予行演習3時間版とお道具買い揃え

今週も土曜日の朝、CRRで走行練習してきました。写真は進行順になってません(笑)。今回はほぼ街中走りっぱなしで面白い写真撮れるポイントなんてなかったので、表紙写真はその中で多少は見栄えのする丸ビル。ほぼ折り返し地点です。

今回は一度走ったことのある、阪奈道路ルートで大阪側に出て梅田までたどり着き、そのまま折り返して中央大通りを新石切駅まで走り、帰りの山越えだけは輪行で電車で帰る、というルート。帰りはR163にしてもよかったのですが、気分的に時間の読めるルートにしたかったのでちょっと楽をしてみました。阪奈道路を使って大阪側に出るルートというのは下のGoogle Mapのルートなんですが(Google Mapのルート検索はほんと便利)、上りは住宅地内の道路を使って上ります。ちょうど頂点までこれで上りきれます。そしてそこから阪奈道路に入ってひたすら下ります。このルートは比較的楽だし早いし下りの景色も結構いいのですが、あんまりオススメはできなくて、その理由は、第一にそもそも阪奈道路を自転車は走ってはいけないような気がする、もうひとつは道路が自転車にとっては悪すぎるからです。スピードを出さないようにする舗装のバンピーなこと!ハンドルを持つ手が悲鳴を上げる、上げる。

大阪側に降り立ってしまえばどこを走るのもほんとに楽。今度はもうちょっと大阪側での目的地を決めといてもいいなあ。新石切で輪行袋に収めるのは10分かかったくらい。かなり手馴れてきた。


今回のサイクリングはこんな感じでつまんないので、CRR買ってから買い揃えた道具を整理。

まずボトル。POLARの保冷ボトル。
SIGGx遊中川コラボの鹿ボトルを持ってるんだけど、保冷効果があるもの、キャップを手で開ける必要なく走りながら飲めるものが便利ということで買いました。もっとシンプルな柄のものと迷ったんですがこの白熊なら許されるか、と気に入ったのでこっち。 
B003UAYGAM POLAR(ポーラー) ポーラーボトル 24oz 0.71L ビッグベア PBB-24-GBGB
POLAR(ポーラー) 2010-07-30

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次にインナーパンツ。とにかくパッドがないとお尻が痛くなって仕方がないというのは経験してよく知ってるので、サイクリング用パンツは買うと決めてたんだけど、どんなに「最終的にはレースパンツに行き着く。これに勝るものなし」と言われても、レースパンツ履く気にはなれず、カジュアルなショートパンツの下に履けるパッド付のインナーパンツにしました。ちなみにこれ買うとき初めて「パールイズミ」を知りました。

B0015B3514 パールイズミ 157SMT SMTメッシュ インナーパンツ
パールイズミ

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グローブはLOUIS GARNEAUのDELUXE。こいつは完全に見た目で選びました。ロードバイクがCRRでとてもクラシカルなとこが気に入ってるので、なるべくそれに似合うグローブということで。気に入ってます。

難渋したのはヘルメット!最初はリンプロジェクトのカスクを考えてたのですが、なんばマルイのローテイトの店員さんと話をすると、「もちろん十分ヘルメットとしての役割は果たしますが、こけないという自信があるならどうぞ、という感じです」と説明してもらい、ロングライドに挑戦することを考えると、まずはちゃんとしたヘルメットを買うべきだなと考え直しました。

で、それほど高くなく、かつ、グレー基調のものということで、行き着いたのがGIROのINDICATORだったのですが、他のメーカーの実物を店頭で被ってみて60前後のサイズでいけたので、INDICATORをamazonで買ってみて被ってみたら…キツい!自分の頭はハチがでかいことは重々承知してたものの、ワンサイズのヘルメットでキツいということに傷心しつつ返品手続きをし、60cm以上のサイズのあるラインを探してみたら、同じGIROでVENTIというのがグレー基調で63cm以上になっていたので思い切って購入。今度はいい感じで入りました!(泣笑)

でもある程度慣れてきたら、やっぱりカスクは買うつもりです。CRRの雰囲気にあってると思うし、ファンライドにぴったりだと思うし。ちゃんと使い分けできる。

B002TZLGPC ジロ SPORT VENTI チタニウムシルバー
ジロ

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ライトはこれも一目惚れで「これしかない!」という感じでジェントスの閃355。回ってみた2件のお店では2件とも、「カエルライトで十分です」と言われたんだけど、確かに十分かもしれないけど・・・やっぱり外観も大事ってことで。

B00385XBFA GENTOS(ジェントス) 閃 355 【明るさ100ルーメン/実用点灯10時間】 SG-355B
GENTOS(ジェントス) 2010-03-20

