街の本屋で本を買う - 2012/12/14 SORA Books 2ビル出発店

今年訪れた書店の中のナンバーワンかも。空港だけは、少し気取った雰囲気も似合う!

福岡空港第2ターミナル3階にある書店。朝、早く着き過ぎた地下鉄福岡空港駅で大きな大きな広告看板を見て、時間もあるしと足を運んでみました。

ターミナル2階から吹上を見上げると、SORA Booksが見えるのですが、その「空の上の書店」的な雰囲気に胸の中はちょっとどよめきます。エスカレーターで3階に上がると、右手に見えるカフェテリア「バンテルン」の奥に書店が広がっていて、足を踏み入れずにおれなくなります!

HINT INDEX BOOKでは、カフェ併設の書店なんて珍しくもなんともなくなったと書いたのですが、このSORA Booksはカフェ併設が魅力になってました。カフェではなくて、書店エリア内にも、コンセント付の座席が10席程度あって、ゆったり時間を過ごせる構成は満点です。
「カフェ」というものは、その空間があることで「落ち着いた時間を過ごす場所」というサインが発せられると思うけど、例えば東京駅など、あまり落ち着いた時間が流れないような場所にそういうものを作っても、ミスマッチというか。東京の人はあの時間の速さに慣れているのでオーケーなんでしょうけど、そうでない僕にとっては、「カフェ」があることで余計に落ち着かない空気を感じるのかも知れません。

一方、SORA Booksは空港という場所にある書店。今朝の僕のように、時間に余裕を持って到着するケースも多い場所で、そういう時間は、ぽっかりと空いた「余暇時間」。そういう時間を過ごしている空間に、カフェと書店が現れると、それだけでリフレッシュできます。

鞄にはもうすぐ読み終わる『ことり』が入っていたので、一泊出張の荷物が入った鞄をこれ以上膨らませ重くしたくなかったので本は買いませんでしたが、そうでなければ何冊も買っていたような、買う気にさせる書店でした。在り来たりなつくりのようで、導線に沿って動いたら、入ってほどなくの絶妙のタイミングで『世界の美しい空港』が目に止まるなど、ここはいい書店だと思います。 

街の本屋で本を買う - 2012/12/09 近鉄百貨店奈良店 K' BOOK CENTER

思い立ったが吉日。そんなときは割とすべてがうまく回る。

 昨晩、「最近、どうも記憶力が弱っている。ちょうど、小川洋子のあの話みたいに…」と、『博士の愛した数式』を思い返していたら、今朝の日経朝刊の書評で小川洋子の新刊の案内が。一読して即読みたくなった、初雪の朝。

 で、いきつけの自転車屋TRANSITに、今日はホイールを買うのでロードバイクではなくて電車で向かうその車中、「そう言えば、KIPSクーポン、入手できてなかったな」と思いだす。PiTaPaの支払カードのKIPSカードのポイントが溜まってるんだけど、KIPSクーポンの発券機が難波にあるとHPに書いてるけどどうしても見つけられずまだ発券できてなかった。ついでだから、西大寺まで行って発券して、近鉄百貨店で買ってしまおう。

 西大寺で駅員さんにクーポン発券機の場所聞いて(南改札のすぐ脇のサービス室?の中にあった)、溜まってたポイント分発券して、近鉄百貨店行って『ことり』購入。ちょっとしたきっかけはセレンディピティにもつながるので、侮ってはいけないし見逃してもいけない。

4022510226 ことり
小川 洋子
朝日新聞出版 2012-11-07

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初雪、フラットペダルで往馬大社

新兵器「プラットフォーマー」を買ったので、試走に、家から2km強ながら行ったことのなかった往馬大社まで走ってきました。

プラットフォーマーというのは、ロードバイク用のビンディングペダルをフラットペダルに変えるパーツで、SPEEDPLAYというビンディングペダル専用のものです。普通の靴でもビンディングペダルを踏めないことはないのですが、とりわけSPEEDPLAYはペダルが小さくて、少し長く乗ると足の裏が痛い。できたらバイクを日常使いもしたいな、と思ってるので、プラットフォーマーを買いました。で、今日はジーパンに普通のパーカーにスニーカー、という普段着で、行ったことのなかった往馬大社へ。

往馬大社は創立年代不明というほどのたいへん古い神社だそうで、大神神社と同じで山を御神体として祀る神社だそうです。その山とはもちろん生駒山。同じ「いこま」でも「生駒」だったり「往馬」だったり、表記が複数あるのが奈良の地名のおもしろいところ。表記の変遷とか調べるとおもしろい。 

