独走会 - 2016/02/12 興福寺

こんな晴れた日は休んで、門を潜ろう。

という訳ではなくて、代休だったので、合間の時間にライトに走ってみたのでした。ライトに走ろうと思い立って、行先を世界遺産から選べるという日常の幸せ。

ほんとにライトというに相応しく、まずはご近所のトリカヂイッパイで全部のせ塩をささっと頂き、

いつものルートで奈良に出てフロレスタで限定モノとネイチャーをバランスよく買い、

興福寺南円堂に参拝して御朱印頂いて元来た道を引き返しました。

ときたま強風もあったけど、天気はこの上なく、陽気のせいか足もすこぶる好調で、気持ちよかったの一言でした。こんなライドができる日々が永遠に続いたらそれだけで幸せでしょう。

限定モノ、大和茶。すこーし、ほんとにすこーしビターな口当たりなのが美味しいです。


『超・反知性主義入門』/小田嶋隆

超弩級におもしろい。どこをとってもおもしろい。国政選挙のある今年、読んでおいて絶対に損ないです。
日経ビジネスonlineに連載されている『ア・ピース・オブ・警句』の2013/11/1~2015/4/10分と、著者の小学校~高校の同級生である森本あんり国際基督教大学副学長との対談の収録本。『ア・ピース・オブ・警句』は毎回とんでもなくおもしろくて、こんなおもしろいコラム、世の中で読んでいない人いるのかと思うくらいおもしろい。なのでそれを取りまとめた本著も当然のごとくおもしろいです。

本著を読んで一貫して、かつ改めて思うのは、「もし自分がその立場だったらどう思うのか?同じことを言うのか?」という姿勢というのが、いつから日本ではこんなに希薄になってしまったのだろう?ということ。いつから、そのときの自分の置かれた立ち位置で物を言って構わない、立場が変わってしまえばそのときの立場に合わせて、かつてと真逆のことを言っても構わない、というのが当然という風潮になってしまったのだろう?日本は美しい国らしい。だから日本に生まれた僕らは幸せだ。だけど、日本に生まれられなかった人たちはもちろんそれこそゴマンといる。そういう人たちに向かって、「オマエは日本に生まれられなかったら不幸だね」と、どうして言えるのか。そして、アメリカか中国かイギリスか韓国かフランスかわからないけれど、他国の人から「オマエはウチの国じゃなくって、日本なんかに生まれて不幸だね」と言われたら、それに対してどう反論するのだろう。なんでこの双方向性が判らないのだろう。この双方向性があるのに、日本という国は成り立ちからして特別なのだ、と心から思っている会議の方々はどういうことなんだろう。

p148「人権はフルスペックで当たり前」で、世耕弘成自民党参議院議員が「フルスペックの人権」という言葉を、生活保護給付に関する文脈で使用した事件(だろうこれは)について触れていて、要約すると、生産に寄与するところの少ない障害者や、生活保護給付を受ける者は、「フルスペックの人権を認められるべきではない」というもの。こういう人々は、いったん自分が何かの事故や大病で不自由になったとき、自分のフルスペックの人権の一部を申し訳ございません社会にご迷惑をおかけしましてと差し出すのだろうか?これまでの見聞経験上、おそらくそうではない。立場が変わると、突然意見を変えるのだ。「障害者にもフルスペックの人権を」。

確かに、相手のことを考えて行動することで、痛い目に遭うことの多い時代を生きてきたと思う、我々は。けれどそれはたいていにおいて政治が相手の出来事だった。増税や年金負担増や健康保険負担増がその最たるものだ。だから、総論ではわかるけれども、自分の都合を押し通す、というのが日本国民のコンセンサスになっていった気がする、特にこの失われた20年の間に。そのトップランナーの高齢者は、低所得年金年金受給者に3万円配布するという政策を、待機児童問題が一向に解消せずそこに予算が付かず未来が失われると言われている中でのうのうとおめおめとありがたく頂戴しようとする。そういう高齢者を敬えと言っている社会が美しくなる道理はない。

