Sid Vicious My Way [Official] - YouTube

auの「未来は選べる」CMで聴いて、懐かしかったので。

Sid Viciousと言えばパンク精神の体現と言われているし僕もそう思う。でも「パンク」って何だ?破滅的なことがパンクなのか?無政府主義がパンクなのか?反体制がパンクなのか?

Sid Viciousの"Vicious"はJohnny Rottenが付けたらしいが、Rotten曰く「Sidから最も遠い名前を付けた」。Sidがどんな人物なのか追求したことはないけれど、ありのまま振る舞った結果がああいう人生だという訳ではなさそうだ。極度の麻薬中毒だったというのも、快楽主義や安直な手出しというよりは、Sid Viciousとしての振る舞いの皺寄せを麻薬でごまかしていたくらい、「まとも」な精神性を持ち合わせていたのだろう。

初期のパンクは、政治的な反権力ではなく、音楽的な反権力を志向していた。ロックがどんどん複雑になり権威主義に陥っていくことに逆らったのだ。もともと権威など纏わない、純粋な音楽の楽しさを愛する人間が、その権威と対峙しようとすれば、ただの純粋な音楽好きのままでは戦えない。勢い、自分の素の姿ではないかも知れない、「反権力的な」振る舞いで戦わなければいけない。

僕がパンクを愛するのはそういうところなのだ。求めるもののために、自分の生来を曲げて無理をしてでも反権力を貫こうとする、そういうところ。

『C'mon』/B'z

夢を問われ 答えられないのは罪でしょうか?

(『デッドエンド』/B'z)

まるでセルフトリビュートみたいなこのアルバム、僕にとっては『デッドエンド』しかない!

もちろん、どの曲がメインかと言われたら、東日本大震災後に完成した、というのがよくわかる『C'mon』だと思うし、最も人気が出そうなのは壮大なロックバラード『ピルグリム』だと思うし、『ひとしずくのアナタ』の切ないクライマックスや『ザ・マイスター』のノリの強さも一発で引き込まれる。

でも、僕にとってはこのアルバムは『デッドエンド』だ。

精一杯生きるうち 自分の力思い知り
はじける勢いが知らず知らず行き止まる 

ひとつ前のチューン『ザ・マイスター』で、”懸命に生きる 本能 そんなのあたりまえ”と歌っておきながら、これだ。

夢を問われ 答えられないのは罪でしょうか?
何もできず 一日が終わるのはダメですか? 

『Time Flies』に似たこのモチーフ。しかし、『デッドエンド』は厳しく猛省を促すようには進まない。

どんだけ似てるように見えても
昨日と今日は絶対に違う 

思い出すのは『BLOWIN'』。”繰り返しなんかぜんぜんない暮らしをしてるはずだぜハニー”。

そして突き刺さるのはここ:

夢を描けないのなら ひたむきに待てばいい
生きつづけることでしか 何も生まれない

時間を食おうといいじゃないか
無理矢理でも面白がれ 

個人的に当座の目標を失い、何を目指して頑張っていけばいいのか、まったくわからなくなったまま、数か月を過ごしていて、もっと長いスパンでも、自分はこうなりたい、こういうことがしたいという夢を語ることができない状態で、これじゃあ社会人失格なのかと、自信喪失気味にやってきてて、もう残された時間も少ない、焦れば焦るほど、やりたくてもできない、空回りすることの繰り返しだったんだけど、『デッドエンド』は”待つ”ことの大切さを改めて教えてくれる。これは『MAGIC』のモチーフと同じ。”ひたすら信じて待て”。

思えば、「努力しなければ何も得られない。努力すれば得ることができる。」という有難い星の下に生まれたらしい結果、自分の力でどうにかなることでなければ興味が出なくなっていた。だから、”待つ”という行為は、”何もしてない”のと同じことだった。けれど、時間がかかっても待った方がいい局面ってあるのだ。

