B'z 『Brotherhood』の圧倒@4/1 ミュージックステーション 

4/1のMusic Station。一ファンとして、どんな姿を見せてくれるのか、待ち侘びていました。

僕は自他共に認めるB'zファンです。ほぼデビュー直後からのファンです(さすがに、デビューアルバムの『B'z』だけはオンタイムで買ってませんが後は買ってます)。B'zファンというと、いわゆる「音楽通」的な人たちから、「ははは」と嘲笑されるような、そんな時代も生き抜いてきました(一部では今でもそうかも知れないけど)。もう、臆面もなく「B'zファン」と言い切ってます。ライブももちろん毎回行きます。大阪のチケット事情はマナーの悪さからファンクラブ優先でも厳しく、『ACTION』のとき抽選で全滅した際は、とにかく手当たり次第申し込んで、仙台まで観にいきました。できる限り遠征もします。欠けているアイテムは、シングル・アルバム・ソロ・映像作品含めてありません。そのくらいファンです。

何が好きかというとあの人達はほんとうに「プロ」だと思うからです。毎回ドーム公演を完売して、どの公演でもパーフェクトなアクトをする。「ライブは生き物だからいろんな調子のときがある」みたいなことを言うミュージシャンは、はっきり言ってそうやって寝言を言っとけと思う。お金を払って、時間を費やして、対峙しようとしてくれている人たちに、ベストを尽くすのがパフォーマーとしては当たり前だろう。その「当たり前」のことを、23年もの間粛々とやり続けている人達を僕はほかにほとんど知らない。

僕は、稲葉の書く歌詞が大好きです。稲葉の歌詞は、ぜんぶ自分のせいだと歌う。ぜんぶ自分のせいだと歌うんだけど、そこに重苦しさだけが漂う訳じゃない。辛い時はちょっと休んだらいいし、自暴自棄のときは自暴自棄になっても構わない。でもそれ全部自分のことなんだよと、自分でしょってちゃんとやってこう、と歌う。そして、それを絶対に誰にも強制しない。「僕はこう思う。君の参考になれば嬉しい。」常にそういうスタンス。あの哲学を、ほとんどまるまる鵜呑みにして今までやってきてるような気がするくらい、彼の歌詞が好きです。その世界観はあまりに崇高過ぎて、自分の実生活で実践しようとしてもほとんどできずにボロボロになって打ちひしがれるばかりだけど、それでも諦めたりはしません。

そして、4/1のMUSIC STATION。『さよなら傷だらけの日々よ』はもちろん良かった。

「さよなら傷だらけの日々よ 目指すは次の世界 明日はもうここにはいない」

次のステップを踏み出す時には、避けられない別れもある。でもその別れとは、いつも新しいものだろう。悲しむ必要なんてないよ。
できれば避けたいことだけど、でもそのときには大きく構えようと思わせる、大事な大事な哲学。

でも、やはり『Brotherhodd』だろう。

ネットでは『PRAY』を予想する声が多かったけど、僕は正直言って『PRAY』は曲調が被災して3週間の今の時点には、暗過ぎるような気がしてた。いい曲に違いないんだけど、あの曲はもう少し、平時でこそ強い思いを重ねられるような曲だと思う。

『Brotherhood』と聴いたとき、意外だったのと大きく納得したのと両方の感情が流れた。

B'zのファンのことを「ブラザー」と呼ぶ端緒となった曲、Brotherhood。

なんとプレイヤーはBarryとShane。

そして、これまでTV出演の際は場合によっては生音は稲葉のボーカルだけで、 演奏はトラックを流してることがあったのですが、今回はすべて生音。

松本さんまでもがコーラスに加わる。

「いざというとき手を差し伸べられるかどうかなんだ」で、マイクスタンドをガンガンと床に打ち付けて絶唱する稲葉。


稲葉はライブで観るとき、常に「プロのシンガー」としての稲葉の顔を崩さない。

けど、今回、歌い終わった後の稲葉の顔は、人間・稲葉浩志だったと思う。

言っては悪いけど、歳相応の、稲葉浩志が、そこにいたと思う。


もう本当に、特にアンチB'zだという人に、この演奏を是非聴いてもらいたい。すべてが終わった後、「元気が出る応援ソング」みたいののベスト3が残ってたけど、スタジオはそんなものは霞んでしまい、ただただ圧倒された空気だけが残った、あの演奏を。

