ビブリオバトル#05 "夏「ビブリオバトル」フェス!"@奈良県立図書情報館 #bibliobattle

アツかった!企画が、企んだ人間の思惑を超える瞬間を垣間見た、夏「ビブリオバトル」フェス、でした。

8/13(土)、初めて僕が内容を考えたビブリオバトル、”夏「ビブリオバトル」フェス"が開催されました。夏休みらしく、夏休みっぽいイベントを、ということで、近年音楽の世界で非常に活発な「夏フェス」に引っ掛けて、"夏「ビブリオバトル」フェス"と題して、1日に2回のビブリオバトルを開催するスケジュールありきで構成しました。そのうちの1つのビブリオバトルは、図書情報館様からご紹介頂いて、奈良県下で活躍されているメディア関係者の方に発表者になって頂いて、「エキシビジョンマッチ」として開催(2nd Half)。もう1つは、「初参加者がチャンプ本を取りやすい」という傾向をとらまえて、初心者 vs チャンプ本獲得経験者によるビブリオバトル(1st Half)、という企画を立てました。

この日の様子は、奈良新聞8/14にて紹介され(http://www.nara-np.co.jp/20110814103813.html)、毎日新聞8/20夕刊でも取り上げて頂ける予定です。

いつものように、以下箇条書きで:

  • まず今回は、図書情報館様・乾さんを始め、吉野さん・岡田さん・松村さん・林さん・古川のスタッフの皆さんの強力なご協力あっての成功だったと思います。本当にありがとうございました。
  • 前回のコミュニケーションシートからフィードバックを受けた事項の解消は、9割方実践できたと思う。
  • 1st Halfは、初発表3名・チャンプ本獲得者3名で、奇数をチャンプ本経験者、偶数を初参加者で進行。想定した以上に、初発表者とチャンプ本獲得者のコントラストがはっきり出た。結果は僅差で初発表者の方がチャンプ本を獲得されたが、「初発表がチャンプ本を取りやすい」という状況を、肯定することも覆す可能性も見いだせるよいバトルだったと思う。
  • 1st Halfのチャンプ本獲得者の方は、選択された本を紹介したい、という気持ちとともに、その本が取り上げている人物を広めたい、という強い想いがあって、それが発表にも迸っているような内容だった。もちろんそれ自体は素晴らしいことだけど、この方が違う本でもう一度チャンプ本を取ることができるのか、というのを考えるのも興味深い。
  • そもそも、チャンプ本を取ること自体に、それほど重きを置く必要はないと思うが、開催ルールにある以上、その取扱いはやはり神経を使っていく必要がある。
  • 「読みたくなった”本”を選ぶ」というのはどういうことか?改めて原点に立ち返って考えるべき。
  • 2nd Halfは本当にヘビーなビブリオバトルで、取り上げられた本もそれぞれ重厚で深い内容のものばかり。ある意味、「ビブリオバトル」を説明して発表者を集めたらこんなふうになるのが普通、と思えるような真剣なものになった。
  • 「こんなふうになるのが普通」というのは、本好きが集まったら、という意味。
  • だから逆に、そういう「本好き」じゃない人も参加してくるような、そういう空気をつくっていこうとしているのが今のビブリオバトルだと思ってる。
  • 意外と参加者が増えない。マーケティング要。
  • 質問が今までよりも活発に出たと思う。これはMC岡田さんの振り出しの技術によるところが大きいと思う。
  • より、質問のクオリティを上げるための方法を考える。
  • 2nd Halfは「メディア関係者」ということで、ちょっと華やかなカンジ、著名な方の発表の「エキシビジョン」と打ち出して集客を狙ったんだけど、実際はほんとにビブリオバトルらしいビブリオバトルで、こういうヒリヒリした感触になるようなテーマでの開催を、数回に1度組み込んでいくことで、観覧の方の関わり方を広げていけるような気がした。
  • 「スタッフやってみたい」にチェックした人がゼロで大ショック。

ビブリオバトル#04 "BBBBQ"@奈良県立図書情報館 #bibliobattle

過去最高、約50名の集客しての奈良県立図書情報館ビブリオバトル!!

まず初めに、今回のビブリオバトルは初めて主催者側に回らせて頂いたとは言え、今回の浴衣企画・BBBBQ企画は図書情報館ビブリオバトルを発起した中津さんと図書情報館様で練り上げられてたもので、僕はそのプランをなぞって当日運営すればいい、という状況でした。なのでとても主催者とは言えません。新聞各社や朝日放送などに取り上げられるまでに発展させ、50名も集客する浴衣企画・BBBBQ企画を立案された、中津さんと図書情報館様の努力の賜物だと思います。

僕個人は反省点だらけなんですが、それをここで詳らかにするのはどうかと思うので、内容について、いつも通り関係者サイドとしてギリギリの線で:

