独走会ランナバウト・街のサテンで豆を買う - 2018/02/05 MENYA BIBIRI・ROKUMEI COFFEE

笑い飛ばせる気力を。繰り返しじゃないやい!

代休があまりに溜まるので、新年度初日なんですが代休取ってライド。遠出しようかなといろいろ計画を練ってみたものの、練っているうちに「天気予報がマイナス3度と言っている」とか「最大風速が10mと言っている」とかいろいろ後ろ向きファクターが例のごとく立ち上ってきて、結局近場走ってラーメン食べてコーヒー豆買って帰ろうということに。月曜はラーメン屋さんは休みの店がなかなか多くて、行ったことない店で今日も空いていて程よい距離だったMENYA BIBIRIへ。

しかしまあなんと言うか、昨日なんばパークスのエルマーズグリーンカフェインザパークで「本日のシングルオリジン」をオーダーしたのに「ブレンドでございます」と持ってこられて絶句した(レジで値段見たら一緒だったので不問にした)動揺の影響を今日まで引きずったのか、いろいろ恥ずかしいことが連発:

  • BIBIRIの唐揚げを一口食べた瞬間、油がジューシーにテーブルに飛び散る。
  • 蓮華の置き方がまずくてこれまたテーブルにカランカラン!と音を立て軽快に落ちる。
  • 挙句、店を出るとき暖簾をお姉さんが上げて送り出してくれるんだけどその暖簾が潜った時ちょうど頭に落ちてきて当たる。
  • ROKUMEIではバイクラックの使い方を間違える。
  • エルサルバドルを試飲して、結果紹介してもらったブルンジにしたものの、エルサルバドルは前回購入していたことがカードで発覚。

とまあなんか気恥ずかしいこと連発だったんだけど、荷車すれ違いの人と道を譲りあったり、工事現場の警備の人に「よっ」と手を挙げてもらったり、ちょっといい気分なこともたくさんあった。走り出すまではうだうだしたものの走り出したらやっぱり疲れても楽しくて、やっぱりもっとこまめに乗らないとダメだなあと思った。

人とコミュニケーションをとるのが苦手で、積極的に前に出ようと思ってはスベって転んで恥ずかしい目に合ってまた引っ込んで、というのを繰り返してきたけど、いやいやこれは繰り返しじゃないんだと思い直した。そして、もっと高速回転で恥ずかしい目に合おうと思ったりした。まだまだ恥をかき足りない、慣れていいのは恥をかくことだけなのかもと思ったり。とにかく、笑い飛ばせる気力をもって、繰り返しだなんて思わずに、明日に向かっていけばいい。明日のために、BANZAI!

マイニチヒガノボリハジメノイッポダ BANZAI!
カコモミライモイッショ
("BANZAI"/B'z)

BIBIRIで流れていたBGMが、たぶん、同一女性ボーカリストが『空も飛べるはず』や『浪漫飛行』をカバーしているもので、途中数曲わからない曲があってそれはたぶん2000年代の曲なんだろうなと思ったけど、先日LIVE-GYMで『孤独のRunaway』とか『赤い河』とか20年以上前の曲の"真新しさ"を見てはいたんだけど、やっぱり、聴いている母数が多い80年代や90年代の曲のカバーという行為はあんまりしてほしくないなと、今の人たちには、今の新しいものを生み出してほしいなと、あの時代の、「嗜好をコントロールされているような大集団」を相手にしてほしくはないな、と思ったのでした。

以下箇条書き:

  • とにかくもっとマメに走ること。
  • RaphaのDeep Winter Tightsは最初は「さむ!」と思ったけど、走り出すとなかなか良かった。あれなら寒さが原因の足のトラブルは防げると思う。
  • 久しぶりに2XUのWinter Jacketを着てみたが、やっぱりあのジャケットはすごくよくできてる。機能性がめちゃくちゃ高い。