あれこそが、「音楽にできること」だと思う。

そして、どんな仕事でも、全力でやっていれば、「その仕事にできること」が、自分の力になって返ってくるはずだ、と。

行けなかった「3月28日 奈良ネバーランド 東北地方太平洋沖地震チャリティーイベント」のその後

3/28、奈良ネバーランドで実施された東北地方太平洋沖地震チャリテイーイベント、待ちわびていたのですがなんと間の悪いことに当日重症扁桃腺炎に陥ってしまい、諦めざるを得なくなったのです。

ライブは見れなくても、せめてチケットだけは買いたい、募金したい、ネバランならここから30分もあれば、と思うのですが、重症扁桃腺炎というのは本当につらくてとてもじゃないけど行けそうにありません。

そこで、ダメモトで、ツイッタで、五味兄さんとネバーランドのアカウントに、ツイートを飛ばしてみたのです。こんなカンジ:

今日の整理番号16番の者です。楽しみにしていたのに扁桃腺炎と高熱でいけなくなってしまいました。でも五味さん&ネバランの活動に参加したく、後日ネバランにチケ代持ってってもいいでしょうか?いつまでなら間に合いますか?

予想では、五味兄さんは、返してくれたとしても「その分他で募金してください。同じことです。」というにべもない答えだろうなーと。ネバランの方は、ひょっとしたら真面目にいつまでって答えてくれるかな?と期待したんですね。ただ、ツイッタなので、あんまり人目に触れたら収集つかなくなるし、答えもらえないかな、と思ってたら、ネバランの方からdを貰ったのです!

それは、「立て替えておきますから、体調がよくなったら持ってきてくださいね。」という趣旨のものでした。

もう僕はびっくりして、速攻お礼のdを打ちました。案の定、五味兄さんからはほぼ予想した通りの(ほぼというのは、「気持ちだけ頂いときます。ありがとうございます」という、意外と優しい言葉が添えられてたから・笑)リプライがあったのですが、ネバランの方も五味兄さんと話はしてくれたみたいでした。

その時点で、僕の体調が完調するのは金曜以降だろうと予想されていたので、「金曜か土曜には必ずお返しにあがります」とdしました。

そして、昨日、無事立て替えて頂いた分をお返しすることができた訳です。

残念なことに、dでやり取りしてくださった方は、そのときたまたま不在にされていたのでお会いできなかったのですが、スタッフの方にほんとに心から感謝の言葉を伝えさせて頂いたつもり。もちろん、実際にお会いしてお礼を申し上げないことには礼儀が立たないので、近々、またネバランに行くつもりです。


僕はそれほど音楽好きという訳でもないし、しょっちゅうライブハウスに行ったりする訳でもないので、近所なのにネバランに行ったのは今年1月のLOST IN TIMEのツアーが初めてでした。このときはLOSTAGE目当てで行って、案の定LOSTAGEに完全に当てられて、数年前からネットの友達が「LOSTAGEいいよ。奈良出身だよ。」と勧めててくれたのですが、目の当たりにして完全にハマりました。そして、LOSTAGE本拠地のネバランは、スタッフの方がとても元気がよくて、爽やかでいいライブハウスだなーと思いました。受け付けなんかも丁寧です。ドリンクは栓を開けて渡してくれたりします。そして今回の出来事。完全にネバランのファンにもなりました。

3/10 GRAPEVINE tour 2011@神戸WYNTERLAND 3/10

書いてなかった活動を遡って振り返る!まずは3/10 GRAPEVINE@神戸WYNTERLAND。
と言っても自分としては別のところで書いてるので、書いてないって感覚は全然ないんだけど。 

今振り返れば、これって東北関東大地震の前日だったんだなあ…田中くん、頻りに「神戸は雪になるらしいですよぉ~大丈夫ですかぁ~」と言ってたけど、まさか翌日にあんな大きな災害が起きるなんて、ほんとあの晩は思ってなかったよなあ、という、嘆息にならない嘆息が出てくる。当日は開場時間くらいから雨が降り出して、傘を持ってなかった僕は、WYNTERANDが初めてだったこともあり、かつ、スーツのままで行かざるを得なかったこともあり、かなりの悪印象だったんですけど、そんくらいで文句言ってたのが情けなくなります。

セットリスト(拝借ものです)