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この他、輪行袋はCRR買った際に持ち帰り用にいちばん安かったTIOGA コクーンを買ってます。
サドルバックとパンク応急セットとポケットポンプとテールランプも揃えました。それから簡易のバイクスタンド。

B001G7CQYE TIOGA(タイオガ) コクーン ブラック BAR012


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バックパックはこれも前から持ってるdeuterのウルトラライド。 コンパクトで気に入ってるんですが、これもロングライドを考えるとちょっと役不足。もう少し大きい容量のものが必要だなあと感じてるところ。

B003BEDDGU [ドイター] ウルトラライド
deuter(ドイター)

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ということで、欲しいものをまとめないといけないな~。


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『考える人 2010年8月号』/新潮社

B003T0LLEW 考える人 2010年 08月号 [雑誌]
新潮社  2010-07-03

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箱根二泊三日のロングインタビュー。聞き手:松家仁之。「ロングインタビュー」と表紙に書かれていたのでどんなもんだろう?と手に取ってみたら、ほんとに長くて、読み終えるのに4,5時間かかったと思う。『1Q84』に関する話題をメインにしながら、「作家」という仕事をどうやって生きているのか、そういうことも語られていてどこも何も読み飛ばすことができないインタビュー。

読み終えてみて、自分の中に残った印象や、これからものを考えるのにテーマとして記憶しておくべきと思ったことが5つ:

・仕事の仕方
・女性の描かれ方
・自我と自己
・善悪の基準と神話
・自由とは物語を自分のこととして捉えることができる能力

「仕事の仕方」は、このインタビューを読んで誰しも印象深く感じるところだと思うんだけど、「ペースを守る」というよりは、「自分の仕事を最善の形でやり遂げるためには、どういうやり方がよいのかをよく考え、それを継続的に実行する」というふうに捉えるべきだろうと思う。これはサラリーマンである僕にとっては、「やればできる」と言われても、心理的負担は大きいしそう簡単なことではないんだけど、これまでも常に意識してやってきたことだし、これからもそうやっていけばいいと再確認できた。

「女性の描かれ方」-これは、『1Q84』の感想や書評をいろんなところで読んでいると、特に一般の人で女性と思われる人のブログなんかに、「村上春樹もようやく女性がわかってきたんじゃない?」と書かれているのをよく目にして、どうしてそういうことを思うのかいまひとつピンと来なかったんだけど、このインタビューで少し分かった気がした。僕は、男性がどういうふうに描かれていようが女性がどういうふうに描かれていようが、それが勝手な「決めつけ」でなければ、大切なのは小説という「物語」全体を表すことなので、登場人物がどんな扱われようであってもそれはそういう役割だ、と思ってたんだけど、女性自身の立ち位置の変化が確かにあるんだな、と思った。「こうなりたい」と思うところに、潮流として少しずつでも近づいているから、描かれ方も受け取られ方も変わってくるんだなと少し納得。

いちばんよく理解できていないのが「自我と自己」。僕は今まで、「自我」という言葉を深く考えたことがなかったように思う。本好きを自認してるなら「近代的自我」とかよく理解していないといけないはずなのに、なんとなくで済ませてしまっていた。ほんとうになんとなく、自分は自我が肥大した人間だと、それこそ思春期から悩んでいて、そしてそれはよろしくないことなので自我は極力抑えられるように鍛錬していこう、とそんなふうに考えて二十年以上生きてきたけれど、じゃあ「自我」ってなんなの?ということを深くは考えてこなかった。
人の言ってることや書いてるものでその人となりを想像するとき、どうも毛嫌いしてしまうのはこの「自我」の肥大した人なんだろうなあという漠然とした感覚はあったものの、「自我」がなんなのかちゃんとわかってないから、それが正しいのかもどうかもわからない。僕にとって当面の読書の課題はここにしてみようかと思った。幸い、このインタビューで、自我(の描写・無描写)を考えるにあたってのたくさんの「入口」となる作家が提示されているし。

「善悪の基準と神話」は、まさに『1Q84』を読みながら考えていたことで、何が善で何が悪なのか、何が正しくて何が間違いなのかは、自分自身で考えない訳にはいかない。価値観の変化とかいうことではなくて、「誰かが何が善で何が悪かを取り決めている」という感覚から抜け出すことが現代には特に大事だと思う。もちろん、それは、個々人が好き勝手に好きなことをやってればいいんだということにはつながらない。この辺は、『これからの正義の話をしよう』を読んだタイミングでちょうどよかった。あと、少し話が離れるように見えるかも知れないけど、最近自分がロードバイクを始めたのは、この辺の話を突き詰めたときに出てくる課題を、感覚的に無意識に気づいて始めたような気がする。

