”そんな運命 シブい運命”(Black Coffee)

今までで一番、飛びぬけてまったりした印象でした。成熟した"IN THE LIFE"という感じ。あまりに崇高な思想を歌われたりはしないけれど、だから生活に密着して聴けるけど、成熟感は抜かせない。

全体を通すと、"EPIC DAY"というタイトルの意味をよく理解できます。やっぱり大事なのは、"EPIC DAYなんて来るのか来ないのか分からないけれど、来るように日々行動するということ”という了解の仕方。B'zは決して、単純に"いつかEPIC DAYが来ます”とだけ、言ってる訳ではない。"MAGIC"で”ひたすら信じて待て”と歌ったけれどあれも決して単純に報われることを保障してる訳じゃない。"EPIC DAY"に戻って、このアルバムは、ここまで来てしまったという現実とか(”Exit To The Sun"の「微笑んでくれる人がひとりいるなら もうそれでいいじゃないかってうなずかなきゃいけないね」)、やり直せない現実とか(”Classmate")、そういう「年をとった」現実を正面から受け止めて、そこに安住せずもっともっと先へ生きていこう、というふうに受け取ります。

全体を通すとそういう風に受け取れるながらも、魂を鷲掴みにされ一度聴いてからずっと頭の中で考えが四方八方に伸びて収まらず、どうしてもそれについて書きたくなってしまうのが”Black Coffee"。"Classmate"とか、内容的には哀しいテーマであっても曲の印象も歌われていることもきつい伝わり方はしてこない中、まるで鈍器と鋭利な刃物の両方で感情に大ダメージを与えてくるような曲。

明日になったら何か変わるでしょうか
くだらない誤解を笑うような
氷がちょっとずつ解けるような
そんな夢 甘い夢
ノミホソウ

「ノミホソウ」。そんなこと有り得ないよ、と諦めさせられる。だいたい世の中では意見を交わせば通じ合える、という理想を掲げる中で、「そんなのただの楽観的希望的観測でしかない」と突き放す「ノミホソウ」。

お互いいろんなものを
見せ合ったけど
まるごと愛せる才能がまだ足りない

時間をかけ相互理解が深まると、もちろん受け入れられない部分や、経験して記憶に残ってしまう否定的な部分が積み重なる。だから時間をかければかけるほど、そういった受け入れられない部分を受け入れる力が必要になるけれど、それが「まだ足りない」と、自分を責める方向に向かうしかないネガティブスパイラル。

誰のことも恨まないで憎まないで
優しい思い出だけ集め
このままさよならしてしまおう
そんな思い 苦い思い
ノミホソウ

そして出口を無くしてしまうこの曲最大の大転換。日本では(世界でもそうなのかも知れないけれど)、耐えきれないことがあったとき、それを自分の外部のせいにせず、不平不満も言わず、感謝すべきことに感謝だけをして、潔く身を引く的なスタンスが美徳とされ、それをわかっていてその選択肢を選ぶことが時に「楽」なこともあって、そうやって楽なほうに逃げてしまう自分を「苦い思い」で見つめてその考えすら「ノミホソウ」と言われてしまう。どん詰まりの状況で、ただ黙ってそこから立ち去ることさえ許されない。

正直な思いを残らずぶつけあい
悔いが残るほど傷つけあい
それでも少し前に進む
そんな運命 シブい運命
まだ見ぬ旅路があるのなら
しばらく歩いてみるのもいい
出発の前にもう一杯だけ
黒い珈琲 苦い珈琲
ノミホソウ

たった一か所だけ出てくる救い、それが「それでも少し前に進む」。そしてそれを「そんな運命 シブい運命」と呼び習わす。先のフレーズで「このままさよならしてしま」うことを「ノミホソウ」と言っているので、意見が徹底的に食い違う相手と、それでも離れることはしないということは前提になっていると思う。離れることはできないからズタズタになるほどやりあって、それでやっとなんとか「少し前に進む」。そんな状況を、「そんな運命 シブい運命」と言わずに何と言えよう。それでも少し前に進んでその先に「また見ぬ旅路がある」と思えるから「しばらく歩いてみる」。「しばらく」と言い、「してみるのもいい」と言っているけれど、これはもうそうやって生きていくしかない、それが人生という運命なんだと言っているように聞こえる。