01.Silberado
02.This town
03.Suffer child
04.ミランダ(Miranda warning)
05.ピカロ
06.インダストリアル
07.冥王星
08.おそれ
09.Dry November
10.411
11.夏の逆襲(morning light)
12.風の歌
13.ランチェロ'58
14.Neo Burlesque
15.Sanctuary
16.VIRUS
17.GRAVEYARD
18.真昼の子供たち

En.
01.Come On
02.スロウ
03.その未来

田中くんがMCで「ストレンジランドはみんで盛り上がっていこうってカンジのアルバムじゃない」「ストレンジランドの深いところに降りていく」と言ってたように、セットリストもかなりストレンジランドムードに沿ったつくりだったと思う。そもそもバインの進行はどの曲も大抵スリリングだし、単純にテンション上げていくようなノリじゃないと思うけど、今回のはみんな複雑な揺れ方してたなあー上級者だなーと観ながら思ってました(どこ見てんだ)。

僕は、ピロウズ・グレイプバイン・トライセラトップスといういわゆる「売れそうで売れない御三家」を、結構昔から聴いてるクチなんですが、とりわけバインはいちばん売れそうで売れないというか玄人好みというか、繊細で、「簡単に分かってくれるな、そんな安易なメロディラインにするか!」みたいなところがあると思ってて、そこがまたオシャレでセンスな部分だと思うんですが、ストレンジランドはそれが前面に出てて僕は好みです。もっとパワフルでエネルギッシュなのもあってそれがバインだと、根っからのファンの人は言うと思うんですけど、ふつうのリスナーにとっては、やっぱりバインは通好みの洒落た音を出すバンドというイメージじゃないかなと思うんです。

こんなときに、こんなときだから、こんなときでも LOSTAGE五味さんの「自主」の話 #jbnsgt3k #lostage

こんなときになんなんですが、去年からLOSTAGEというバンドをしっかり聴くようになって、大好きなんです。

五味兄弟が奈良出身で、なんだかよくわかんないけど、声とか、顔とか、メロディとか歌詞とか、ものすごいシンパシーを感じる訳です。 

この画像は、前後の状況がよくわかんないんですが、調べてもいないんですが、とにかく2010/10/2の4:00AMに仙台駅前で、ゲリラ的に演奏して撮影したもののようです。「あしたタワレコでライブ」みたいなこと言ってるのが聞こえるので、インストアライブ前に、レコード会社の人と企んで、撮影したもんじゃないかなと思います。アップしているアカウントがflakerecordsオフィシャルのようなので。

五味さんは、今、仙台を思い出してるんだろうか?

なんで今LOSTAGEかというと、『自分の仕事』を考える3日間以来、「仕事」「働く」ということについて、一介のサラリーマンのスタンスで考え込み続けている僕にとって、とても、というか、あまりにも僕の考えをトレースして書いてもらったかのような、そんなエントリーを五味さんのブログで読むことができたから。

”最近のできごと、これから" - LOSTAGE 五味岳久の日記

エントリがある訳だからくどくどとここでサマリしたりするつもりは全然なくて、でも五味さんの「やり方」というか「進め方」というか、その律儀でバカ丁寧なやり方加減というのは、ほんとに共感するし、手を抜きそうになる自分の強い戒めになる。まとめるつもりはないと言いながら雑把に言っちゃうと「次のリリースは自主でやる。どうなるかはわからない。」ということを言ってて、引用すると、

自分達でやることでどれくらいの予算が必要で、どれくらいの労力、人手が必要で、それがどのくらい大変な事なのか、思い知りたいわけです。

「リリース」というフローを、最初から最後まで全部体験したい、と言ってる訳です。これは僕たちサラリーマンにとっても永遠の命題で、「スペシャリトがいいのかジェネラリストがいいのか」とか、「経営者は自社の業務プロセスに精通しているべきか、しかしそれでは外部から経営のプロを招聘できない」とか、「だから経営のプロは短期間で業務プロセスを把握できるような明晰でスピーディーな頭脳を持たなければならない」とか、「所詮そんなもの机上のもので本質に触れない」とか、いろんな議論が日々巻き起こってる訳です。でも僕は、やっぱり「経験」していないと、どこかで「歪み」を引き起こしているものだと思います。数字は大事ですが、数字で計れないものがちゃんとあることをわかって行動していないと、結局、その「計れない」失敗さえも、数字の暴力でごまかしていこうとするのが企業というものだと思うんです。