最後に、このインタビューを読んで、自分の村上春樹作品への向き合い方というか、どういうふうに読んできたかというのが、それほど間違ってないんだということを、インタビューの端々の言葉や文から感じることがあって、よかったと思うしそれ自体誤解かもしれないなとも思うんだけど、「自分のこととして捉えて読まないと意味がない」ということを言ってる部分は、これは間違いなく僕が常々思ってることとぴったり一致してると思う。これは大変嬉しかった。自分の今までの読書が、より強固なものになったように感じる。

p26「ノモンハンの暴力の風さえ、その壁を抜けてこちらに吹き込んでくるということ」
p30「これは言うなればインターネット世界のあり方です。ものごとの善悪よりは、情報の精度が優先順位の尺度になっている」→マイケル・サンデルの正義論につなげられる
p35「その二人が、『1Q84』という世界をそれぞれにどのように生き抜いていくか。システムの中で個人を貫くという、孤独きわまりない厳しい作業に耐えながら、どのようにして心の連帯をいま一度手に入れるか、『1Q84』は、結局はそういう流れの話だと思うんです。」
p37「ノウハウを引き渡すということは、ある意味でサーキットを閉鎖していくことなんです」
p41「『昔話と日本人の心』河合 四位一体説」
p42「『真景累ヶ淵』
p43「はっきりとした意思を持ち、自律的に動く女性」
p54「おれの言うことが聞こえたのか」「聞こえたよ」というのではとまってしまう。「おれの言うことが聞こえたのか」ときたら「つんぼじゃねえや」と返すのが会話です(ゴーリキーの『どん底』)
p58「だいじなのは、そのころの二十代の青少年は基本的に未来を信じていた」
p66「リチャード・ブローティガン」「カート・ヴォネガット」
p67「当時の日本は今よりもはるかに、そういうセキュリティ(大きな会社に勤めていたり、家庭を持っていたり)に対する信頼が強かった」
p69「本質的な要因以外のところで、本が売れる理由を見出そうとする人が、とくにメディア関係に多いような気がします」
p69「でもいちばん大事なのはおそらく、信頼関係ですね」
p75「とにかく自我とはあまり関係がないものです」
p77「「神話の再創成」みたいなことがあるいはキーワードになるんじゃないかと」→これもマイケル・サンデルにつなげられる
p89「マルケスの小説って、考えてみればほとんど自我を描いていない」
p97「大きい声で言う人が勝つという感じが強まっているような気がします。言うだけ言って、その責任をとらない。

予行演習5時間版

「しまなみアイランドライド」か「淡路島ロングライド150」かに出たいなと思ってて、そうなると10時間走り続けられる練習をしないといけないということで、今日はとりあえず5時間走ってみようと繰り出してみました。買ったばかりのRALEIGH Carlton-Rで!!

乗ってみていちばん最初に思ったのは、「電動アシストクロスバイクは、アシストを使って坂を登るものなんだ」ということ。CRRは今まで苦労した坂どれもこれも結構楽勝で登れる。そして、どうしても巡航速度が20km/hに達しないと悩んでたのも、今日は自宅から奈良公園までの13km/h前後の移動であっさり巡航速度20km/h越え。やっぱりまったく別物なんだと認識しました。

奈良公園から南に下り、郡山イオンまで下った後、25号線に出て法隆寺へ。法隆寺で休憩した後、再び郡山→西ノ京→西大寺→平城宮跡と北上するルート。秋篠川沿いなんかは自転車道があってまずまずだけど、全般的にほんと道って自転車のこと考えてないんだなーとよくよく判りました。

10時間走るための課題は、とにかくお尻が痛いこと!サポーターつきのアンダーウェアを履いたけど全然痛い。これは2つ理由があると思ってて、1つは腹筋不足で正しいポジションがどうしても維持できない。骨盤を立てた状態で長時間走れないから、重心がおかしくなってきて結局お尻に負担がかかってる。もう一つは、やっぱり体重が重いから!痩せないと。とにかく痩せないと。

今日は5時間にしておこうと思ったのは、7時出発で12時過ぎるとやっぱり暑すぎて大変だろうと思ったから。案の定大変で、8月の間は無理はできないなあと実感。

『乙女の密告』/赤染晶子

4103276614 乙女の密告
赤染 晶子
新潮社  2010-07

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京都の外国語大学の、『ヘト アハテルハイス』をテキストに用いるゼミに参加している「乙女」であるみか子。バッハマン教授から明日までに1944年4月9日をスピーチコンテスト暗唱の部の課題テクストとして、明日までに暗唱してくるようにと乙女達に課題が突きつけられる…。