B'z "B'z LIVE-GYM 2017-2018 LIVE DINASOUR" 2018/02/01@京セラドーム大阪

偉大ですよ。偉大な”生きた恐竜”ですよ。ライブ中、思わず何度も両手を合わせて拝んでました。

入場でバタバタするのがイヤで開演1時間前に到着したけど顔認証もなんもナシ。すっと入れてすっと席につけて、後ろの男二人組がデカい声で何やってほしいとかいつぞやのライブがとかぎゃーぎゃー騒ぎまくるのをひたすら耐えること1時間。オープニングは『声明』!RADIO CRAZYを絶不調で中断したというニュース以降、気になって時々ライブレポ的なニュースやブログを見てたんだけど、あれ以降は、多少ツラそうな曲があった公演も見かけたけれどほとんど問題なし、という感じで、この2/1の大阪初日も全開でした。『CHAMP』も全開でヴォーカルきっちり聴こえました。『声明!』『ぶっちぎる!ぶっちぎる!』のレスポンスでこっちのほうが喉が早くも痛くなったり。

と思ってる間に畳みかけられたのが『孤独のRunaway』!後悔は少なめのMy Life、ですよ!アルバムの感想で「とにかくひとりのオンパレード」で勇気づけられた、と思ってたところに『孤独のRunaway』。ちょっと泣いたと思います。もしもあなたの心が身軽なものなら。でもこれは、とにかく現状を捨てろ、とか、思いきれ、とか、簡単に言っているのではなくて、自分の信念に忠実に従うんだよ、という青臭いことを強烈にカッコよく植え付けてくれている。それを補完するように、後段、「だれにもよりかからないでやっていくことは 信用するなとか友情捨てろってことじゃなくて クジが外れてもネチネチ愚痴らず前に進めるかどうかだろう」と歌う『FIREBALL』まで演ってくれた。

僕はとにかく話すのが苦手で話すのが嫌いで会話がイヤで、人とうまく話すことができなくて、話を聞くのは好きなんだけど、それでは人間関係がうまく構築できないし、自分の思いや考えを伝えたり通したりすることができない、けれど言葉を重ねることはなんかエクスキューズのようで、それは勘違いなんだけど染みついた性分というか感覚は抜けないもので、だけど『孤独のRunaway』は、「許されないのはわかってるつもり 世間の仕組みにとても勝てないから」で何を言いたいのか考えたときに、言葉の大切さに改めて気づいた。B'zが自分たちの衝動に忠実にやってきたように、自分の信じるところに忠実にやっていこうと改めて思った。

『赤い河』もたまらなかった。『DINASOUR』もたまらなかった。何より、今回の特効が、結構控えめというかシンプルというか、けしてスケールが小さいという訳ではなくて(『DINASOUR』のスクリーンとか茫然と見入ってしまった)、いろんなところで言われている通り、本当に「音」を丁寧に届けようという純粋なところが全面に出ていた。MCも、いつも以上に丁寧な言葉遣い丁寧な口調だったと思う。あの丁寧な言葉をマネしなければいけないと思った。これは長年チャレンジしているけれども届かないことだ。それは、上辺だけをマネしようとしていたからだというシンプルな結論に至った。いつも自分が言っているように、わたしのわたしとあなたのわたしは違うんだ。

規制退場の帰り、後ろの人が「知らん曲ばっかりやったわ」と言っていたのを聞いて、少し嬉しくなった。B'zには、そんな人もどんどん引き込むような活動をまだまだ続けてほしいと切に願った。

街の本屋で本を買う - 2018/01/26 amazon『オペレーションZ』/真山仁

なんで「街の本屋で本を買う」なのにamazonかというと、街の本屋どこも置いてなかったから。

最初、amazonで検索したら「現在在庫切れ」に続いて発送予定が4,5日後という珍しいシチュエーションで、それなら近所の本屋で買おう、この話題の書がない訳ないだろうと回ってみたのだけど、ない!最寄りの啓林堂書店生駒店、その次の啓林堂書店学園前店、そして西大寺のジュンク堂書店奈良店、どこもない。そういう訳で、街の本屋の状況がよくわかる事例だなと思って書いてみた。

今回、三件回って改めて思ったのは、本屋にある小説新刊の書棚の少なさ狭さだった。ちょっと前までは本屋と言えば小説新刊の棚が圧倒的だった。今ではほんとに見る影もない。三件本屋を歩き回って棚の配分についていろいろ思うことがあったのだけどすっかり忘れてしまった。