 

鎮守の森は奈良県の天然記念物に指定されているそうです。社の麓のこの鎮守の森を見上げると、生駒が如何に宅地開発された元「山」の街なのかというのがわかります。

 

今日は初宮詣の日だったようで、たくさんのご家族が来られてました。そんな中、本殿の前で柏手打つのも気が引けたので、石段途中の賽銭箱にお賽銭をあげて、境内を後にしました。

 

プラットフォーマーは、不思議なもので、ビンディングシューズ履いているよりもよっぽど安全なはずなのに、いつもと違うというだけでなぜか不安定に、特に漕ぎ始めが不安定に感じたものの、普通のスニーカーで十分乗れる普通のフラットペダルに早変わり、でした。ウィンドブレーカーを着て帰りの2kmを走るだけで十分体が温まりました。初雪の降った奈良ですが、ポタリングは寒くても楽しめるいい遊びです。

 

プラットフォーマーとはこれです:

B004GGOI0C スピードプレイ プラットフォーマー ホワイト(ZERO用)
スピードプレイ

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『悟浄出立』from『文芸ブルータス』/万城目学

ちょっと芥川っぽいカンジ?『文芸ブルータス』、文芸好きにだけじゃなくて、あまり本を読まない人に対してもいいツカミの仕事してる。

文芸ブルータス』は11人の作家の作品が掲載されているので、一作一作感想書くのはこの本の魅力を伝えてることにならないけど、敢えてということで。

言わずもがなの『鹿男あをによし』の著者、万城目学の作品『悟浄出立』。西遊記の設定を仮借して、どんなに悟空に警告されてものこのこ妖怪に捉えられるという三蔵法師・八戒・悟浄をバカバカしく真面目にコミカルに描きながら、何事にも一歩引いて傍観者的であるのを分別と取り違えているような悟浄が、「出立」するに至る出来事を、漢語を交えながら「さも」それっぽく描く。この「さもそれっぽい」というのが文芸にとって何よりも大事で、SFなんかその極みだと思うけど、「アホらし」と思っててもそのそれっぽさにぐいぐい引き込まれて、その辺の先生に言われたら「アホくさ」と思ってしまうような「人生の訓示」を、「そうだ。そんなふうに生きなきゃならん」と思わされてしまうのが正に文学。正に文芸。

くどいようですが『文芸ブルータス』、お勧めです!

B00A7BI3TW BRUTUS (ブルータス) 2012年 12/15号 [雑誌]
マガジンハウス 2012-12-01

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街の本屋で本を買う - 2012/12/05 ジュンク堂 淀屋橋店

立ち読みは、普段あまり立ち寄らない棚に立ち寄るに限る。

ジュンク堂淀屋橋店は、京阪シティーモールの中にあります。フロア独占ではないので、他のエリアとの仕切りがあり、その仕切の外側も棚になっていて、雑誌等が並んでますが、そんなに時間もなかったので、外周の棚に沿って奥へ奥へ一頻り進んでみたのです。

途中はだいたいお決まりのトラベルブック棚だったんですが、隅の隅、よくカルチャー講座への申し込みとかそういうのが詰め込まれている棚のひと棚手前のところに、出版社PR誌の棚が。

たまたま手に取った講談社の『』、捲ってみたら二宮清純氏による梨田昌孝氏のインタビューが載ってて、これがめちゃくちゃ面白かった。「いてまえ打線」は実は監督の「転向」だったとか。転向に至る思考回路に唸る。

出版社のPR誌、滅法面白いです。

社内コネの弊害

仕事をする上で、自分の権限ではどうにもならない課題は当たり前のように出てくる。そう言った問題は、エスカレーションと言って上司に相談するのが通例。要は、より権限に持っている人に、対応をお願いする。

この時、自分が、社内の上層部とコネを持っているか、そのお客様が上層部とコネを持っていると、話も対応も早くなるというのはよくある話。何か具体的な仕事を通じて上層部とリレーションが取れているのなら問題ないが、飲み会等の「業務外」のコネでなんとかなることについてはよく考えないといけないと最近思う。