自分にとっては”有頂天”は久し振りに投げ出されるだけの救いのない歌詞だなあと思ってて、この"Black Coffee"も相当にどん詰まり感のある苦く重く苦しい歌詞だけど、"EPIC DAYなんて来るのかどうか分からないけれど”という境地を維持するためには、これくらい徹底的に自分を追い込む覚悟がないといけないんだなと深く深く突き刺さった。例によって単純な男女間のことを歌っている曲ではないし、自分が自分の生活に照らし合わせる際も自分の生活というより自分のスタンスすべてに染み渡らせようと考える内容だった。

B00SQEGZ42 EPIC DAY (通常盤)
B'z
バーミリオンレコード 2015-03-03

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『MOONDUST』/the pillows

”僕は後どれくらい キミと会えるだろう"

(『MOONDUST』/the pillows)

同世代のアーティストが現役でやり続けてくれるというのは本当にありがたいことだと思います。35歳になったとき、70歳まで生きれるとして人生半分過ぎたんだなあと思ったときの寂寥感なんてまがい物だったと思うくらい、42歳の今、人生の残り時間はどのくらいなんだろうと思う真剣さは鋭い。いろんなことの残り時間が少なくなっていて、あと何回できるんだろうという事態に陥っていて、この真剣さを分かち合えない世界のもどかしさにもんどりうっている。

残り時間が少なくなって年を取って忙しくなって時間をかけるところも興味の対象も情熱の質も中身も変わり、好きなバンドの新譜のタイトルが青いカーネーションのことを指していてその花言葉が「永遠」だから今の自分たちに相応しいと思ってなんて由来を調べることもしなくなり、20周年のときは武道館まで行ったけど25周年の今、どんな記念イベントが開催されているのか全然知らなかったり。

だけどそれはそういうもんなんだろうと最近では認められるようになってきている。決してそれは老いではないし後退ではない。たとえどんなに理解を得れない世界に住んでいたとしても、腐らずに成熟していく道を歩まないといけない。知ったことが多い分だけ、できることも増やせるはずだ。仮に残り時間がなくなってしまったとしても。稀有なアルバムでした。

"The Last Period 
破れかけた飛行船で行こうぜ"

(『Clean Slate Revolution』/the pillows)


B00MUP8IVQ ムーンダスト (CD+DVD)
the pillows
avex trax 2014-10-21

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『Hurt』/syrup16g

初めて聴いたシロップは802でヘビーローテーションだった"Reborn"。


"DELAYED"聴いて"HELL SEE"聴いて"Mouth to Mouse"聴いて。"HELL SEE"の"吐く血"で完全にすぶすぶでした。人生いいことばっかじゃないというのが真理というような、冷めたというか拗ねたというか高校卒業とともにバブル崩壊した世代によくある人生観を頑なに守っていた人間にはぴったりフィットして。わざわざ、人生の暗い部分、どうにもならない部分に浸りたがるというか嵌りたがるというか、そういうのがあるんだからそこから目を背けたらダメ、それは逃げだ、というようなスタンスで。

けれどいつからかいつの間にかそういう感受性も流石に衰えて、「わざわざ目を向けなくったってそういう辛いことは起きるんだから、今起きていない状況に素直に感謝していいことだけを考えて生きるほうが建設的」「いいことだけに目を向けて生きるほうが、いいことが起きる状況を引き寄せる」という考え方にだんだん靡いて、そうするとシロップのような、否定しきれないダメ部分をこれでもかとぶつけてくるような音楽を聴いてそこにどっぷりはまっていくのに怖気づいてしまって。入ってしまうと戻ってこれないような、あのどっぷり感は抗いがたい魅力があるけれどあるが故に近づいてしまうことに怖れもあって。