話が若干それてしまったけど、五味さんの、この「筋の通ったバカっぷり」が僕は本当に大好きで、もちろん音楽も大好きで。そして、この「自主で出す」ということについて、ちゃんと「お金」のことについてもエントリで触れているところもたまらなく好きです。僕は、「仕事」「働く」というのは、なんとしても、自分で食っていけていて初めてそれを「仕事」と呼んでいい、と思ってて、LOSTAGEがバンド活動を「仕事」と呼ぶかどうかは別ですが、創作系の人の感覚として時々出会うような、タニマチやパトロン(なんてどぎつい明言はしないけど、言ってしまえばそういうこと。スポンサーね、要は)がどこかにいて、自分の創作が生み出す収益とは無関係に、生活が保障され安定してなければ、安心していいクリエイションができないよ」みたいな、そういうのは断じて仕事じゃない、と思う訳です。それはそれで、「趣味として創作してる人」と名乗ってもらえばよい。それが産業であれ創作であれ、誰かにとって何かの「価値」を生み出すところに意味があって、その対価でもって生活を成り立たせてる人じゃなければ、僕は同じ「働く人間」としては認められない。そりゃいろんな問題はある、やりたいことが今の日本ではもうほとんど対価を貰えないようなことであったり、だけれども、やっぱり、自分の活動と関係ないところで、自分の生活が保障されることを、「働く」という状態とは言えないと思う。そういうコンテクストの中で、五味さんのこのエントリはかっこよすぎる、と思う訳です。

五味さんの最新のエントリは地震に関することで、「ああなるほど」と思うところがあるし、このエントリで触れている事柄に対するその筋の通り方も、ほんとに共感できて好きでたまらないんですが、あらぬ誤解をする人もいそうなので、ここでは引用したりはしません。とにかくシンパシーなのです。

the pillows HORN AGAIN TOUR@BIG CAT 2011/3/2

行ってきましたBIG CAT!

初めてのBIG CATだったけど、直前まで仕事の電話がジャンジャンかかってきて落ち着かず、なーんの写真も撮れず仕舞い。残念。

BIG CATは思ってたより広かったです。基本、厚生年金会館以上のキャパ育ちの僕に取って、Zeppやhatchは十分狭いんですけど、こないだ奈良NEVERLANDを経験してキャパ感覚がよくわからなくなり(笑)、BIG CATはもうちょっと狭いんかなと思ってましたが広かったです。ただロッカーに関してはやっぱ昔からの会場だなという悪環境でしたね。

以下、メモ書き。

  • さわおさんの「なんか吹っ切れた」がハイライト。たとえ強がったこと言ってたとしても(言ってるの聞いたことはないけど)気にしてないワケないだろうと思ってたけど、「吹っ切れた」って、アレに言及するような言葉を口にするとは思わなかった。これはジンと来ました。
  • そして「大阪はいろいろあったけど今日もこうやって来てくれたみんなはほんとうの理解者だと思ってるありがとう」と。ほとんど大半が軽口でも、いっこしめた言葉くれたら僕たちは大丈夫ですよ、さわおさん。
  • オープニングから相当とんがってるカンジを僕は受けました。ちょっと怒ってんの?ってくらい。気合入りまくり?そんなこと言ったら「いつもだよ」って言われそうですけど(笑)。
  • しんちゃんの「間奏で一瞬演奏が止まるところがあるんですが、お客さんの中に・・・」ってMCに対するさわおさんの「ない!」って突っ込みの早いこと早いこと。
  • オールドナンバーリクエストはZepp Osakaで実現されるのか!?やっぱ二日とも行きたくなってきたなー。

ようやく『enⅡ』を観る、そして改めて目覚める

B004HA59MS Koshi Inaba LIVE 2010~en II~ [DVD]
稲葉浩志
VERMILLION RECORDS 2011-02-16

by G-Tools

ようやく観れました、enⅡ DVD!!