行き止まりさえもひっくるめ
これこそ愛すべき我が道 

腹の底からこう言えるよう、繰り返し繰り返し考え抜きます。

B0055PDQOM C'mon(初回限定盤)(DVD付)
B'z
VERMILLION RECORDS 2011-07-27

by G-Tools

『be with!』vol.90 p37

今晩の『乾さんといっしょじゃない@奈良おんどり』は予想外と言えばあまりに予想外の驚きの展開を見せ、それはもちろん書きたいんだけどちょっとこの興奮のまま残しときたくて(笑)、長らく待ってたB'z partyの会報でちょっと感心したことがあったのでそれを。

地味にこういう対応を取るところが好きです。B'zはB'z Partyも含めて、ほんとにファンのあらゆることを常に全方位で考えてるなーと思います。

 

たまりません。泣けます。アリーナ行きたいです。

LOSTAGE "SHOWNEN"@奈良NEVERLAND 2011/07/03

いやよかった。ほんまよかった!それしかないわ。オレらもほんまそれしかない、それしかないよ!!

自主レーベル「THROAT RECORDS」設立記念イベントということで、アルバム『CONTEXT』にも参加してるメンバーがいるkacicaとRopesとの対バン。

6/24のpangea以来、ほんとに心配と楽しみが入り混じったままずーっとこの日を待ちわびてて、7/1の「楽園」はすごく良かったみたいな情報も目にしてどんどん期待は高まってて、18:00の開場に間に合うよう、いそいそとLOSTAGEティーシャツ着て出動。

いつものように新大宮から歩いて佐保川沿いを歩いて、NEVERLANDの裏側から正面に行こうとしたら、裏口からギター爪弾きながら出てくる拓人さん発見。さすがに「LOSTAGE」と書かれたティーシャツを着て目があってどうしてええのかわからへん。視線を泳がせながら正面へ。

チケットは30番台で難なく入場。スタッフの向井さんが今日はいらっしゃらないということで、お名前お伺いしてた長友さんとあいさつ。NEVERLANDのスタッフの方はみんないい人です。自主レーベル立ち上げ記念ってことで缶バッジの特典あり。入場して即CD買いに。この超ニワトリ押しの『CONTEXT』、確か伊藤若冲観て心揺さぶられて…みたいなことなんかで見たようなないような。

まずkacica。名前はちょくちょく見てたんですが初めて見る機会を得ました。プログレ?思いっきりラウドな音に神秘的なタイプの女性ボーカル。僕はツインドラム、トリプルドラムになってたときの曲がいいなと思いました。曲がもう少し短いほうが好みかも。

二番手Ropes。アチコさんはもとより、やはりトディが巧い!巧すぎる!!途中のMCで「楽屋で喧嘩みたいになって」って話をあっけらかんとしてたのが印象的。「喉はいいよ」って笑かす(笑)。

そしてLOSTAGE!Ropesが「今日のLOSTAGEは凄いよ。あんなLOSTAGE見たことない」って繰り返し言ってたんだけど、僕はどうしても6/24の衝撃が大きくって、ほんとに凄いんかなあと思ってたんだけど、凄かった!!『CONTEXT』発売記念でもあるので最初から新曲ばかりで押してきて、途中のMCで

「みんな乗りにくいやろ。乗りにくいはずや。新曲やからな。初めて聴く曲のはずやから。いかなる手段をもってしても。」

なんて言ってみたり。そして

「出たなー。いやーよかった。ほんま。それだけやわ、ほんま。」

と反芻したかと思ったら、

「(拓人さんを指して)オマエとか、岩城さんとか、どうおもてんの?」

なんていつもみたいに聞いてみたり(笑)。

僕はとにかく一切何も知らない真っ新の状態でライブで初めて聴きたかったので、「楽園」のPVも観ず、アジカンのコンピも買わず、ひたすらネバーランドを待ったんですが、その回十分ありました。「言う」とかいきなりノレるしね。拓人さんの音はもちろん轟音だし兄さんのシャウトは絶叫気味だし岩城さんは普通の顔はあんな温和で脱力系なくらいなのに相変わらずドラミングは般若かと思うくらいの暴れっぷり、なんだけど、なんだろう、あの妙に漂った安心感。のほほんとしてるというのとはまた違う…地に足が着いているというのともちょっと違う…6/24の反動でそう感じてるだけなんかも知れないけど、とりあえずは自信を持って、やっていける、という充実感に満ちた安心感みたいのがあって、緊張感ありつつリラックスしてて凄かったです。会場も凄く盛り上がってた。