だから"Hurt"のリリースを知ったとき、”聴きたい!”というのと同時に”怖い!”という気持ちも湧き上がって相当躊躇した。けれど結局抗いきれず買った。買ったけど聴くのに一週間かかった。そして聴いた。

確かにいろんなレビューで書かれてたように、かつてのシロップのような破壊力がないような気がするし、かつてのシロップから何か劇的に進化したり変化したりしたところもないような気がする。”生きているよりマシさ”なんていう、タイトルそのまんまで”死んでいるほうがマシさ 生きているよりマシさ”と歌う曲があるにも関わらず、かつてのシロップのような胸を締め付けられる高揚感はそれほどきつくない。”Stop Brain"の、思い切りキャッチーな明るい曲調で”Stop Brain 思考停止が唯一の希望"と歌うサビも、割と気軽に口ずさめてしまう。

これは自分の感受性がいよいよ地に落ちたのか、恐れていたよりも安易にどっぷりはまってしまったのか、それともシロップが元の復活も果たせてないのか。でも何度も聴いて、そのどれでもないと。シロップは、解散前と同じように、日本のザ・スミスと言われるような、ダメ人間がダメ人間としてダメ人間を歌っているようで、実はそこから飛躍して今の姿で帰ってきたんだと思った。”ゆびきりをしたのは”で”勇気を使いたいんだろ”と言っているのが、変にひねくれただけじゃなくて言葉通りの意味を言ってるんじゃないかと思うくらいに。暗い部分を目にして暗い部分を扱ってそこに溺れたとしても、ただそれだけでいいじゃないかとはならないし、ならなくてもそういう人生にとって大切な暗い部分を侮辱も冒涜もしたことにならないんだよと言えるところまで来たんじゃないかなと。そうじゃなけりゃ、年食う値打ちもないでしょと。

聴いてよかった。

B00LBX5X4I Hurt
syrup16g
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT 2014-08-26

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『Guitar』/LOSTAGE

いい感じで「ねじれた」アルバムやなあ、と言うのが二周聴いた時点での感想です。そしていい意味で聞き流してます。
発売からまるまる一ヶ月遅れでやっと買えました『Guitar』。どうしてもthroat recordsで買いたいもんで、そしてthroat recordsは土日平気で休業するサラリーマン泣かせな(笑)レコードショップなのでなかなかタイミングあいませんでしたが遂に買いに行けました。五味さんにしたら、店で買われたら袋もいるしレシートも減るしコスト掛かるからネット通販で買ってくれってなものかも知れません、僕は音楽業界の中間マージンのことよく判ってないので見当違いかも知れません(笑)。

ライブで聴けた『Good Luck/美しき敗北者たち』と802で聴いた『Flowers/路傍の花』、レビュー記事のどれもが書いてた「歌もの」という表現通りの印象だったのだけど、いざアルバムを通して聴くと、「歌もの」というにはギターも目立ってる。僕は音楽はとても狭い範囲で好きなのを聴いているだけのただの素人なのだけど、メロディラインはどの曲もとても美しいけどそれは今までのハードなLOSTAGEの曲でも同じく美しいと感じてて、それよりもギターが歌ってるような、そこのほうが「歌もの」という言葉が当たるような気がしました。それで、「歌ものと言いつつ、人間の声というボーカルだけじゃなくて、ギターも主役ということかな」、とそう考えるといい意味でずいぶん「ねじれた」タイトルのアルバムやなあ、と思ったのでした。

いつもは歌詞カードとにらめっこでどういうこと言ってるのか理解しようとするのに、このアルバムはずーっと流してずーっとボーカルも含めて「音」を聴いてます。

throat records。五味さんはいつも驚くほど丁寧で感じがよいです。

B00KYMEREO Guitar
LOSTAGE
SPACE SHOWER MUSIC 2014-08-05

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『Singing Bird』/稲葉浩志

円熟。円熟の歌手のアルバム、という表現がいちばんしっくり来ます。例えるなら由紀さおり?そんな感じ。

頑張らなくてもいいんだよなんて
今の僕には聞かせないで

(『Golden Road』/稲葉浩志)