  • 僕は純文学大好きなので、純文学がチャンプ本になったことは素直に嬉しい。
  • 一方で、実は純文学というのは実はチャンプ本を撮り易いのではないか?という気も今回した。理由は、票が入りやすいのは(ビブリオバトルに限らず何でも)”意外性”という要素が大きく働く、そして、実は世の中でいちばん読まれていなのが”純文学”で、誰にとっても意外でありやすいから。
  • これはもちろん、ビブリオバトルの本質は、"チャンプ本を獲るということではない"ということをわかっての話。
  • ビブリオバトルの主旨は、”読みたくなった本"であり、もうひとつ、"自分の知らなかった本に出会える"ということ。だから、純文学が取り上げられるのはよいことだと思う。
  • クオリティとクオンティティの問題。50名という人数は率直に言って限界値だと思う。これ以上増えることを想定するとしたら、運営ノウハウもまた違う種類のものが求められそう。
  • クオリティの問題に関しては、以前書いたことのある、「発表者よりも質問者の質が大事」というのは、結構間違ってなかったと思う。
  • 発表者が固定するのではなく、柔軟にほどよいバランスで新しい人も入って来られたりするのが理想。
  • だから、常連として固定の見込めるオーディエンス側の質問のクオリティが、ビブリオバトルの充実度を決めていくと思う。
  • 今回、「ビブリオバトルとは私はこう思う」という趣旨の質問を発言された方がいらっしゃったが、上記を踏まえて、僕はビブリオバトルのカラーというのは、本質を外していなければ、個々の開催場での個性としての「揺れ」「ブレ」があっていいと思う。確かにビブリオバトルは「プレゼンテーション技術」の追求的な性格もある。だから、大して思い入れもないし読んでもいない本を、5分の口八丁で読みたいと思わせる職人技というのももちろんアリだと思う。でも、本気でその本に入れ込んでいて推薦したい人や、フラットにテーマに沿った本を持ってきて、それを解説する人もいる。そういう、より「本のオススメ」側に振れたカラーを持つビブリオバトルがあってもいいと思うし、図書情報館のビブリオバトルは、個人的にはそちらのカラーを意識して続けていくのが、ますます盛り上がっていくことに繋がるように感じてる。
  • ビギナーズラックというと語弊があるけれど、「初陣であるがゆえの朴訥な熱感」「受け入れてもらいやすい感」は、票を取り易い傾向にあるというのは最近のビブリオバトルで関係者が感じているところ。それに対して、ベテランはベテランの力でそれに対抗できるようになれるか、が、「書評会」としてのビブリオバトルを発展させ、レベルを上げ、おもしろくすることに繋がると思う。
  • フィードバック。この次はフィードバックが重要。「次回来てもらえる」だけではなく、「今回来てもらったことに対するフィードバック」が。
まだまだ書評会としてのビブリオバトルをおもしろくすることができると思う。本好きにとってももっとおもしろくできるだろうし、本がそんなに好きじゃない人もなぜか惹きつけるような、そんな会にできると思う。

天満橋ビブリオバトル#08 2011/06/15 #bibliobattle

気が付けば皆勤賞。すっかり馴染んできた天満橋ビブリオバトル。来月から奈良県立図書情報館のビブリオバトルの運営を引き継ぐということもあって、よりスタッフ側の動きを学ぼうと思って参加した回でしたが、この回の発表者はとても熱意のある方ばかりで、話がうまい方ばかりで、とてもハイレベルな印象を受けました。実際、かなり票が割れて拮抗しました。ビブリオバトル本来の盛り上がり方がアツかった回だったと思います。実は発表できるように準備をしていってはいたけど、しなくてよかったなーと思いました。

  • 終了後、中津さんに、奈良の告知のスケジュールとか、どういうタイムラインで動かして行ってるかを教えてもらった。
  • 今回の発表者の方の集まり方は、偶然だったのか、何か手をかけて熱心な人を集めたのか。
  • 「本」が主役であることの意識がかなり発表者とオーディエンスで共有できてたと思うけど、これはビブリオバトルの最中に特にそうなるような進行の工夫があった訳ではないので、偶然だと思う。

天満橋ビブリオバトル#07 2011/05/18 #bibliobattle

何にでも訪れる、ターニングポイント。この日参加したビブリオバトルは、僕にとってはそんなビブリオバトルでした。

2月に初めて参加して以来毎月参加し、先月は発表もやってみて、今月は前回の図書情報館と同様スタッフとして参加しましたが、誤解を恐れず有体に一言で感想を言うと、僕個人がビブリオバトルに期待しているものが、薄まっていると感じた回でした。スタッフとして参加したので、言うべきではないことももちろんあるのですが、僕はビブリオバトルは単なる「プレゼンバトル」であっていいものではない、と思っています。かと言って、「書評」にウェイトを置き過ぎてもいけないことも理解はしているのですが、やはり、「書籍」は人が集まって人に何かを説明語りするための「道具」としてたまたま選んでいるひとつ、という位置づけであっていい訳はない、と思うわけです。そこの「軸」を失うイベントというのは、往々にして求心力を失っていくと思うし、もしそこの「軸」を外してよいなら、別の看板に架け替えるのが最善と思う訳です。