「NEVERLAND」、聴いてるだけで違う場所に行けそうなくらいいい曲だった。聴いてすぐ覚えた。違う場所に行けそうなんだけどこの曲はNEVERLANDの曲なんだよね。ここにいるだけで。泣きそうになるんだけどそれもまたちょっと違う。うまく言えないけど。この曲んときだったと思うけど、あ、違うな、「楽園」のときかな、Bメロの「ダダダッ ダダダッ」ってときだ、アチコさんに煽られてめっちゃ笑顔で笑って笑って激烈ドラミングする岩城さんがほんとに頼もしく見えました(笑)。

アンコールで「Routine」と「SURRENDER」聴けたのは嬉しかった!トディ参加で。「だいぶわすれとったなあ」という兄の言葉は予測可能(笑)。ほんとに楽し気で、こっちは楽しくて、ますますこれから楽しみになるなあーと思えるライブ。でも、ライブの合間に、スタッフの長友さんに「今回は祭だし、集客多かったですか?」と聞いたら、「目標ギリ、ってとこですね」と言ってたのがなんか正直で奈良っぽくてめっちゃおかしかった。ほのぼの。

最後に一言、NEVERLANDなんてあんないい曲を書いておきながら、「緊張の糸が切れました。もうできません」って、何言ってんだ兄!あんなすばらしい曲書いといて。ああいう曲を好きと言うと、「ウレセンに毒されてる」みたいなことを言う人がすぐいるけど、そんなことじゃない。あの曲にかけた魂ってのが絶対ある。まだまだいける。いってほしい。

LOSTAGE "Kill Surf City vol.3"@心斎橋Live House Pangea 2011/06/24

ビワイチのレポート、早くエントリしたいんだけど一週間経っちゃって、その一週間の間にまた新たな事件が。

 

6/24、心斎橋Pangeaに行ってきました。お目当てはLOSTAGE。ツイッタで見ると前日の横須賀かぼちゃ屋は五味兄さんがハイテンションだったりダイブしたり『手紙』大合唱したりとか、そうとう盛り上がったらしく、めちゃめちゃ期待して行きました。こないだ買ったLOSTAGEティーシャツ着てくかどうか相当悩んだ末、主催がLOSTAGEではなくThe Yasuno N°5 Groupだし、会場もたぶん、僕みたいなオッサンは未経験なくらいちっさいとこなんだろうし、持っていくけど着るの止めとこう、と思って会場入ったら予想以上のちいささ加減ファミリーフレンドリーな雰囲気で、嗚呼良かったそこまで気合入れなくて、と思ったりしてたんですけど、いざLOSTAGE始まったらそんなことあまりにささいってくらい大変なもの見てしまいました。

演奏開始前、やたらと首やら頬やらパンパン叩いてる五味兄さん見て、「前日横須賀でやって、夜移動してきて、プレス用の写真選別とかして、吉川尚弘さんの取材受けたりとか、やっぱ過密スケジュールで疲れてるんだろうなー」と少し心配に。ちょっと目が腫れてるのは飲んでるのか?とか思ったんですが、1曲目始まったら飛ばしてったので「おお。やっぱやるなあ。」と思ってたら。

残り2曲くらいの時間を残したMCで、五味兄さん:

「なんだこの空気は。」

「なにか言いたいことがあるのか。」

おいおい。なんだその不穏な空気づくりは?

「おまえか何か言いたいことがあるのは。」と拓人さんに振るも、「オレはない。」とすげない答え。

「最近は、こういう躁鬱激しい状態で…」

おいおい。昨日は偉い盛り上がったらしいじゃんよ。なんで今日こうなるよ?