B078JGRM6V オペレーションZ
真山仁
新潮社 2017-10-20

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独走会 - 2017/12/30 加茂 55.5km

若くないから、やりたいこと、何でもできる訳じゃないから。

28日のfm802 radio crazyで稲葉さんが声が出ずに途中中断を経て4曲で終了した、という情報をネットで見たところで、「いつか必ず来る、稲葉さんのあの声が聞けなくなるときに思いが至った」というファンの声もいくつかあった、そんなことが頭にあった。年末、例によって家族に時間をもらえ、ましてやこの日はほんとに後ろの時間はほとんど気にしなくてよかったので、思い切り遠出をするという選択肢もあったのだけど、それなりに疲れているのと、この数か月、早朝は仕事だと切り替えられるけれどライドと思うと「近場でええやん」と思ってしまうメンタリティなのと(でも時間が経つにつれ”ロングにチャレンジしたい!”となるから始末に負えない)、何よりやっぱり寒さが不安で、何も考えず走り出すことに。

とりあえずJR奈良駅まで走って、スタバで体あっためて、まあとりあえず50kmは走ろう、加茂くらいまで行って引き返したらいい感じかな、と県道44号を走る。寒さはそれほど厳しくなく、天気予報通りの良い天気で、これならロングも行けたかな、といつもの後悔の念が押し寄せかけたけれど、たっぷりと時間があって何も気にしなくてよいときにしか、こんな無計画な散歩のようなライドは楽しめないじゃないか、計画を立ててするライドは時間的制約のあるときにもできるじゃないか、と思い直してそれからは無計画ライドをじっくり楽しめたように思う。


思えば今の僕にとって、何も決めていない、何も目標のない活動がいちばん難しい。精神的な持って行き方も、楽しむことそのものも。何か目指すことを立てたり、目的を決めたりしないと楽しめない、のは、達成度を楽しみの物差しに知らず知らずしているからだろう、散歩のような愉しみを体も頭も忘れてしまっていたような気がする。そして、僕にとってロードバイクは、愉しみが達成度である仕事というアクティビティ以外のアクティビティがなければ自分の人生がやせ細ってしまうと思ったから選んだホビーだったことを思い出した。

だからといってロードバイクでチャレンジすることの楽しみを忘れる訳ではないけれど、敢えて”無為”というけれど”無為”を楽しむことは忘れてはいけないことだと思ったのが今回のライドだった。

一応箇条書き:

  • 今回は40kmくらいで結構足が削れた。やっぱりちょっと食べたりなかったか。
  • 自転車専用道路であんなに速度が落ちるのは、やっぱり路面が悪いからか。
  • ほんとはディープウィンター用ビブが要るんだろうなあ。
  • スマートフォンをどう持つか。ジャージのバックポケットだとウィンドブレーカー着用時に、乗車中に取り出しにくい。ので、写真が撮れない。
  • インターバルと持久走と両方練習。やっぱり楽しむためには練習が必要。


『DINOSAUR』/B'z

まあもう驚くほどの「ひとり」オンパレード。心酔。

いろんなところでリリース前に解説されているのを読むまでもなく、ファンなら"DINOSAUR"と言うのはB'z自身のことを例えてるんだろなあというのは直ちに了解していた訳で。だって生き残りですよ。THE ONLY SURVIVING HARD ROCK BAND IN JAPANですよ。まあでも歌詞を見るまでは「生きた化石」みたいなニュアンスの自虐系かなと思ってたんだけど、意外や意外、珍しくはっきりと自分たちの「ビッグ感」を言い切ってる。

Call me a dinosaur マネできんだろう
(『Dinosaur』/B'z)

マネできんだろう、ですよ。どうですかこの「やれるもんならやってみな」感。

そしてDinosaur以上なのが、リリース前にYoutubeで聴けた『CHAMP』。だって『CHAMP』ですよ。"I'm a champ. I am a champ."って言っちゃうんですよ。はっきりしてんなあってニヤニヤするというか苦笑いするというか。