今の自分がなぜ今の自分の状態でいられるのか、それを考えられない人間は安全地帯から人を操作しようとする。p232「彼らは、撤退しないからこそ、エリートになった人々でもある」。アメリカの大統領選は、政治エリートに対する不信感が飽和点に達しつつあることが、トランプのような支離滅裂な候補を支持率トップに押し上げると聞いたが、日本ではエリートによって維持されたままの格差に苦しむ層がなぜかエリートを支持するという現象が起こっているように見える。日本は、自分ではどうしようもない規模の出来事に対しては、目先を変えてその憂さを晴らす方向に走ってしまうように見える。
 
4822279286 超・反知性主義入門
小田嶋 隆
日経BP社 2015-09-15

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街のサテンで豆を買う 2016/02/10 LiLo COFFEE ROASTERS

有名どころロースター巡り第2弾!おっさんは雰囲気に気圧されて、お店の写真を撮るのをすっかり忘れたのでした。

本町近辺を対象にデカフェを扱っているロースターを検索しますと、いちばん最初に出てきたのがこのLiLo COFFEE ROASTERSでした。心斎橋かあ!おっさんには敷居が高すぎる・・・見つけたときは思わず素通りしそうになりましたが、ここはデカフェのため、勇気一番入店したのでした。

店員さんは落ち着いて丁寧でかつ過剰な接客もなく、とても気持ちよかったです。雰囲気に舞い上がってメニューの見どころが判らず、100gから行けますか?と訊いたのに対して、はい、大丈夫です、と答えてくれたあと、50gから行けますけど、と補足して説明してくれました。値段のことは何も調べずに買いに行ったので、場所が場所だし結構いい値段つけてるんじゃないかなーと漠然と思ってたら¥350/100gで、これはかなり良心的価格ではないでしょうか。

豆を入れてくれる袋、袋につけてくれるラベル、手提げ袋、すべてスタイルが整えられていてさすが心斎橋のお店です。豆を入れる袋はジップ式になってたりします。コーヒーを愉しむというのは、自分がリラックスできてエンジョイできるかが大事なので、こういうスタイルに目を向けることも大事だなあと感じます。無骨な量り売りスタイルもまたよし、小物もひっくるめて神経を行き届かせるのもまたよし。

LiLoのデカフェはコロンビア産でした。味は雑味ゼロですごく透明な感覚を味わえます。だけれどもコクがビシッとあります。デカフェというとコーヒーっぽくない、ということがかつては当たり前だったのかもしれませんが私が試し始めた頃からは全然そんなことは感じたことがなく、そんなデカフェの中でもかなり苦味・コクの存在感を通常のコーヒー同様に感じれる豆でした。デカフェにマイルドさを求めない私のようなタイプにとって魅力いっぱいの豆でした。


LiLo COFFE ROASTERS 大阪市中央区西心斎橋1-10-28 心斎橋Mビル1階

『物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活』/編=John Baichtal・訳=野中モモ

つながりっぱなしの日常を生きる』の訳者が手掛けられた新刊、とてもエキサイティングでした!

いつもアクセスの全然ないこのブログが桁違いのアクセスログを残したことがあって、Google Analyticsを追いかけてみたら『つながりっぱなしの日常を生きる』のエントリにアクセスが多数あったことがわかり、更に解析してみたら、なんと!訳者の野中モモ氏がご自身のツイッターで取り上げてくださってそこから多数のアクセスに繋がってたことが分かりました。それは『暇と退屈の倫理学』以来の出来事で、ウェブってつくづく面白いなあと思う出来事でした。それから数か月後、Raspberry Piを買って、何を作ろうか何が作れるか参考にしようとジュンク堂書店難波店に行ってメイカー系の書籍集まる棚を何気に眺めてたら、O'REILLYの新刊案内冊子に「野中モモ」の文字が!そのときは確か「11月下旬発売予定」と書かれていた気がするんだけど、来る日も来る日もGoogleで検索したりamazonで検索したりしても一向に現れず、いつ出るのかなあと思ってたらamazonからrecommendationが届き、「来た!」と速攻注文したのでした。マシンラーニング偉大。