ソロ3作目の『Peace Of Mind』がリリースされた時点で、「ソロはこれで終わりなんだろうな」と思ってました。なんとなく3作ってキリがいいし、『Peace Of Mind』というタイトルも象徴的だし、サウンド的にも素人の耳にも熟成していってるのが判ったし。ところが6年の時を挟んで『Hadou』がリリースされて、その破壊力に圧倒されて。『Hadou』はそれまでのソロ3作と違って、「稲葉浩志バンド」的な音で、歌詞もそれまで以上に稲葉スピリット全開で僕はソロ作品の中で最も好きです。アルバム構成も凄いし、ライブも凄かったし。『今宵キミト』の境地に呆然としたり、『絶対(的)』という(的)の使い方に驚愕したり。

なので、今年5作目のソロアルバムを出すと知った時、「あれ以上のもの出てくるのかなあ」と、これはB’zと違って少し不安な感情を持ってしまってて、どんなアルバムになるのか、稲葉浩志は必ず進化すると思って予想するとしたら、ソロ活動での「バンド」サウンドは一旦『Hadou』で行き着いたと思うから、より「ボーカリスト色」の強い曲で来るかなあ、と思っていたらアルバムタイトルが『Singing Bird』でひょっとしたら意図的にあってるのかな?と思いつつ、届いたアルバムを通して聴いてみたらこれは非常に円熟したボーカリストの、聴かせるためのシンプルでメロディアスな曲が詰め込まれたアルバムでした。音数もそんなに多くないと思いますし、絵で言うと水彩画のような?なんだったら2,3色しか使ってない水彩画のような。昔から聞いたことのあるような、奇を衒わない、歌声を聴かせるための曲。童謡のようかも。

なので、一聴するとあまりインパクトのない、さらっと聴いてしまうかもしれないアルバムですけど、ずーっと聴き続けたくなる大人のサウンド。そして今までの稲葉の歌詞が、アウフヘーベンを実践するような観念に満ちた歌詞だったけれど、それも「激情的」だったと思えるくらい、更に先に進んで円熟した精神性を示してくれる歌詞の数々。感涙。

例えば『Stay Free』:

自由ってどんなものでしょ
逃げるだけじゃこの手には掴めない

『孤独のススメ』なんかはまるごと引用したくなります:

そして、今の世間に逆行するかのような『Golden Road』に痺れます:

頑張らなくてもいいんだよなんて
今の僕には聞かせないで

ムリをしたっていいんじゃない
笑われたっていいんじゃない
誰かのものでもない
僕だけのゴールデンロード

しかしこのアルバムは、『photograh』にトドメを刺すと思います。いつもながらの稲葉得意のいたたまれない未練感の歌で、いい曲だなあ・・・と思いきや、ふと耳を突き刺すフレーズ:

人は誰もがいつか旅立つと
わかっているつもりでいたけれど

ああそっちなのか、この曲はそっちなのかと、B’zでも珍しい、『TINY DROPS』くらいしか例のない、そっちの曲なのかと、自分の年も思い浮かべながらしんみりと聴き入ったのでした。本当にいいアルバムです。


B00JMOQTIM Singing Bird
稲葉浩志
バーミリオンレコード 2014-05-20

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the pillowsトリビュート『ROCK AND SYMPATHY』

amazingでawesomeなトリビュートでした。『SYNCHRONIZED ROCKERS』以上かも。僕はカミナリグモの『開かない扉の前で』が一番です。強烈に心情に訴えます。

B00GP2YCPG ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-
V.A.
avex trax 2014-02-25