五味兄さんは結局、拓人さんの「言いたいことがあるなら、そのまま言えばいいと思う。」という助け舟に乗ることができず、言いかけたことを言いきれず、「今日はもうできません」とベースを置きそうになり、拓人さんに「わかった。言えへんやったら無理にゆわんでもええ。けど、今日こんなに来てくれたお客さんを前にして、やめるはあかん。ちゃんとやれ。」と叱られ、1曲削って最後の一曲をやって、へたり込みました。

音源流出事件があって、だいじょうぶなんかなと思ってて、かぼちゃ屋は盛り上がったので大丈夫かなと思ってたらこの顛末。ほんとにいろいろ思うことはあるのですが、

  • 23日大丈夫で24日あかんくなったというのは、この間に、音源流出に関して何か新しいことが分かったということなんだろうか?それがいちばんの心配。
  • お客さんを前にしてパフォーマンスを飛ばすというのは、やっぱりあってはならないことだと思う。コンディション調整不足だけでもどうかと思うのに、目の前のことをきちんとできないようでは、どんな音楽がいいとか言う以前の問題だと思う。これは、「仕事」をする人間として思う。理不尽なこと言ってるお客さんがいるなら別だけど、僕らはチケット買ってパフォーマンス見にきてるだけだ。
  • もうひとつ、自分達が主催じゃないんだから、主催のバンドに対しても迷惑をかけたんじゃないかと思う。
  • その上で、たぶん、この原因は音源流出だと思うんだけど、そうだとして、やっぱりかなりのショックを受けるんだろうなあと改めて実感した。拓人さんもちょっと涙声だったし。
  • ましてや今回は自主製作で頑張ってきはった訳だし。
  • ITの側にいてる人間としては、デジタルと複製のメリット・デメリットというのはいつも考える問題で、技術的には極力これを防ぐ方法というのはいくらでもあるけれど、これを防ぐ方法というのは取りも直さずユーザの利便性を損なう方向に行くので、一般的にはあまり広まらない。ましてそれほどITに詳しくなる必要もないアーティストがそこまで技術的に武装することも考えにくい。テクニカルにはこれを解決していく道筋は、普段からユーザがある一定の不便さを受けて入れていく(=常にセキュリティが意識される)ようにするしかないけど、それは望めない。
  • とにかく僕たちファンは、『CONTEXT』をきちんと買うしかない。そして、6曲のミニアルバムなのに¥1,680もすることに対して、よくない作品だったら、「なんじゃこりゃ!金返せ!」というだけの勇気を持っていたい。

という訳で、僕は7/3の奈良NEVERLANDで『CONTEXT』をフライングゲットします!

インディーといえばリバティーン

オレはフダツキだけど、ヒモツキにはならないぜ!!(逆)

 

こないだ、「やっぱインディーだな。スポンサーやタニマチつきは信用ならねえ」みたいなツイートをして、そのとき「インディーと言えばリバティーンズだよな」とふと過り、久し振りに聴いてみようと思ったらCDがない。iTunesにも取りこんでない。ということで、CD買おうと思って

amazonで探してみたものの、せっかくなので奈良にあるRecord Shop Djangoさんにツイッターでストックを尋ねてみました。残念ながらないとのことだったので、amazonで買っちゃうかなーと迷い中。

さてThe Libertines。改めて調べてみたら、「インディー・ロック」ってのは、けして自主独立でやってるバンド、というのではないことがわかる。ブラーだってオエイシスだって「インディー・ロック」に分類されてる。要は、「インディー・ロック」てのは、その時の流行や音楽的主流等に関わらず、自分達の音楽を貫いている姿勢のロックのことを「インディー・ロック」という訳で、清貧の思想を至上のものとしてる訳じゃない。自分たちのやりたいことを貫いて、それが広く受け入れられて成功したならそれでよい。

自分達のやりたいことを貫く、というのは容易ならざることなのは言うまでもなくて、まずそれでも食っていかなければならない以上、おのずとその足取りはindependentでなければならない。自分達のやりたいことをやるために、スポンサーやタニマチを得るというやり方は、independentではないし、どこかで自分達のやりたいことを貫けていない。それに自覚的であるかどうかは別として。今、僕は会社員として職を得ているからそんな上から見た言い方ができるけれど、もし、今この職を突然リストラで解かれたら、やりたいことを貫くどころの騒ぎではなくなってしまう。そういう状態に陥ったとしても、今自分が考えているようなスタンスを、生きるために食っていくために断腸の思いで曲げることがあったとしても、どう考えをおさめるべきか考えに考え抜いていけるかどうか、それが自分の値打ちを決めていくような気がする。だから、やっぱり「インディー・ロック」のアティチュードに惹かれてしまうのだ。スポンサーやタニマチやヒモツキは、どこまでいっても信用ならない。信用してるフリは、大人だからできるけどね。気づかれない自信も、あるけどね。