このライブだけは、ほんとに3回も行って良かったと心から思う。徳島、神戸、博多。余裕さえあれば、広島と千秋楽の名古屋にも行ければよかったけれど、ともかくこの3回行って本当に良かったと思う。DVDを観て、何か外部から刺激を受けないと、自分の魂の震えが起きたり、何かに立ち向かっていくエネルギーが湧かなかったり、そういうところに強いコンプレックスを持っていたんだけど、これは別に悪いことでもなんでもない、もし奮い立ちたかったら観ればいいんだ、それは決して依存している訳ではないんだと、そういう想いに初めて至った。

まず思い出すのは『透明人間』。ライブでこの曲が終わって、ほとんど放心している耳に、「稲葉さん素敵ね~」「うっとりするね~」と、こともあろうにこの曲を聴いた後にいってる女性がいて、何を言ってるの?と詰め寄りたいくらいの憤りにかられたことを思い出す。

今改めて観て、やっぱりいちばん好きなのは『今宵キミト』になるなあ。『赤い糸』も凄く好きなんだけど、『今宵キミト』の、何もかもまじりあってる具合は何とも形容しがたい魅力。「音もなくろうそくが燃え尽きるよ」という終わり方も、切なくていい。どうしても届かない言葉というのが、ある。

稲葉さんのストイック加減というのは、どんなに時間がかかっても真面目にやるしか道の開けない僕の人生を、凄く励ましてくれたと感謝してて、それなのにここ数年は取り巻く環境の唱える言い分-効率性こそ命、手際よく稼ぐことに何の問題がある?というのに流され、というよりは進んで身を供して、それに染まってきた結果、自分が口で言ってるほど努力をしていないことに気付かされた。今改めて、自分の「努力バカ」さ加減を、切り開き直そうと思う。

理解りあえない 人たちから遠ざかりたい

不朽の名作、『赤い河』。

"止まらない いつまでも このくやし涙
理解りあえない 人たちから遠ざかりたい"
(『赤い河』/B'z) 

B00005F5AY THE 7th BLUES
Kohshi Inaba B’z
BMGルームス 1994-03-02

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”救えない 引き裂かれた心を誰にも
逢ってみたい このボクを求める人に”
 (『赤い河』/B'z) 

この曲ほど、「わかりあえない人たちから遠ざかりたい」なんて言葉を、積極的な響きに聴かせてくれるものはないし、今後も出てこないと思う、僕に取っては。普通、「わかりあえない人たちから遠ざかりたい」なんて言い草は、許されるものではない。でもこの曲が言っている「遠ざかりたい」というのは、ほんとうにほんとうにほんとうに言葉を尽くし切ってもうこれ以上ないというところまでやったというある種の諦観、そして、やっぱり「遠ざかりたい」とは思ってなくて、なんとかしてわかりあって「このボクを求める人に」「逢ってみたい」という切実な想い。

僕は、何があってもこの思いが理解できない人とは本当の意味で友達にはなれないな、とずっと思ってきた。
そして、一度は判りあえたようでも、本当には判りあえてなかったんだなという辛さも知っていた。

この曲が、「遠ざかりたい」なんて言っているのにそれを積極的な響きに変えるのは、一にも二にもサビの世界観だ。

”FIND ME NOW 宇宙の果ての惑星で 悩むボクを
笑えよ 途絶えることのない命を震わせ
小さなヒトの苦しみもまた塵のよう
帰るよ 限られた自由を叫びまくろう 赤い河よ”
 (『赤い河』/B'z) 

泣けてくる。僕はできる側にいたい。できるヤツになりたい。誰かに縋って生きていくような輩にはならないし、そんな輩と近しくなりたくない。

 

 

ここじゃないどこかへ いけなかった

Hadou
Hadou Koshi Inaba 稲葉浩志

バーミリオンレコード 2010-08-18
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歌詞、特に稲葉さんの歌詞については、もう20年付き合って考えてきただけあって、たいていは目にするだけでその魂がすーっと入ってくるんだけど、それでも稀にピンとこないことがある。

最近では、『この手をとって走り出して』のここ:

楽しい時をゆがめてしまう勇気を
しぼり出せずに
わざと遠まわしな言葉
えらんでいたけど

この後、サビの『この手をとって走り出して』につながるんだよね。
それじゃあ、「この手をとって走り出す」ことが、「楽しい時をゆがめてしまう」ことになるんじゃ??
「この手をとって走り出す」ことは、「ここじゃないどこかへ」走り出すことで、
それは「新たなる高み」を目指すことだと思うんだけど、
それが厳しい道だから、「楽しいときをゆがめてしまう」ってことなんだろうか?