もう2,3年前のことになるんでしょうか、3Dプリンタが普及価格帯に入りだし、誰でも個人でモノづくりできる時代が到来する!とかなんとか「ほらほらまた出たよそのパターン」と、IT業界に身を置く立場としては飽き飽きしている言説が流布され”メイカー”という言葉が持てはやされて、それから数年、案の定誰でもモノづくりするような状況にはなってないじゃないか、メイカーとか例によってバズワードじゃん、と白けてたんですが、本著を読むと「メイカー」というムーブメントは「誰でもモノづくりできる」というのが本質じゃなく、アメリカでは確かに今もメイカームーブメントが進行中であることがとてもよくわかります。その本質は「誰でも」という粗いものではなくて、「モノづくりをしたいと思った個人が、個人でその事業を立ち上げるためのハードルが、技術革新によって著しく下がった」ということです。サプライチェーンの話なんかそれが特によくわかります。気楽に始められる、ということではなくて、真剣に勝負しようと思っている個人が、個人のままで戦える、それがメイカームーブメントの本質ということじゃないかなあと思いました。

本著の出色なのは、日本のメイカーのインタビューも6件収められていることです。DMM.makeの動静なんかも読み取ることができて、日本のメイカームーブメントの現状と先駆者の考えを読めるのは素晴らしいことと思います。メイカームーブメントに興味はなくても、働き方生き方を考えるのにたくさんの刺激と知識を与えてくれる良書だと思います。オススメです。

487311747X 物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活 (Make:Japan Books)
John Baichtal
オライリージャパン 2015-12-26

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街の本屋で本を買う - 2015/01/25 リブロウィング新橋店『日経ビジネス2016.01.25 活力ある都市ランキング』/日経BP社

市のCMづくりに参加した身としては、こういう都市ランキングの順位に敏感になるのです!

折からの大寒波で新幹線が遅れに遅れ、東京着が110分強遅れ。それって2時間やん、そんなもんラーメンでも食わなやってられへんわ、と何でも言い訳にして新橋駅からそれほど遠くないところで探して直久という駅直結型ショッピングモール内に店舗を構えられるくらいメジャーなラーメン屋さんに入り、ラーメン屋さんなので食べ終わった後だらだら時間つぶしてる訳にもいかずさっと出てきて待ち合わせまで20分という非常に中途半端な時間が余りさてどうしようとウィング新橋内をうろうろしてたらリブロを見つけたのでした。

程なく目に飛び込んできた『活力ある都市ランキング』。思わず飛びつきページを捲りました。なかなか生駒が見つけられず、「香芝より下!?」とか思ってたら(香芝市に失礼)、生駒はこういったランキングではいつも定位置の奈良1位の座を守る全国49位でした。やっぱり自分の住んでいる都市が活力に溢れ魅力が高まり活気づいてほしいと思うし、住民としてそういう気持ちはいつも持っていたい。しかし、これを実現していくプロセスは自分のような一般住民にはなかなかよくわからないし、短絡的なことも思ってしまうだろうし、CM制作に関わった後、更に市の活力を高めるような活動ってどんなことが考えられるだろう?と思索を巡らせる刺激になった一冊でした。

リブロウィング高輪店  東京都港区新橋2丁目 東口地下街1号 ウイング新橋

独走会・街のパン屋でパンを買う - 2016/01/17 Le Bage

パン屋さんじゃなくてベーグル屋さん。評判よく聞くので食べてみたかったLe Bageに念願叶ってようやく行けました。

ウチからLe Bageまでは2km弱。半径5kmのお使いってロードバイクあると格段にラクで、生駒みたいな、いいお店が結構あちこちに点在していて、スーパーなんかも5km圏内にいくつかある、みたいな郊外都市ではすごく便利なツールです。

お店はかわいらしい色合いのグリーン基調で遠目にも入りやすそうなに思えます。

サイト見て、季節限定の安納芋が出ているのは知っていたので安納芋と、その場で吟味しながらプレーン、エブリシング、ダブルチーズ、イチジクを買いました。そばに添えてあったドリップコーヒーにデカフェがあったので手に取ったらイレブンのでした。原産メキシコと書かれてたので、ウェブでメキシコ産のデカフェが手に入りにくいので別のに変える、というポストを読んだけど、今はメキシコ産に戻せたのかな?とか思いつつこれも買いました。