かまやしないさ望むとこ
この寂寥感この逆風感
それさえ君らの憧れだろ
(『CHAMP』/B'z)

これで痺れない訳がない。そしてちゃんといつものように、”信じるだけじゃ足りないから/他人の想像超え励む"って歌う訳ですよ。泣けます。

だけどこのアルバム全体を通して強く感じたのは「ひとり」。今までで一番、「ひとり」って出てくるような気がする。『CHAMP』も、”ヒトリデカマワナイ”と歌うし、『Queen Of The Night』も、

背筋を伸ばしひとり立つ
涼しい顔でひとり立つ
後ろ見ないでひとり立つ
(『Queen Of The Night』/B'z)

『Purple Pink Orange』も、

わかってるのに 変われるはずなのに
あなたの事を ひとりにしてしまう
(『Purple Pink Orange』/B'z)

他の曲も、「ひとり」という言葉こそ出てこなくても、『ルーフトップ』とか、とにかく孤独だったり置き去りだったり味方がいなかったり、そんな「ひとり」の情景を思い起こさせる。稲葉は『孤独ノススメ』とか、折につけて「ひとり」の大切さを歌ってきてくれてきたけれど、『DINOSAUR』の「ひとり」は、避けようのない孤独というようなものが漂っている感じがする。それは、やっぱり年齢によるものなのかもしれない。老けたということではなくて、年齢を重ねると当然別れが増える。身近な人が亡くなる経験も増える。否応なしに、「置いて行かれる感」「生き残っている感」を感じてしまう。残り時間も気になってしまう。そんな中でも、若い時からその重要性を掴んでいたほうの「ひとり」を大事にするためにはどう心構えればいいのか、そんなことを考えさせ身にしみこませてくれるようなアルバムだと思う。
B076DZQJHZ DINOSAUR (初回限定盤)(Blu-ray付)
B'z
バーミリオンレコード 2017-11-28

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独走会 - 2017/11/12 松阪 75.1km

独りで死ねないのなら、死なないほうがきっといい。


とにかくこの日は朝から調子が悪かった。そもそも、時間は家族からたっぷりもらっていて帰りの時間もあまり気にしなくてよかったのに行き先が数日前から例によってうだうだ悩み続けていたし、松阪に行こうと思い定めて起きることはできたものの、本当に走りきれるのか、自信がないので輪行して八木スタートにしようとか、それでも100kmあるしとか、全然テンションが上がらない。

橿原神宮前行急行に乗っているとき、急に「八木から165号でゴミゴミしたところを抜けるまでにまた時間を食うし、いっそもうちょっと東まで輪行してしまえばいいのでは」と、長谷寺も越えて、休日ダイヤで乗換なしで行き着けた榛原まで輪行。組み上げて8:30スタート。


だけどとにかくテンションがあがらない。ほんとにちょっとした下りが怖いし、ほんとに今のこの足で青山峠を越えられるのか、止めといたほうがいいんじゃないのか、色々面白くない感情が渦巻いて、オレやっぱりロードバイク向いてないんじゃないかなあとずっと落ち込みながら165号を東進。


ところが名張を越えたあたりから不意にテンションが変わるというか無心になるというか、あまり何も考えないまま走っていた記憶に。途中、165が通行止めの箇所に出くわしても、行けないならここで引き返そうか、という気も起こらず、迂回路と示された道に迂回し、程なく合流した後「これで峠回避できてたらいいな~」と甘く思ったのがすぐに打ち砕かれても黙々と回し、まだかまだか頂上はと思うけれど嫌になる訳でもなく、峠を抜けた後の下りも飛ばしたけど全然怖くない。


165号は勝手知ったる道なので、どこでリタイアすれば近鉄に乗れるかとか頭に入ってるんだけど、そんな気は全く起こらなかった。50km越えたあたりからやっぱりちょっと足が切れて空転するようになったけど、予め考えた通りのインターバルで休憩したら回復し、好天の初秋の午前中の峠跨ぎという、気温とコンディションの目まぐるしく変わる中、今までで一番気持ちよく走り切れたんじゃないかと思う。