違うと思うんだよなあ。

もっと単純で簡単なことだと思うんだけど、カチコチでがんじがらめになったオトコの思考回路は、その単純なことが出てこない。 

the pillows Movement Tour @ なんばhatch 2010/12/12

もう一週間も経ったのかー。楽しみにしていたピロウズワンマン。なんばhatchと言えば今年の初め、さわおがしつこく指笛を鳴らすオーディエンスに激高し、まるでそれを取り繕うかのようにアンコール最後にダイブするという大アクシデントがあったライブ以来。本人たちは意に介してないかもしれないけど、あのhatchに参加してた人達は、ちょっとした緊張感を誰しも持ってた気がする。それに、結構、「さわおさんがキレた後の歌い方のほうが、悲しいけどなんか訴えてくるものがあった」という声もあって(それは、変な空気にしてしまったのを取り返そうとさわおがフルスロットルで歌ってたという、いい意味でのことなんだけど)、負けず嫌いでプロ意識の強いさわおは、「そんなもんなくてもアツいライブを見せられる」と気負ってても不思議はないと思う。そんなこんなで微妙な緊張感。

しかしそんな緊張感とは裏腹に、今回のツアーグッズには「バスターくんインナーイヤーヘッドホン」というとてつもなくかわいいグッズの販売が告知されてたので、これは絶対に買わねばなるまいと、開場18:00というのにその3時間前に会場へ。しかし、僕の熱い思いとは裏腹に、会場についてもそんなに人気がない…。20人くらい座り込んでたんだけど、それが、整理番号の若い人が座り込んでるのか物販の列か、尋ねるだけの勇気も出ず、いったん会場を離れる(笑)。で、10分くらいたって帰ってきたら、スタッフの人が柱にヘッドホンのビラを張り付けてたので、間違いない!と並ぶことに。結局物販は16:00から始まったのかな?問題なく変えました。いっちゃなんだけど、LIVE-GYMの物販に較べたらこれくらいの待ち時間全然なんでもないです(笑)。

チケットは整理番号がA番だったので、開場時間にちゃんと行って、呼ばれた時間に入りました。hatchは前半分と後ろ半分のとこの段差の壁にもたれかかってみるのがいちばん楽で近くてバランス取れてる。今回も早めに入れたのでその場所をゲット。

今回は前方は、どういう経緯でピロウズを知ったのかよくわからない中年男性が非常に多かった!!(僕も中年男性ですが)完全に棒立ちで聴いてるときもあったりして、楽しめてるんかなーと心配になったりしたけど、隣の女の子が、それら男性のノリが変とか逐一笑ってるのを聞いて、「あーオレも後ろで笑われてんのかなー」と思いつつ、人それぞれなんだから笑うヤツがおかしい!と憤ったりしてました。

さてオープニングが『MY FOOT』でちょっとびっくり。セットリストです。

<セットリスト>
01.MY FOOT
02.New Animal
03.アナザーモーニング
04.彼女は今日
05.Crazy Sunshine
06.Ritalin 202
07.Movement
08.空中レジスター
09.Midnight down
10.ローファイボーイ,ファイターガール
11.Funny Bunny
12.Robotman
13.Split emotion
14.Gloomy night
15.FLAG STAR
16.Beautiful morning with you
17.RUSH
18.Sleepy Head
19.Mall Town Prisoner
20.この世の果てまで
21.Blues Drive Monster

En1
01.New Year's Eve
02.ROCK'N'ROLL SINNERS

En2
03.プロポーズ

いつもの「ブラジャー交換」ネタ以外のMCは、控えめなカンジだったと思う。やたらブラジャー交換ネタの時間が長くて、その後「予定にない曲を」といって始まったのが『Funny Bunny』。喜びながら、「ほんとに予定になかったんかなー?」と疑ってしまったけど、後から東京・名古屋のセトリを調べてみるとほんとにやってないんだね、ファニバニ。演奏後、前方のオーディエンスに「新しいだろ?」と呼びかけてたけど、確かに新しかった。今までのような、ぐいぐい押しだしてくるのだけが魅力の曲じゃないんだね。MCが控えめだったのは、しゃべると前回の事件に関わらずにはいれないからなのか、音で取り返すと思ってるからなのか、どちらにしても気迫満載でした。

『FLAG STAR』は予想してました。声割れんばかりで切なさ倍増。

二人で長いマフラー包まって
十二月 はぐれないように
歩いたんだ 永遠を試したくて
ボンヤリ 目印にしてた星に
下らない名前をつけた
キミは何もかも忘れたのか

『MOVEMENT』収録曲の中では、どうも世間的にはいちばん人気薄っぽいんだけど僕はいちばん好きな『Gloomy Night』。あの曲調にあの歌詞というのが泣かせる。泣かせるのに何度も聴いてどっぷりしてしまう。