ベーグルは噂に違わぬうまさでした!安納芋、ダブルチーズ、イチジクは、ベーグルの中にそれぞれ入ってるんですよ!イチジクならイチジクジャムが。チーズならチーズが。安納芋なら安納芋が。生地に練りこんでるのではなくて、実際に入ってる。こんなふうに。

これはおいしいです。ハマります。もうこれ以上近所にお気に入りができると困るんですが・・・嬉しい悩みです(笑)

BAGLE SHOP Le Bage  奈良県生駒市西菜畑町1473-4-1

街のサテンで豆を買う 2016/01/14 グリーンズコーヒーロースター

なかなか神戸に出ることはありませんので、少し検索してみましたらデカフェを取り扱っているお店を見つけられたので寄ってきました。

昨年11月で10周年を迎えられた老舗ということで、敷居高い雰囲気かなとちょっと腰が引けてましたが、反対にちゃんと店員さんが複数名いらっしゃる、きっちりしっかりしたショップでした。今までロースターっていうと個人経営されているところばかり行ったり行先候補として上がったりで、店員さんが複数いらっしゃるところは初めてな気が。

目当てのデカフェは3種類、モトマチブレンド・グリーンズブレンド・モトコーブレンドで、順に中煎り・中深煎り・深煎りでした。モトマチブレンドがいちばんマイルドということで、そちらにしてみました。これまで飲んでいたタリーズのデカフェも喫茶イレブンのデカフェもシングルオリジンなので(というか初心者なのでシングルオリジンのほうが味を覚えていきやすいかなと思ってそういうのを選んでる)、初ブレンドデカフェでした。デカフェでマイルドだとどうなんだろう?と思いましたが甘味を感じることのできるバランスよい味で、デカフェを求められる方は妊婦さんとか乳児のお母さんが多いと思うので、リラックスのために飲むデカフェはこういうのがいいなと思える味でした。

グリーンズコーヒーロースター 神戸市中央区元町通1丁目9-5

街のサテンで豆を買う 2016/01/11 喫茶イレブン

グアテマラSHB 200gと、カフェインレスグアテマラを30g。

ご近所の喫茶イレブンは11日が特売日。カフェインレスグアテマラがほとんどないとのことで、同じグアテマラで選ぶことに。たまたま特売豆もグアテマラだったので、他の2種類のグアテマラとの違い、甘味や渋みやクリア感やフレーバーの特徴なんかを簡単にレクチャーしてもらって、特売豆だったグアテマラSHBを貰いました。

「明日は特売日!いつもよりも特売日!」明日は11日、お正月あけて初めの特売日です。今回はお正月という事もありますので、いつもより安くなります!今回の特売豆はグアテマラSHB、銘柄やスペシャルティ豆ではなく一般的なグアテマラ豆の中でも...

Posted by 喫茶イレブン on 2016年1月9日

喫茶イレブンさんのfacebookページはいつもめっちゃ気合入ってて読んでいて楽しいです。仕事への熱意はいつも心を躍らせてくれます。今晩はカフェインレス淹れて、近々グアテマラSHB淹れて、テイストとフレーバーを忘れないうちに、スタンダード品のグアテマラ2種を買いに行きます。

ペーパードリップと雰囲気ばっちりの『物を作って生きるには』。以前読んだ『つながりっぱなしの日常を生きる』の訳者野中モモ氏の新刊(新訳?)です。やっとamazonから届いたので、読みかけのもろもろそっちのけで読みます!

487311747X 物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活 (Make:Japan Books)
John Baichtal
オライリージャパン 2015-12-26

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独走会 - 2016/01/11 走り初め 春日大社

愉しみは本人にしか判らない。何が苦しいのかが他人には判らないのと同じように。

だから、言わなきゃ判らないという人に限って、言っても判らない。これは僕が村上春樹作品を読み始めた頃から一貫してその作品から受け続けている影響。ロードバイクで20km弱の道のりを1時間弱かけて走っていって、春日大社にお参りしてお札・お守りに加え破魔矢と熊手を頂いて、破魔矢と熊手は手で持ってお帰りくださいということなので帰りは高々20kmの距離を輪行で帰る、なんて、ロードバイクに乗る人から見ても神社仏閣参拝が好きな人から見ても何やってんだろうと見えることだろう。だけど僕にとっては、限られた時間でも愉しもうとしているのだ。人のポイントが判らない人ほど、ストレスを感じさせる人はいない。例え、その人のメンタリティが真直ぐで前向きでポジティブなものであったとしても。それはまやかしに過ぎない。