B000XJ5U5S Libertines
Libertines
Rough Trade Us 2005-01-25

by G-Tools

吉井和哉 Flowers & Powerlight Tour 2011@グランキューブ大阪 2011/05/13

まさに大人、貫録のライブでした!!
(ネタばれありありです) 

何が「大人」なのか、何が「貫禄」なのか。一言で言うと、「全編通して全力でなくても、ここという要所を押さえることですばらしい仕事をすることができる。それがベテランというものだ」ということになるかな。ほとんどのアーティストがたぶんそうだと思うけど、吉井ももちろん、ライブの後半に東日本大震災についてMCで触れた。そのMCまで、ほとんどMCらしいMCはなくて、オープニング数曲後のMCでは「純粋に音楽を楽しんでいってください」と言ったり。

ライブは、新譜『The Apples』を中心に、どちらかと言うと淡々と、確かに純粋に音楽を楽しむペースで進む。いつものような、茶化すカンジのMCもなし。確かに純粋に音楽を楽しんでるライブだけど、ほんとにどちらかと言うと淡々と進んでるカンジ。

でもそれを、たった一曲で変えてしまう、持っていってしまうところが、さすが。まさに大人、まさに貫禄。それは、『LOVE&PEACE』の前のMCで、東日本大震災について触れたところ。

東京で暮らしてて地震に遭って不便な生活を強いられて、ここ関西でも阪神大震災があったけど、あの時、親身になって考えられてなかったなと反省しています

『LOVE&PEACE』という曲は地震の前に創ったんだけど、ほんとうに平和で幸せな毎日を過ごせていられている、それに感謝しているけれど、このままずっといられるかな、いれるといいな、もしかしたらいられないかのかも?そんな思いを抱きながら創った

みんなのエネルギーをもらって、必ず今年中に東北でライブをやってきたいと思います

ほんとに悪ふざけなしでした。ちょっと悪ふざけようとする関西のオーディエンスを、うまくあしらいいなして、このMC。そして、『LOVE&PEACE』。『LOVE&PEACE』は素晴らしかった。この日は(というか思い返してみれば最近の吉井のライブは毎回そんな気がする)出だしちょっと声が出てないのかと思うようなとこがあったんだけど、『LOVE&PEACE』は素晴らしかった。『LOVE&PEACE』を書いたときの吉井の思い、地震が起きその影響を受けたときの吉井の思い、そして地震後に『LOVE&PEACE』を思い返したときの吉井の思い、そういう時間軸が全部眼前に立ち上るかのような、そんなパフォーマンスだった。

という訳で、ほんとに『LOVE&PEACE』だけでもこのライブを観る値打ち十分、という、抑えるとこを抑えた大人の仕事っぷりでした。感服。

その他箇条書き:

  • 次点は『ONE DAY』。
  • 『バラ色の日々』がまた聴けるとは。イエモンの曲のなかでいちばん好き。
  • 前日、前代未聞の「メンバー紹介忘れ」をやらかしたそうで、代わりに今日は二回メンバー紹介をやります!と言って、メンバー紹介した後、ほんとに続けて二週した。
  • しかも、そのメンバー紹介の際、バーニーが、両手に耳をあててオーディエンスを煽るパフォーマンスをしたら、吉井が「オマエ、古っ!!」と爆笑し、それ以降、ことあるごとに耳に手をあてて「バーーーーニィ!!」と振ることに((笑)
  • 『ビルマニア』、ボーカルが始まるまで「やっぱ金曜やしWeekenderやんなー」と本気で思った。

