃないかな。
久しぶりに歩き回って改めて再確認したのは文芸棚のやせ細り。棚数も少ないけど、そこに並ぶ書籍の種類もなんだか似ている。それこそ売れ筋解析でこんな本書きましょう、と作家に至るところで勧められている、みたいな。もちろん逆で、書店側が売れ筋解析で陳列しているんでしょうけど。

そんな中でも何冊か迷った中、「2019年アメリカでいちばん売れた本」と帯にあるくらいなのに全くアンテナにかかってなかった『ザリガニの鳴くところ』を選択。すでに読み終わっているので感想も書くと、これは男女差別に対する意識がますます高まっている今正に読んでよかったと思う。自分たちの置かれている立ち位置が、どんな都合で作られた物語を正義と仮構しているのか、というのにより自覚的になれると思う。

もう一冊はブルデュー。まさか100分de名著が、いや100分de名著は今までもハヴェルとか結構剛速球を投げてくるけど、ブルデューを取り上げるなんてなんと素敵な。

街の本屋で本を買う - 2020/11/21 啓林堂書店生駒店『これからの日本の論点2020 』/日本経済新聞出版 『超クリエイテイブ』/三浦崇宏

KIPSポイントが失効するというので近所の啓林堂に。
何かしらのポイントを使っては文芸書は買わないことにしているので、実用書の棚を何往復かして気になる背表紙を記憶しながら、そう言えばもう暮れも近いし『2021年大予測』的な書籍を一冊買おうとそのあたりを物色。すると、何かの書評で見かけたことのあった『超クリエイティブ』が目に留まる。この手の書籍は図書館で借りて読むことはあっても買って読むことはまずないのだけれど、書評が少し好印象だった記憶があってパラパラとめくってみたらレヴィ=ストロースとソシュールと国分功一郎とが目に入ったので、ちょっと読んだ感じ自分のその三者の読み方と違うなと感じたけれどそれらを引用する人がどんなことを書いているか興味持ったので購入。図書館で借りてきた『岩田さん』とどっちが面白いだろう?


 


啓林堂書店生駒店 生駒市谷田町1600 近鉄百貨店生駒店6F

街の本屋で本を買う - 2020/09/12 蔦屋書店 奈良『Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2020年 9月号 [大人も読みたいこどもの本100] 』/カーサブルータス編集部

小学生初めての夏休み、帰省すらままならない状況で夏休みらしい体験が何もできなかったので、せめて一泊外泊で旅行気分をと、近所にできたマリオットの最高級クラスと言われているJWマリオット奈良へ。GO TO TRAVELは政策的にはそのお金の使い方からして納得できないけれど、それを責めることと、それを使うことは連動する必要がないと最近考えが変わったので、というのはそこで孤高潔白の立場を取ったところで得られるものを得なければ最後の勝負に負ける確率が高くなるし、責められるような為政によってでも得られる利得を得ることは共犯になるのではないと言えるし、ということでGO TO TRAVELを利用。この考え方の変化は自分なりに一歩踏み出した感。

で、JWマリオット滞在は殊の外楽しかった、いろいろな要素があるけれど、併設されている蔦屋書店、あれは有り勝ちだと言われがちだけれど僕はああいった店の作りの楽しさを再認識した。メガ書店ともちょっと違う、ビレバンとももちろん違う、買うつもりがなくても面白い場所。子どもにはどんな形でもいいから本には親しんでほしいし、本と「なにか」興味をひかれるような様々な物品が、襲いかかってくるような勢いではなくてそこかしこに点在している、というような。思想の文脈で何かあったような…バザールだっけ?パサージュだっけ?そういうことを思い出した。こういうのも新しいトラベルの形なのかも知れないな、と。



街の本屋で本を買う - 2020/09/09 啓林堂書店 新大宮店『美術手帖2020年10月号』/美術出版社 『なくなりそうな世界の言葉』/吉岡 乾

ひさしぶりに外出することがあり空き時間に本屋に立ち寄ってみて初めて、在宅勤務になってマイナスだったのは立ち寄り立ち読みの時間がなくなっていたことだと気づいた。amazonで本が買えるようになってから、本屋に立ち寄ることは以前よりは減っていたものの、外回りのついでに意識的に立ち寄るようにしていたのが、在宅勤務になると完全になくなってしまっていた。本屋に立ち寄るというのは、現代のリアル書店がどれだけ売れ筋ばかりを並べるようになったとしても必要なこと。 まとまった時間だったので、自分以外に他にお客さんはいても一人、という状況のなか、入念に店内をうろつき周り、買おうと決めたのが、特集的にディスプレイされていた『なくなりそうな世界の言葉』と、もう1冊が『美術手帖』。『なくなりそうな世界の言葉』は、最近、バスク語が主題のひとつだった『アコーディオン弾きの息子』を読み終えたところで、言語に関する興味がまた高まっていたので。『翻訳できない世界の言葉』とかなり迷ったけれど、今は『なくなりそうな世界の言葉』で。もう一冊の『美術手帖』はテーマが「ポスト資本主義とアート」というど真ん中だったから。綺麗事を言うな、ではちょっと済まされない状況になってきていると思うので、アートの視点からみたポスト資本主義を勉強したいと思ったから。マルクス・ガブリエルのインタビューが掲載されているのもポイントだったけど、一読したところではこちらはいつものガブリエル節だった。