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結成25周年記念のトリビュートアルバム。15周年記念でリリースされた『SYNCHRONIZED ROCKERS』はミスチルに始まりバンプ、テナー、エルレ等々早々たるメンバーで、ピロウズの人気を高めるのに一役買ったのは間違いないと思うんだけど(一番貢献してるのはもちろんFLCLだと思う)、今回のはピロウズを聴いて育って文字通りリスペクトしててトリビュートしたい若手バンドによるカバー。名前聴いたことあるけど曲聴いたことないかな…というバンドもいくつかあって、このアルバム売れるのかなあ評価どうなんかなあと思ってたら、amazonでもiTunesでもとても高い評価を得てるしコメントも絶賛の嵐。期待して聴いてみたところ絶賛の嵐も納得。『WHITE ASH』をSEに使いたかったからという理由でバンド名をWHITE ASHにしたというWHITE ASHによる『WHITE ASH』に始まり、軒並み力こめてるな~というカバーです。少し異色だったのはシュリスペイロフの『カーニバル』で、かなり原曲に忠実な感じでこれもまたリスペクト感が伝わります。

中でもいちばん鮮烈だったのはカミナリグモの『開かない扉の前で』!さすが山中さわおプロデュースバンドというべきでしょうか。あの曲がリリースされたときのピロウズの状況の上に更にあの歌詞の持つ普遍的な孤独感を上乗せしたような、胸に迫るカバーでした。

LOSTAGE "Crypt City Defect release tour" 2013/11/08@奈良NEVERLAND

ネバーランドで兄さんが宙を舞うのを初めて見ました!

・・・というテンションでいつも通りライブの感想を書くはずが、「あれってダイブでいいんだっけ?クラウド・サーフ?」といちいち言葉の定義に敏感になるタチなので検索してみたら、思いもかけず横山剣氏のブログに行き当たり、何気なく読んでみたらこれが途方もなく深くて腕組みして考え込んでしまったのでした。

2009年のエントリーなので(いつも思うけど、コラムとかブログは年月日入れておくのが絶対だと思うんだけど、一般のニュースサイト含めてなんで掲載年月日ないところ多いんだろう?このサイトも各エントリーにはNoだけで年月日がなくて、ROCK IN JAPAN FES.の年数で2009年とやっとわかった)詳細はぜひぜひ読んでほしいのですが、ダイブ・モッシュ・クラウドサーフがつきもののKen Bandが「ダイブ・モッシュ禁止」を掲げたROCK IN JAPAN FES.に出演した際の心境と顛末が克明に書かれてます。そのバンドとファンが(仮に危険だとしても)共有しているスタイル、運営方法に責任を持つ主催者、その主催者が決定する運営規則、そこへの参加意思と参加自由、等々、「自由」について考えるときの姿勢としてこれ以上ないものに触れることができました。それとともに、これだけのことをきちんと言語化して説明できるのが凄いなあと思いました。ぼんやり考えることができても、これだけ詳らかに丁寧に書き落とすのは並大抵ではないと思います。

さて話を戻そう(Kenさんのマネ)。諸般の事情で今回も(Crypt Cityのツアーだというのに)ライブは中座でthe springsummersとLOSTAGEまで観て帰りました。the springsummersは予備知識なしでしたがここ最近では珍しいんじゃないかなと思う堅物バンドな匂いを感じました。真面目とかそういう意味じゃなくて、向こうっ気が強いというかやろうとしていることに忠実というか。曲も結構好みでした。しばらくアンテナ張ってみようかと思えるバンドでした。

LOSTAGEはいちばんのトピックはもちろん宙を舞い流血した五味兄さんなんですが(笑)昨日はいつにもまして兄さんボヤキMCのオンパレード。おもしろかったので思い出せるだけ箇条書きに:

  • (「今日はたくさんお知らせがあります」と語り始め、12/23の「大忘年会」を告知した後、ノーリアクションの会場に向かって)「もういいねん。無視されてもそのまま続けるから。淡々と続けるから。拍手とかもいらん。笑いとかもいらんねん」
  • (MC中、何かついて拓人さんに振った際、無視されて)「今日はオマエ遠くに感じるわ。会場もすごい遠く感じる」
  • 「あ。僕昨日誕生日でした!こういうとき、メンバーがこっそり何か準備してくれてるとか・・・ないよな」
  • (一緒に演奏する話をツイッター?上であっさり世間に知らしめてしまった中尾氏に対して)「なんで言うねん。ここに来てる人みんな知ってる前提やん」
  • (NEVERLANDやる前に)「いつになったらみんなで唄えるようになるんやろ。できるまでやるからな」