『The Apples』/吉井和哉

平々凡々選んでも運命の指令はドSです
何かしら起きては治まって自分との戦いであります 

『VS』/吉井和哉

相変わらずエロい。そして、相変わらず愚直。楽勝楽勝、ではアルバム創らないのね、この人、やっぱり。

B004IRQBOA The Apples (初回限定盤)(DVD付)
吉井和哉
EMIミュージックジャパン 2011-04-13

by G-Tools

「ほとんどすべての楽器を吉井自身が演奏」と前知識があったので、『at the Black Hole』みたいに、吉井の陰鬱なフィーリングはどっぷりだけどグルーヴというかビートというかノリというか、そういうのは二の次になっちゃうのかなーやっぱり、と心配してた。やっぱり、Dragon Head Miracle Tourのときのジョシュ・フリーズは忘れられないし、それぞれのパートはそれぞれのパートの専門のスキルのほうが、バンドサウンドとして好みのものが出てきそうな気がするし。『VOLT』はそういう重厚感満載だったし。

で、聴いてみたら、確かに一度目は『LOVE & PEACE』がぐわっと前面にくるカンジだったんだけど、二度目からはそれぞれどの楽曲も前に出てくる。それと今回は歌詞がかなり書き込まれているというか、「このくらいの言葉遊びでいいだろう」的なのがない。どれもなんかちゃんと言おうとしてる。それが嬉しい。いちばん最初に耳にグッと来たのは『HIGH & LOW』。でもって、最初に引用した『VS』。『VS』の歌詞は年食った人間の味がめいっぱい出てる。

同じように歳喰った人間の味がめいっぱい出てて好きなのが『CHAO CHAO』。ちょっといつもの言葉遊びで埋めてるところもありつつ、どこまでも果てしなく目指していかなければいけない人生のタフさにめげそうになったとき、気力をくれるようなことを歌い上げてくれるカンジがいい。

the pillows HORN AGAIN TOUR@Zepp Osaka 2011/4/16

燃え尽きました!「”音楽”ってものを見せてやるぜ」という、ピロウズの魂がビリビリくる熱いライブでした。

(ネタバレありありです)

当日になってやっと発券したチケットは整理番号Dだったので、18時過ぎにZeppへ。物販に並んでみたものの、寒い寒い!風吹きすさぶ、南港の寒いこと寒いこと!おまけに列は全然進まない!買う人がもたついてるのか、スタッフがもたついてるのか…18:20にはなんと「AからDまですべて呼び出し完了しております~」のアナウンス。当日券出てるらしい、とか聞いたし、それって呼び出しかスムーズなのか、前売りが少ないのか!?と若干心配しつつ、会場にやっと入れたのは18:50。50分も物販並んだの初めてだよ、B'z以外で…。

さて会場は「これで当日券出てるの?」と僕は思いました、いつも通りに入ってたんじゃないかなあ。ぎりぎりに入ったものの、うまく隙間をついて、フロア後方の機材?エリアの真ん前、どセンターでさわおさんライン真正面に陣取りました。

セットリストは、BIGCATのときとずいぶん変わってた印象。でも見比べてみると、そうでもないような、いや結構変わってるような…。BIGCATのときは『サードアイ』と『RUNNERS HIGH』と『LAST DINOSAUR』があって、どれも好きな曲でZeppでも演るって思い込んでいってたんで、演らなくて「あれー?」ってカンジだったんだけど、その後半の盛り上がりはBIGCAT以上のものがあったと思う。BIGCATのとき、「大阪にはこの後Zepp Osaka 2daysでもう一度来るから、リクエストを募集しようと思う」って言ってた「懐かしの名曲リクエスト」をほんとにやって、選ばれたのが『Nowhere』!僕はまったく予想もしてませんでした。この『Nowhere』からの畳み掛け方はハンパじゃなかった。まったく息を継ぐところがないカンジ?そして『LITTLE BUSTERS』!煽るだけ煽って、もう一回『Doggie Howl』で畳む!!病み上がりのオッサンにはキツいです(笑)。

たぶん、初めて正対してさわおさんのアクトを観たんですが(笑)、ライブを見始めた頃よりも、ここ最近どんどんソリッドになってる印象があります。ソリッドってのは尖がってるって意味じゃなくて、ものすごい真剣って意味で。ちょっと前は、「オレ天才だから、こんなくらい余裕で出来んだよ~ちょっと遊び持たせてさ~」みたいな空気をちょっとまとって、めいっぱいではやらないような(やってるんだけど)、そんなカンジを受けることがあったんだけど、今は、もちろんシャカリキにならないといいものが出せないという訳じゃぜんぜんないんだけど、ものすごい真剣に歌詞のいっこいっこも放ってくるカンジがあります。

ダブルアンコールは、ツイッタなんかでちょっと見ちゃっててなんとなく『No Surrender』が来ることは判ってたんだけど、判ってたんだけどあのカッコいいド真面目なMCと重ねられた日にゃあ、やっぱちょっと泣けますね。「5,6,7,8!」と叫んだあと、オッサンはちょっと心臓に不安を覚えたくらい、全力で楽しめたいいライブでした!