もう会えないだろう
なりたかった自分を
裏切った
剥製になって時を止めて
魂を手放しちゃえよ
闇にまぎれて 

『Mall Town Prisoner』も嬉しかったなあ。聴いたの初めて?だと思う。周りも盛り上がってるのみて凄い嬉しくなる。

ダブルアンコールが『プロポーズ』でシめたってのもちょっと風変わりなカンジ。この日のライブは、盛り上がりも音も絶好調だったし、セトリも濃縮されたカンジで、シングルを引っ提げて回る東名阪ツアーにふさわしい、ちょっとスペシャルなカンジのいいライブでした。もう、今度からはhatchだからって緊張する必要は、なさそうだな!

Koshi Inaba LIVE 2010 ~enⅡ~徳島・神戸・福岡 総まとめ

LIVE 2004 enのときはまさかのチケット落選、そして今回もファンクラブ優先は全滅、直近のACTIONツアーの悪夢が甦った(ファンクラブ全滅、手当たり次第申し込んでようやく確保できたのが唯一日曜の仙台だった。でもこの仙台公演は大当たりで、それ以降余計に”遠征するのも十分アリ”という気持ちが定着)僕は、ファンクラブ全滅した翌日から、enⅡのチケット抽選が発表されるや否や片っ端から申し込み、その結果、徳島、仙台、そしてキャンセル不可の福岡、鹿児島といずれも遠方ばかり4か所のチケットをゲット。そこへきてファンクラブから神戸公演追加のお知らせがあり、速攻申し込み、無事入手。さすがに交通費もろもろ考えると全公演参加は厳しいと思い、仙台と鹿児島は泣く泣く諦め、8/29@徳島、10/7@神戸、10/11@福岡の3公演に参加。

3公演のレポはその都度mixiに書いてたんだけど、今回のツアーへの参加は、個人的なことも含めて自分の人生史に残さないといけないような大切な出来事なので、改めて纏めてみようと思いmixiから転記してみました。その上で加筆しようと思ったんだけど、意外なことに加筆する必要がないくらい、珍しくちゃんと書けてたので、そのまま3本並べてみます。よろしければ。

ひとつだけ書いてないこと、それは、徳島の翌日の帰り道、偶然にもツアートラックの後ろについたこと。徳島淡路鳴門自動車道を余韻満載で、真夏の名残残る青空のもと気持ちよく走っていたら、遠くに見えてくるのは紛れもなくツアートラック!慌ててケータイで撮影したのがこの写真です。ほんとはダメなんですけどね。

 

2010/08/29 Koshi Inaba LIVE 2010 ~enⅡ~@アスティとくしま 

”なぜに人は誰もただ生きるだけで傷つく 傷つける? 眠れぬ夜をまたひとつこえよう” (『エデン』/稲葉浩志)

アスティとくしま、行ってきました!!
稲葉のソロライブ、Koshi Inaba Live 2010 enⅡです!!
会場に車を停めたかったので、 6時起きで家を出発、ロードバイクも積んできました(笑)

ライブは熱かった!!
鳥肌立ちました。 B'zよりも断然人間くさかった。
そういう意味でほんとにライブでした。

『Hadou』の曲からは、どれも「どんなふうに生きる?」という問いかけを受けるんだけど、
今回のセットリストは、『Hadou』以外の曲のいくつかがすごい重しとして効いてた。
スクリーンの効果からも、「時間」と「関係性」が軸になってると感じるんだけど、
『Hadou』以外の曲がほんとにそこをうまく引き立たせてた。

いやー交通費負担がキツいし諦めようと思ってた福岡も行きたくなってきた(笑) 

明日は持ってきたロードバイクで眉山を登るか悩み中…

2010/10/07 Koshi Inaba LIVE 2010 ~enⅡ~@神戸ワールド記念ホール 

思い切って行ってきました。enⅡ@神戸、二日目。

印象的だったのはセットリストの変更。
『エデン』が、『去りゆく人へ』に。

神戸二日目でいちばん印象に残ったのは、『赤い糸』。 

”ただ 真っすぐ 何かに突き進んでゆくあなたをね
ついついね 見つめてしまう” 
(『赤い糸』/稲葉浩志) 