と言うのは、それで問題解決に繋がったとしても、それは、会社のキャパシティを増やした訳ではなく、誰かが使えたはずのリソースを、自分が単にぶんどっただけのことだから。ということは、会社全体での業績が向上するかどうかは、その融通を差配する上層部の判断にかかる。普通は、そういうエスカレーションを受け付けて特別対応するのは、より大規模な案件に限られると思うし、そうすることで会社全体の業績が向上する。けれど、よくわからない「コネ」で融通を聞かせるようなことが常態化していると、本来、別の、全うな案件に使われるべきリソースが、特別扱いするべきではない案件に使われてしまう。単に融通しているだけで、その分、どこかの誰かの売上が沈んでしまう。

その沈んだ誰かというのが、社内ルールと規律に則った、全うなアクティビティを行っているセールスパーソンだとしたら、早晩、そのセールスパーソンは会社に見切りをつけるだろう。たいていのセールスパーソンは、会社のレベルについていけずに辞めていく訳だけど、その中にこういう全うなセールスパーソンが全うな理由で退職するケースが紛れ込んでいて、上層部というのはなかなかそれに気づけないか、手を打てない。こうやって、悪貨が良貨を駆逐していく。

街の本屋で本を買う - 2012/12/04 『横道世之介』/吉田修一

ひょんなことでお知り合いになった方と新大宮で飲みましょうということで待ち合わてお会いする前に、ちょっとだけ本屋へ。啓林堂はお馴染みで、「街の本屋」という感じです。

前々から探し回っている丸谷才一の『エホバの顔を避けて』、やっぱりここでもない!『笹まくら』はあったのでそれにしようかと思ったものの、ここまで来たらもう意地、絶対一冊目は『エホバの顔を避けて』にする!!丸谷才一を探しながら初めて気づいたのですが、ここは文庫が作家順です。出版社では分けてません。棚数の少ない小規模書店は、このほうが絶対いいと思います。

で、何も買わずに出ようかな~と思ったところに目に止まったのが、単行本刊行時に読みそびれた吉田修一の『横道世之介』。吉田修一は『パーク・ライフ』以来読んでますので、この機に購入。「青春小説」って帯に書いてたけど、そうなん!?

4167665050 横道世之介 (文春文庫)
吉田 修一
文藝春秋 2012-11-09

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『文芸ブルータス』/有川浩、木内昇、舞城王太郎、いとうせいこう、朝井リョウ、伊坂幸太郎、西村賢太、鹿島田真希、堀江敏幸、絲山秋子、万城目学

「文芸」をテーマにコラボした雑誌はときどき出るけど、やっぱり売れてほしいのです!

たまたま東京駅ナカの本屋"HINT INDEX BOOK"で見つけて買ったのですが、ちょうど昨日が発売日だったんですね。yom yom、小説新潮、新潮、オール読物、enTAXI、文藝、群像、小説すばるの八誌に掲載され、単行本未刊行の11作家11作品が収録。紙も厚め、段組みも雰囲気で、本の体裁から「文芸」誌です。

掲載された小説だけでなく、対談や作家ガイド、文藝賞ガイドなんかも綺麗に纏まっていておもしろい。あまり本を読まない人がこれ一冊買って、「文芸」のおもしろさに目覚めることはないかも知れないけれど、「文芸」好きの人は是非ともこれを買って、「文芸」を再び盛り上げていく気概を、業界に伝えてほしいなと思いました。仮にこれが、「文芸」という芸術の高尚さを損ない、一般平均化してしまうことだとしても、それは、「文芸」を衰退させたとは言わないけれど「つまらないもの」にしてしまったとは言える権威主義から「文芸」を取り戻す一歩だから。

好きな作家だらけで、新幹線でどれから読もうかな~と迷った末、『阿修羅ガール』以来、破壊力の虜になっている舞城王太郎と、なんか読んでる間ずっと罵声を浴びせられているような辛辣さ加減の虜になっている絲山秋子の2編を読んだんですが、たまらんかったです。舞城の『私はあなたの瞳の林檎』は、中学生の恋愛小説に見せかけた内面と言語表現の齟齬と統一の話、そして絲山の『ニイタカヤマノボレ』は、これまたアスペルガーを持ち出してカムフラージュされた、世の中の本音と建前の狭間に震災をぶつけてきた辛辣なストーリー。文芸好きは、11作全部既読でも、その他の記事だけでも買って損ないです。