いやーしかし、HANARARTもとみおフェスも振りきって行ってよかったです(笑)

B'z "LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-" 2013/09/12@京セラドーム大阪

”正解が欲しい それが幸せ?
その寂しさを僕らは生きる”
(『Q&A』/B'z)

25周年記念ツアーということで、内容はもう正に"Pleasure"ツアーそのもの。20周年のときの神戸ユニバーのほうがスケール感が大きかった印象ですが、きっとトリの日産スタジアムは20周年のときと負けず劣らずの規模感で展開されるんだろうな~と思うと羨ましい。今、関西で屋外で苦情少なく交通の不便も少なくやれるところって少なそうだもんな~。ユニバーなんて21:30過ぎに終演されて規制退場だと、関西圏でも帰るに帰れない人続出だったもんね。

座席はいつものように当日までわかりませんでしたがアリーナ10列だったので満足。Circle of Rockの次くらいに近いかな?Pleasure 2008のときもまあまあ前方だったので、さすがにX周年記念のPleasureはファンクラブ優先を考慮してくれてるのかも。通常ツアーのときはファンクラブ優先でスタンドはおろか落選することあるもんな…。

さて今回のライブですが、振り返っていちばん最初に思い出すのは「やっぱり『C'mon』は名曲だな~」ということ。未だに泣ける。”C'mon"ツアーのときはもうこの一曲だけで十分という感想だったんですが、その想いは変わらないですね。東日本大震災の直後に創られて、アルバムタイトルにもなってリリースされたこの曲。今後ずっとライブで聴きたいと思います。

もう一つは「正しさ」についての一連の流れかな。

"何をどこまで信じればいいか 君が僕に教えてよ"
(『ZERO』/B'z)


"いつでも正しい人なんているのかな"
(『あいかわらずなボクら』/B'z)


暗闇にうかんでるその頬に触れる
誰もがゆずれない正義を抱いて"
(『Q&A』/B'z)



いや、それよりも、「それは年齢とは関係ない」と思わされたこっちかな。

"いつのまにかこの街に 丸め込まれるのは誰?
くだらなかったあの頃に 戻りたい戻りたくない"
(『Pleasure 2013』/B'z)

LOSTAGE "New Moon, New Moon. ~背中と背中~" 2013/08/07@奈良NEVERLAND

素人の僕にも、ギターの音がよいということは判ったのでした!


先月のpangeaに続いてのLOSTAGE。前日はインターネット放送のDEERs NARA Channelというのに兄弟揃って出てはったんですが、疲れの溜まってた僕は0:30でリタイア。寝ちゃいました。視聴者500名を目指そう!と(DJの人が)言ってましたが(笑)どうなったんでしょう。

この日いちばん印象に残ってるのは、オープニングのエフェクト!僕が行ったライブでああいうオープニングから曲に入ったことないような気がするんだけど、どうだろう?おとぎ話との対バンに合わせてキラキラした音から入ったとか?そんなことないか(笑)。『僕の忘れた言葉達』『あいつ』、あの流れ良いです。

途中、MCで「今日はええ曲いっぱいやるよ」と兄さんが言ってましたが、ほんとにいい曲目白押しでした。「いい曲」というのは言い回しが難しいけれど「聴かせる曲」と言えばいいのか「メロディアスな曲」はちょっと違うな、とにかく大音量感で盛り上がっていくというのではなくて聴き惚れるというか酔いしれるというか、そういう面のある曲をずらりと並べられたように感じました。いつもはNEVERLANDで聴くと他より小さいうえにお客さんが少ないこともあって音圧を感じまくるのが高揚感だったのですが、この日は音が個々の音がすごくくっきり聴こえて、「大音量なのに耳を澄まして聴く」という、不思議な体験をしました。神経を研ぎ澄ませて一音一音聴くのが楽しかった。