そして、そして仮にそれが「愉しみ」のように見えたとしても、本人の感じていて「愉しみ」という言葉で表したい「愉しみ」と、周りがそれを「愉しそう」と見えて「愉しみ」という言葉で表したくなる「愉しみ」とは必ずしもぴったり合致する訳ではない。特にこのことが「周り」側に立ったとき理解できない者は、けして言っても判らない。そこに深い絶望があり、その絶望と向き合うためには独りで走るしか道はない。

前に走ったのも春日大社で一か月半ぶり。御朱印は過去の参拝を振り返れるのも良いところ。御朱印を書いてくださる方と一言二言会話ができると不思議と嬉しい。

独走会 - 2015/12/27 伊賀上野 via 163号

年を取ると、昔見た景色の見え方をどうしても確かめたくなる時が来る。それが例え不吉な景色だとしても。

年の瀬慌ただしい最後の日曜、行先に選んだのは伊賀上野というよりも国道163号線。2年前の春の早朝、大河原駅を少し超えたところでトラックのサイドミラーに頭を撥ねられて以来、163号を走ったことがない。津に行ったり伊勢に行ったり蒲郡に行ったりしているけれど、163号を使ったことはあれから一度もない。もちろん、何度か走った道なので、方角が同じでも違う道を走ってみたいという気持ちがいちばん大きいけれど、ロードバイクに乗り始めの頃に走った道なので、辛かった記憶が濃くて敬遠勝ちになるのと、やっぱり事故の記憶からなんとはなしに及び腰になっていたというのは否めないと思う。

その臆病な己に克つというほど大げさな意気込みからじゃなくて、なぜかこの日走れると分かった時から、163号で三重に出たいという衝動が強かった。あの、大河原から島ケ原にかけての波状攻撃の登り。その先に開ける、学生時代を過ごした伊賀盆地。退屈極まりないコースと判っているけれど、ロードバイクを乗り出したあの頃の自分と何かが変わっているのかを確かめられるのか。

自分のイメージでは木津川を並走するあたりからが163号を走っているという感じなんだけど、生駒から伊賀上野だと木津川並走までに全行程の1/3が終わってる感じで、メインイベントは結構終盤ということになる。休憩ポイントの笠置キャンプ場前のコンビニまでは可もなく不可もなくで走って来れたけれど、その先がペースが伸びず、こんなんじゃあもう俺100km走ることなんて一生できないんじゃないかなあという思いが沸いてくる。休憩の笠置28km地点を出たのが走り始めから1時間30分後くらいだったので、この先に登りが3段待ち受けるのに、到着は何時頃になるだろうと重い気分になってくる。けれど、いつか自分に言い聞かせた「この先、万全で走れる日などもうやってこない。だから、走れていることに感謝しろ」という言葉をまた自分に言い聞かせて、走る。

最後の島ケ原の登り、辛い、辛い、と頭の中で繰り返すけれど、心拍は150bpm前後で8%強を登るときのいつもの心拍に較べれば全然緩やかなほう、足も太ももも痛くないし、呼吸も乱れてない、辛いと思っているのは頭の中だけで、ゆっくりでも回し続けることのできるコンディションだとこれも自分に言い聞かせ、何も考えずに丹念に回す。

走っていた時は判らなかったけれど、4年前の自分のデータと較べてみると、平均移動速度で6km違うし、トータルの所要時間もまったく違う。休憩も笠置の一回だけで、あとは少しも止まることもなく走り切った。今の自分にとっては自然なことだけれど、改めて4年前の景色と照らし合わせることで気づけることがあったんだなと、そしてあの恐怖心も克服することができたかなと振り返りながら、帰りは電車を4回も乗り換える輪行で2時間かけて帰宅。上野市駅で30分電車を待ったので、自走しても同じくらいの時間に帰れたかもな、と思いながら。