そう考えていくと、この状況を変えるのは、オーディエンスの質問力かなあと思ったりもします。回を重ねるごとにレベルアップを図る、ということは、なるべく新規参加者を募っていきたい、という主催者側の意図を考えるとあまり現実的ではないので、発表者側にウェイトを置くのではなく、恐らくは常連化を期待できるオーディエンス側が、どれだけ良質な質問をすることができるか?次はここが重要になってくるのかと思いました。

参加者(発表者もオーディエンスも)は、主催者側の意図を正しく理解しようと努める義務がある。これは僕の持論です。そして、その前提があってなおかつ、主催者側は、まだ見ぬ参加者に対して、自分たちの意図を、(伝えようとしないという手法も含めて)正しく理解されるように伝える責務がある。そういう意味で、僕はビブリオバトルに期待していたことのひとつは”知的”書評合戦だったのですが(それは”インテリ”という意味ではないですよ)、今回はその部分が僕の期待通りではなかったということです。自分が質問できたら、という思い上がりはないですが(スタッフとして参加してたので質問する余裕がなかった)、"知的"の大前提は"言語化しようとすること"だと思うし、プレゼンのやり方や見せ方で点を稼ぐことではないと、思うのです。

…と思ってたら、"知的書評合戦"という看板は既に降ろしてて、"インタラクティブ・ブックレビュー"になってたのね。失礼しました。

ビブリオバトル#01@奈良県立図書情報館 #bibliobattle

3/13の#00を経て、いよいよ第一回を迎えたビブリオバトル#01@奈良県立図書情報館に、スタッフとして参加してきました!!

ビブリオバトルが公立図書館で開催されるのは図書情報館が初とのことで、これも”「自分の仕事」を考える3日間"のおかげですねー。図書情報館の乾さんと、ビブリオバトル推進者のひとり、中津さんがお知り合いになったからですね。

#00を実施して、発表したいという人も出て来てくれて、着実に図書情報館でのビブリオバトルが定着していけるのかな?という雰囲気。今日は発表者含めて参加者は20名弱だったと思いますが、もう少しボリュームが出てきて、かつ、もう少し参加層がバラエティに富んでくれば(知り合いで纏まって来られる方々で埋まるとか、誰かの知り合いが多数、というのではなく、もっといろんな人が参加してる状態)になってくると、パブリックな場で実施するビブリオバトルとしてはいっそう盛り上がってくるかなーと思いました。ただ、そうなるとMCにとってはハードルが上がりそう(笑)。

スタッフとして何をやったかというと、ツイッター係です(笑)。#bibliobattleで検索してもらうと、13:00~16:00にかけて僕の悪戦苦闘のツイートが見てもらえると思いますが、ツイッタでの実況って、意外と体力が要ります!終わった時、マジでちょっと肩で息をしてたような…。発表は5分なので、最初に本のタイトルを紹介されたとき、きちんと聞き取れるかどうかがまず決定的に重要。そこから、紹介内容を聞きつつサマリしながらツイートするのは慣れと技術と頭が必要です(笑)。

ちなみに発表するとしたら、と思って準備していったのはリディア・デイヴィスの『話の終わり』です。

ビブリオバトルの状況は別途どこかに掲載されると思うので、僕は僕の目線で思ったことを:

  • 乾さんの『編集進化論』、発表された内容はとても面白かったですしよく理解できました。もちろんこの本も読んでみるつもりです。ただ、僕は「編集」という作業の神話性に少し懐疑的なほうなので、そこに突っ込んでみたかった、突っ込んでほしかったなあという気持ちもあります。でもそこまで行くと、オーディエンス、ひいては票を選ぶので、難しいですね。
  • 今回の発表者の方々は、発表内容をかなり作りこんでいてクオリティの高い発表ばかりだった気がします。そうなったらそうなったで、ライブ感に若干欠けるのかなあという無いものねだりも。故に、当日言われて当日あれだけの発表をなさった乾さんは凄いなと。
  • 何を持ってチャンプ本を選ぶのか?というのを相当考えさせられた回でした。「読みたくなる」のクオリティと向き合うべきなのか、イベントとしての閾値のバランスを考えて、そこは考えるべきではないのか。
  • 終了後の立ち話で少し出た、「amazonは日本国内ではないので税金は日本に落ちない。一般の人はそこまでわかってないので」という話がひっかかる。僕たち消費者は利便性で方法を選択する。日本に税金を落とすために、本を買うのではない。と思いつつ、被災地への支援活動と考えをリンクさせ、利便性に関わらず行動を規範するべきなのか、と思ったりもしてみたけれど、やはりそれとこれとは話が別だ。消費者に対して価値が提供できているかどうかが基本的には勝負の分かれ目であるべきで、日本人だから国産を、というのは、政策レベルでどうこうするのは是是非非ありつつ現実だろうけど、個々人に対して「日本に税金を」と強制・半強制的なアプローチをするのが妥当と見られるのはどうかと思う。
  • 刺激がなくてもやることはやるための精神性はどうすれば確立できるのか?「競争」がなければやることをやらない、という競争神話からの脱却の哲学がいよいよ本気で必要では?