街の本屋で本を買う - 2012/12/01 HINT INDEX BOOK エキュート東京店

休日出勤研修の帰り、わずか5分の滞在で一冊購入。

HINT INDEX BOOKは東京駅ナカのカフェ併設型書店。もはやカフェ併設型の書店は珍しくもなんともなくなった感があります。ジュンク堂大阪本店がカフェ併設でオープンしたとき、オフィスが近くにあったので、便利!と思ったけど、結局カフェを使ったのは1回だけ。購入前の本を、カフェの持ち込んで読む、なんてこと、滅多にありません。高級専門書の一部を読みたい、ということはあるかも知れませんが、それなら「座り読み」で事足りる。カフェで読むならもう少しリラックスムードの本、というイメージだけど、そういうのは買うし。

という訳で、カフェ併設店のカフェは、カフェだけても魅力的なものにならないと存在価値がない、という認識が浸透しているのかいないのか、HINT INDEX BOOKのカフェは、期間代わりで、全国の有名自家焙煎店のコーヒーが飲めるのがウリだそうです。東京駅を普段使いしている人にとっては嬉しいお店。

昨日お店に入ったときは、入口にカレーのタテカンがあったのですが、「誰が本屋でカレー食いたい!?」と反射的に思ったのが正直なところ。本屋と何かの併設っていうのは、結局のところ、敷地運営者側の都合でしかなくて、ユーザーにとってはそんなに大きなメリットがある訳ではないのが現状だと思います。朝来て、さんざっぱら立ち読みして、昼飯食べて、また立ち読みして、おやつ食べて、で1冊買って帰る、みたいな気にさせる作りだと意味があるかなと思いますけどね。

とか思いながら店に入ったら、入ってすぐの雑誌コーナーで目に飛び込んできたのが『文芸ブルータス』。「なんぼのもんや?」と思って表紙を見たら、有川浩、木内昇、舞城王太郎、いとうせいこう、朝井リョウ、伊坂幸太郎、西村賢太、鹿島田真希、堀江敏幸、絲山秋子、万城目学というそうそうたる作家群。既発表・未刊行作品がメインのようだけど、迷うことなく即購入。¥650。

しかし、この手の書店、「HINT INDEX」と銘打ったり、上級志向のカフェを併設したりするタイプの店舗に、「普通の」雑誌が置かれているのには毎回違和感。どうしても、雑然としているというか俗っぽいというか、そういう空気が棚から流れ出て、その店が持っているはずの「コンセプト」にあってないと感じる。とは言いつつも、一定の収入源を確保できる商品ポートフォリオとしては、組み込まざるのが当然ということなんだろう。前回の文教堂中之島フェイスティバルプラザ店と真逆のことを思ったのでした。

元凶は酒とプレゼン至上主義

世間はしばらくの間、「プレゼンがうまくなりましょう」の大合唱が続いている。プレゼンテーションはもちろん重要だ。「プレゼンなんて、綺麗な映像で、いいことばっか言ってるだけだろ」と言うほど、プレゼンの奥深さを理解できていない訳ではない。対象に対する深く厚い知識の準備があって、伝えるための技巧を正しく駆使されたプレゼンテーションは、物事を圧倒的な力で前に進める。

問題は、「軽々しい」プレゼンテーションだ。わかりやすさが求められすぎる余り、誇張どころか半ば「間違い」に近いぐらいに端折った表現が用いられることもあるし、見栄えに心血が注がれたプレゼンテーションもある。フォーマットに則っているが故に「いかにも」ビジネスプレゼンテーション的に見えるプレゼンテーションもある。問題は、端折られたプレゼンテーションはとっかかりがよいという事実だ。よく、「風呂敷を広げるだけ広げる」という言い方をするが、大風呂敷を広げて仕事を取ることは実は容易いことなのだ。それと同じように、それが真実か否かは関係なく、「わかりやすい」「理解しやすい」ストーリーで相手を陥れ仕事を取ることも容易いことなのだ。

コンサルタントはプレゼンがうまい。それは「プレゼンには膨大で重厚な知識と理解が必要」という前提を考えれば当たり前なんだけど、プレゼンがうまいコンサルタントがビジネスコンサルで入った結果、業績がおかしくなった会社を大小問わずたくさん知っている。僕は、結局、それはコンサルタントが悪いのではなく、「見栄え」に目を引かれたその会社が悪いのだと思っている。

同じように、仕事の基盤は人間関係には違いないけれど、ベタベタと深い付き合いになって、無理を聞いたり通したりするような仕事の仕方も、歪を生んでいく。これは「仕事に何を求めるか」ということに尽きる。どうせ仕事をするのであれば。

世間のみんながみんな、プレゼンが大事、プレゼンの技法が大事、みたいな風潮を見るにつけ、それよりも先にやることあるだろう、と思ってしまうのだ。