そういう意味ではやっぱり『SURRENDER』がベストアクトかな~。pangeaのときとは全然違うと素人の僕でも判るくらい、ギターで変わるもんなんですねえと。めっちゃ聴き入りました。レコードされた音がその曲のあるべき姿の音だと思ってる訳ではないので再現性云々はないですけど、率直に言ってpangeaのときよりこの日の音のほうが好きでした。pangeaのときの、今のLOSTAGEが出している『SURRENDER』も感慨深かったんですが、純粋にこの日の『SURRENDER』はよかったです。美しくて。

さてやっぱり途中五味さんがMCで語ったことについて感想を書かないわけにはいかない訳で。

この日の前日、五味さんのお友達が何かの事故で(兄さんの言葉をそのまま借りると”悪さして”)亡くなったそうで、そのことに思いを馳せながら曲をやります、と言ってました。誰かの死に出くわすたびに、生きていることがありがたいこと、自分に残り時間がそれほどないこと、をつくづくと思いしるし、五味さんもその感情をとても言い表しにくくしているふうでしたが、僕も去年とある出来事があって、残り時間はそんなにないんだと思うようになって、やり方や流儀や新しいメソッドの取得なんかに夢中になるより何をどれだけ実施し何をどれだけ経験するかだろうというふうなスタンスに変わりつつあります。ほんとに残された時間は少ない。その少ない残された時間を、対して思い悩みもせずできるだけ気楽に楽しく過ごすように生きるのもいいし、ただただ経済的充足のためにまっしぐらになって生きるのもいい。でも僕はどうしても、何をどれだけ考えられたかが充実感に繋がる。だからできる限り、残り時間が少ないんだという危機感が、本能的な危機感であり続けるように生きていきたい。

ただ困ったことに、「その間際」の恐怖をふとした瞬間に実感してしまうことが、その危機感に少し鈍感にしているような気がする。

LOSTAGE "CRYPT CITY 2nd ALBUM [Defect] RELEASE LIVE" 2013/07/12@心斎橋PANGEA

6/11のw/dandylionに行けなかったので、凄く楽しみに行きましたが、完全燃焼のめっちゃええライブでした!

新曲2曲に『GO』から(であってる?)2曲と、なかなかにゴージャスなセットリストでしたが、僕にとってのベストアクトは『楽園』でした。念が籠ってるというのか無心というのか、圧倒されました。間奏あけで堪らず目を閉じて聞き入ったのですが、風圧というか音圧というか、ステージから来る圧が物凄かった。いいモノ見せてもらいました、いい場に居させてもらいました。目を閉じて聞き入ると、拓人さんのコーラスの、正にコーラスの存在感もひしひしと感じられ、全部の音が明瞭に押し寄せてくる、そんな圧でした。

・・・と思ってたら直後のMCで拓人さん、「エフェクタ全部忘れて慌てて取りに戻って19:15くらいにOPAについて汗だくで。ちょうど体あったまってコーラスも凄い声出る」なんてオチ(笑)。兄さんに「毎回そうしろ」と突っ込まれてました。

『SURRNEDER』はおおっと声出ました。2,3、ファンブログ読ませて頂くと、『X』のほうが珍しいそうですが、僕は『SURRENDER』におおっとなってしまいました。決して美麗ではないですが、あれを再現しなくても今の『SURRENDER』がこうだと言える、そういう自信持ってる感じに受け取れましたが、どうなんでしょう?最後に演奏された新曲は、言ってることは相変わらずおだやかじゃなさそうでしたけど、音像は穏やかというのとはちょっと違うけど、どっしりしたものがありました。落ち着いてるというか。安心はしてないけど落ち着いてる、そんな感じ。

後ろでRUSH BALLの話してる子がいて、こんないい演奏みせられると、年甲斐もなく見に行きたいなあと思ってしまいました。


sankakuでの五味さんのライブでお知り合いになったカワかわさんと再会、記念撮影!カワかわさん、HANARART楽しみにしてます~!