人とのつながりはとても大事だし、人は独りでは絶対に生きていけないし、気持ちを打ち明けたくなることも時には絶対にある。だけど、やるつもりのないことを口にするとそれは必ず自分に返ってくる。もし、その気持ちを「使い捨て」で打ち明けたいのなら、それは自分の中の自分に対して打ち明けたほうがいいと思う。自分の外の誰かに打ち明けてしまったら、その「使い捨て」と同じように自分も「使い捨て」ることになってしまう。自分のその大事な気持ちに相応しい打ち明け先はきっとある。その打ち明け先を見極められるのは神ではなく仏でもなく自分しかいない。その打ち明け先がどんなに重苦しい打ち明け先だったとしても、その重苦しさからは逃げないほうがきっといい。この日のライドの前後半のコントラストは、そんなことを思い起こさせた。


いつもの箇条書き:

  • 50km足切れの原因は食べ足りないんじゃないかということで、今回は休憩ごとに必ず何か食べたし、ちょっとお腹すいたと思ったら走りながらすぐ何か食べるようにした。これは結構正しかったと思う。
  • もう一つ、足切れは有酸素運動になるからで、有酸素運動になる原因は心拍数の上昇だという基本的なことを改めて読んで、4分間インターバルトレーニングを週何度かできるときはやるようにしていた、その成果が出たのかも。
  • 凄くバイクが多かった!なんかイベントでもあったのだろうか。
  • テールライトが充電切れ。充電すること。
  • QUOC Nightは絶好調。
  • La Passioneのビブはやっぱりパッドがちょっと弱いかなーと思ったけどそれは疲れで姿勢が崩れたときの問題だった。
  • 松阪牛最高。

街の本屋で本を買う - 2017/10/21 啓林堂書店生駒店『Black Box』/伊藤詩織

まず間違いなく今年のナンバーワンでしょう。必読。でも全然耳にしない。目にしない。

当時TBSワシントン支局長の山口敬之氏を告発する内容になる本著。facebookで出版されることを知り、しばらくしてまたタイムラインに流れてきて、「あれ?もう出版されてるのかな?」と思ってamazonを見たら10/18付で発売になっていて、それならと近所の近鉄百貨店内の啓林堂書店へ。これだけのインパクトの新刊だから簡単に見つかるだろうと思って平積みコーナーに行ったら…

ない!!

正直、何の基準で選んでいるのか全然わからない平積みコーナーでした。もうちょっとテーマ性のある平積みコーナーだった気がするけどなあ。結局、普通の単行本の「ノンフィクション」の棚にありました。この本はもうちょっと前面に出したほうがいいと思うけどなあ。


4163907823 Black Box
伊藤 詩織
文藝春秋 2017-10-18

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街の本屋で本を買う - 2017/10/07 リブロ新大阪店『歎異抄 2017年10月 (100分 de 名著)』/釈徹宗

何をどこまで信じればいいか君が僕に教えてよ。

詳細は省くがキリスト教葬儀を初めて経験した。家族と新大阪駅で待ち合わせし、先に着いたので時間つぶしのつもりで入ったリブロですぐに目に飛びこんだのがこの『100分de名著 歎異抄』だった。親鸞はこれまでも幾つかの"導き"で何冊か読んだことがある。中でも衝撃が強かったのは県立図書情報館の乾さんに薦めて頂いた『歴史のなかに見る親鸞』。すべてをひとつのものに依る、という点でキリスト教と親鸞ー浄土真宗に類似点を感じていた僕は、では何がその2つを分かつのかを、親鸞を改めて読むことで考えたいと、この『100分de名著 歎異抄』を見て思った。しかし、手元に本は残っているし、その時のノートも残っているから、それらを再読するのが先だと一度は見送った。なのに結局買う気にさせたのは、手持ち無沙汰にスマホを弄っていたら目に入ったヤッさんの「#街のレコ屋でCDを買う」というハッシュタグだった。こういうのはすべてタイミングなのだ。人生はバランスとタイミングなのだ。