これは僕だけかも知れないけど、 この日の稲葉さんはなんかちょっと固かった。 
何かを堪えているというか、そういう雰囲気があった。 

すごい楽しみにしてた『今宵キミト』も、 徳島のときより硬かった。
出だしの部分は、気合が入りすぎて空回りしてるみたいに。
そんな中、ときどきふっとリラックスしたように笑う瞬間があったんだけど、
特にこの『赤い糸』のときの笑顔が堪らなかった。
とても気持ちよさそうに、歌ってることで何かから解き放たれているようだった。
観てるだけで泣けてくるような、そんないい笑顔でした。

”すべてを知ることなんて できないよ
だから 目を閉じて祈る”
(『赤い糸』/稲葉浩志)

座席が結構前だったので、ラストの『手を振ろう』で、
稲葉さんが歌うとこの地声がちょっと聞こえたのが嬉しかった。

”問題は依然、解決しない 
うまい話も基本的にない
明日が怖い?怖いのは自分 
そんな毎日を生きるのも自分
今日の自分に向かって思い切って
手を振ろう さぁいま 手を振ろう
手を振ろう さぁいま 手を振ろう

知ってるはず 感じてごらんよ 
身体の奥で 炎のタネが芽吹いて 
パッと綺麗に燃える
その時が来る 絶対来る
明日の自分にしっかり見えるように
手を振ろう さぁいま 手を振ろう
手を振ろう さぁいま 手を振ろう”
(隠しトラック/稲葉浩志)

なかなか、タイミングが合わなかった。手を振るタイミング。

2010/10/11 Koshi Inaba LIVE 2010 ~enⅡ~@マリンメッセ福岡 

神戸に引き続き、 本当に本当に本当に当日の今日の、 

この新幹線に乗らないと間に合わないというところまで 様々に考え、
どうするか迷いに迷ったのですが、 考えに考えた末、福岡マリンメッセ、行くことにした。

これだけの思いと覚悟で来てるんだから、 応えてくれよ稲葉、
という勝手な祈りにも似た願いに、
なんと完璧に応えてくれたライブだった。

まず、僕にとってこれがenⅡの総決算なので、
一回目の徳島からわかっていたモチーフで、
僕にとっても大事だったところを。

”どしたら変わる?どしたら笑う? きっと簡単なスイッチだろう
でもそれが見つからないまま 人は苦い涙にくれる”
(『tamayura』/稲葉浩志)

”あなただけにしか触れられない 心のスイッチがある
きっとそれだけは 何が起きても 消えることはもうないでしょう”
(『この手をとって走り出して』/稲葉浩志)

僕は『この手をとって走り出して』はそれほど感動する曲ではないんだけど、
ライブでのこのコントラストは3回聴いても鮮やかとしかいいようがなかった。

そして印象的だったのは、神戸で変更のあったセットリストの部分、
今日は福岡の二日目だから、『去りゆく人へ』をやるんだろうと踏んでいたら、
なんと『主人公』だった。 『エデン』→『去りゆく人へ』→『主人公』。
これが印象に残らないはずがない。

そして気が付いた。これを自分の側のことだけで受け止めてはいけないのだと。
『今宵キミト』で気が付いたように、 この流れは相手に捧げなければならない流れ。
相手がどう思っていようと、捧げなければいけないんだ。

この日の『今宵キミト』はパーフェクトだったんじゃないかなと思う。
その上で、いちばん心を揺さぶられたのは神戸に続いて『赤い糸』。
そしてこの曲すら、相手と自分の立場を入れ替えられるくらいのところまで来る。

3回のライブを通して、このライブで一番印象に残った曲は?と言うと 『遠くまで』。

”いつでも景色の片隅には君が映っているよ 花のように 微笑んで”
(『遠くまで』/稲葉浩志)

3回のライブのどれがいちばん良かったか?と言うと、徳島だったと思う。
ライブそのものの出来もそうだったし
(神戸は固かったし、福岡は声の調子は良かったみたいだけどシャウトが短いアレンジだったりした)、
個人的なことだけれどなによりあの徳島はほんとうに煌めいていたから。
何もかもひっくるめて、新しい自分のほんとうの第一歩を踏み出せたときだったから。

そして僕に残ったまんまの謎。
この部分がどういうことを歌っているのか?

”楽しい時をゆがめてしまう勇気を しぼり出せずに
わざと遠まわしな言葉 えらんでいたけど”
(『この手をとって走り出して』/稲葉浩志)