セットリスト(頂きものです)

01.Limp tomorrow
02.Give me up!
03.Hello,Welcome to Bubbletown's Happy Zoo(instant show)
04.YOUR ORDER
05.Biography
06.Purple Apple
07.Moon is mine
08.Sad Fad Love
09.Nobody Knows What Blooms
10.Comic Sonic
11.オレンジ・フィルム・ガーデン
12.Lily, my sun
13.EMERALD CITY
14.Nowhere
15.Brillinat Crown
16.Sweet Baggy Days
17.Movement
18.その未来は今
19.LITTLE BUSTERS
20.Doggie Howl
(encore-1)
21.TABASCO DISCO
22.HEART IS THERE
(encore-2) 23. No Surrender

目指すは次の世界 明日はもうここにはいない

鏡で自分ばっか 眺めて恨み節 うたうのはやめます
そして出てゆきます

(『さよなら傷だらけの日々よ』/B'z) 

もう何も言うことないです。力強いとかそんな一面的な言葉じゃ言い切れない。

B004OVDJ68 さよなら傷だらけの日々よ(初回限定盤)(DVD付)
B'z
VERMILLION RECORDS 2011-04-13

by G-Tools

この曲にはB'zファンにはおなじみの、稲葉の歌詞の2大要素が入ってる:

  • 自分を台無しにするのは、いつだって誰かのせいじゃなくて自分自身のせいだっていうこと。
  • 現状に満足するのではなくて常に次のステージを。そのとき、現状は捨ててしまおう。しがみつくのはやめよう。

ひとつめの「自分自身のせい」というのはこの辺に:

気づいてしまったよ ボクを傷つけたのは
このボクだったよ Baby そうさ So Sad

 (『さよなら傷だらけの日々よ』/B'z) 

ふたつめの「常に次のステージを。」というのはもう至るところに。「別れとは辛く 新しいものだろ」の一言なんかもそう。「初めの一歩は震えても」なんかもそう。そして、びっくりするのは「さよなら傷だらけの日々よ」という言葉が、「辛い過去から決別する」という印象を持たないこと。

普通、「さよなら傷だらけの日々よ」と言われると、「今までが相当辛く苦しい日々で、やっとそこから脱却できる、逃げ出せる、もうこんな生活嫌だ!だから新しい日々に行くんだ!」的な、逃走のような、そういう印象をまず受ける。僕も最初タイトルだけ知ったときはどんな展開にするんだろうと疑問だったけど、曲全体を聴いてみたら、「辛く苦しい日々から逃げ出す」みたいな印象はまるでない。むしろ、「いまこの場所でやるべきことは、もがきながらやりきった。だからここを出て行って、次の世界に行くんだ」という印象になる。一生懸命生きている人間にとっては、いつだって過去は「傷だらけの日々」のはず。その「傷だらけの日々」から、また新しい「傷だらけの日々」を過ごせる「次の世界」へ。果てしなく続く、挑戦の日々。

これが僕らB'zファンにとっておなじみの稲葉の歌詞のモチーフなんだけど、『さよなら傷だらけの日々よ』は、ラストに微妙に今までと香りの違う言葉が添えられる。「ありがと 悔いだらけの日々よ 今ならば言える」と前置きした後で:

人はたやすく変わらぬけど
いつの日か本当に戻るべき場所を知る

(『さよなら傷だらけの日々よ』/B'z) 

「いつの日か本当に戻るべき場所を知る」ここは結構、重要かなあと思う。「戻る」。すぐに連想できるのは『HOME』のモチーフだけど、もちろんあれだけじゃないと思う。