そうして、「何をどこまで信じるかを君が僕に教えてほしい」という言葉は、年々自分の中で意味が広がり深みを増してくる。そう、信じるものしか救わないセコい神様を僕自身から信じるのではなく、君に僕が教えてもらうのだ。


4142230794 『歎異抄』 2017年10月 (100分 de 名著)
釈 徹宗
NHK出版 2017-09-25

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街の本屋で本を買う - 2017/09/26 ふたば書房 京都駅八条口店『kotoba 2017年秋号』/集英社

率直に、長く刊行されてほしいなと思います。
アポの待ち合わせまで少し時間があったので入ったふたば書房で一目惚れ的に買い。クォータリーマガジンでNo.29なので、7年前からあるってこと?全然知りませんでした。『MONKEY』以来です、こういう文芸誌的な書籍。一目惚れの理由は「理想の本棚」という特集が、たくさんのリコメンドを一遍に得られるからという節操ないもので、本棚に興味がある訳ではありません。物理的な本棚には正直に言って興味を持っていけない。物理的な本棚は現代人にとってどうしたって制約条件の性質のほうが大きいと思うから。

『新自由主義と僕たちの自由』、『空間を再考しよう』という、『学生を戦地へ送るには』を読んだ後にうってつけのコンテンツが。

B07542DJQR kotoba(コトバ)2017年秋号
集英社 2017-09-06

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独走会 - 2017/09/10 明日香 70.0km

ケニーが亡くなったことを知らされたのは、僕の45回目の誕生日のあの日だった。

ケニーは僕の自転車友達のひとりで、貴重な年上の友達のひとりだった。TRANSITで出会って、ぜんぜん人との間に壁をつくらない話しぶりで、あっという間に友達にしてもらった。とは言え実際にケニーと会って話した回数は数えられるくらいだと思う。一緒にライドしたことも数えられるくらいだし、飲みに行ったことになると更に数えられるくらいだと思う。その数えられるくらいのライドのうち、たぶん一番長い距離を走ったのが明日香だった。遠い友達だった僕にできるのはケニーとのその思い出のライドの地までケニーを思いながら走ることくらいだった。

僕は人付き合いが得意なほうではないし、仕事のつながりでも出来る限りドライというか、仕事は仕事のつながり、というスタンスを取り続けて45歳になっているので、人の和に入っていくその行き方とか言葉とかがどうしても欠落していると思い知らされることが毎日ある。だけど、ケニーとは違った。ケニーはその豊富な語彙と人生経験と本当に壁をつくらないし段差もつくらないその人格で、僕がどんなふうな言葉で話しても楽しそうに話を続けてくれた。特筆すべきはそうなっても僕のほうも行き過ぎたりやり過ぎたりしてその関係性を壊してしまうようなことが遂に起きなかったことだった。

ケニーが「独走会を卒業します」というコメントを律儀にfacebookにくれた後、ライドはいいから一緒に飲みに(僕は飲めないのだけど)行きたいなあと思いながらfacebookも反応がないしどうしてるのかなとぼんやり思っていたときに届いた訃報だった。ただぼんやりとして、ああもうケニーという人に会えないんだという認識がやってきて、それは衝撃的というのではなく、あぶり出しを長い日にちをかけて、一日に二、三度、数分ろうそくに炙っては離して、を繰り返し続けているような感触で、毎日不意に襲ってきては襲ってくるごとにその事実を定着させられていくよう。昔から誰もがいつかはいなくなり、自分もいつかはいなくなり、自分の知っている人がいなくなった経験もしてきてはいるけれど、それを強制的に思い起こしていわば免疫をつくろうとしていた努力をかき消すような訃報だった。


登りを極端に嫌ったケニーが「お気に入りルート」と言っていた竜田川沿い。


飛鳥坐神社。お参りはしたけれど、「神社本庁」のポスターがどうしても気になって、御朱印はもらわなかった。もちろん、単立でなければもうお参りや御朱印はもらわないというほどラディカルではないけれど、自分の御朱印という行為の"軽さ"を顧みるとその都度その都度気を配るのがよいのではないかと思った。

R.I.P. ケニー。