乙女と真実と自己と他者。『ヘト アハテルハイス』(アンネの日記)の暗唱を通じて、認識の問題が掘り下げられていく。自分が「自己」であるとはどういうことか。「他者」でないとはどういうことか。そして、自己が何者かを、ほんとうに自分は知っているのか?そもそも、その「真実」を知りたいと、思っているのだろうか?みか子は言う。「乙女は真実を必要としない」。そう、本著では「乙女」は「直視しないもの。目を逸らすもの。」の代名詞だ。

アンネは1944年4月9日の日記で「オランダ人になりたい」と、「他者になりたい」と宣言している、そのことの意味をみか子は暗唱の中で掘り下げていく。この、掘り下げていく過程の描写が、ものすごく小気味がいい。とても短い文章がリズミカルに畳み掛けられてくる。いや、「リズミカル」というのとはちょっと違うかも知れない。頭の中で音読するに淀みがないような流麗な長い文章がうねうねと続くようなものではなく、とにかく一文は一個の事物しか表わさない、といった短文で語りが続き、乙女と真実と自己と他者という概念的な何かを頭に描かずにおれなくなるのだ。

クライマックスでみか子がアンネの名前を「血を吐いて」語るように、本著にとって一番大切なテーマは乙女と真実と自己と他者なのは間違いないと思う。けれど、僕にとっていちばん印象に残ったシーンは、バッハマンが乙女達を2つのグループに分けるときの、「あなたはいちご大福とウィスキーではどちらが好きですか」というシーン。乙女達はいちご大福が好きかウィスキーが好きかという条件だけで2つに分けられ、それだけの条件なのに分けられた2つのグループは驚くほどの団結を見せる。あたかも「他者」とは全く違うと断言するある「グループ」を形作っているものは、この「いちご大福かウィスキーか」という分け方と、それほど違うのだろうか?「自己と他者」というテーマを構えながら、そこにもう一つ、「そうまでして他者と線を引きたい自己の、自己を自己たらしめているものって、実は”いちご大福かウィスキーか”と同じくらい、意味なんてないことなのかも知れないよ」と言われている気がした。

春日大社 神職が案内する朝のお参り

朝6時半に春日大社の一の鳥居集合ということで、ウチからだと自転車で一時間弱、余裕を見て5時に家を出るため4時半起き。
早朝の道路は涼しい上に車がほとんどなくとても走りやすい、特に308号線~三条通の走りやすさは最高!

先日RALEIGH CarltonRを買ったところですが、まだ慣れてないのと特に駐輪の事情がよくわからないので(ロードバイクの止め方も判らないし、駐輪場が空いてるかどうかも判らない)ので、Real Streamで。今回走ってよく判ったけど、電動アシストクロスバイクは、坂は電動アシストを使って登るように作られているものだと。

朝のお参りはとても気持ちがいいです。神職さんも丁寧に楽しく境内の見どころを教えてくれます。事前の申し込みも不要で、朝6時半に一の鳥居に集まるだけという気楽さ。長い長い参道の意味とか、若宮おん祭りの謂れとか、境内の珍しい景色とか、たくさんの話が聞けます。これはほんとにオススメです。 

灯人サポーター

「灯人サポーター」というのは、燈花会のボランティアのことです!

『燈花会』についてはこちら http://www.toukae.jp/index.html

毎年、参加してみようかな~と思いながら踏ん切りがつかなかったんだけど、
19:30からの参加という枠もあるし、今年は思い切って申し込みました!
一日からでも参加可能なので、とても参加しやすいです。 

第2回大阪遠征

いよいよ真剣にロングライドにエントリーしたくなってきて
(すでに近隣のホテルは取れないという情報を目にしたが気にしない)、
遠距離走るのがどれくらい体に堪えるのか試そうと、第2回大阪遠征。

暗峠越えはしばらくカンベン、という気分なので
他のルートで大阪側に出れるところないかな~と調べてみたところ、
登りは阪奈道路の北側から住宅地内で登れることが分かり、
下りは阪奈道路を下ればいいことが分かったのでこのルートで。

結果…平地なら全然まだまだ走れそう。
登りが約6,7km・5%くらいでこれは僕にとってはめちゃくちゃツラいですが
それを終えた後の平地は全然辛くなかった。といっても25kmくらいだけど。
やっぱり大阪に住んでたら絶対自転車使うね~。
逆に、大阪に住んでたら電動アシストクロスバイクなんて絶対買わなかっただろうな。
今回も結局全然アシスト使わなかったし。

奈良→大阪の登りは緩やかだけど、大阪→奈良の登りはほんとにキツい。
ちょっと北か南かに遠回りするほうが僕には賢明。

いよいよ、ロードバイクが欲しくなってきました。 

『ミーツへの道』/江弘毅

4860112059 ミーツへの道 「街的雑誌」の時代
江 弘毅
本の雑誌社  2010-06-02

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『ミーツ』が神戸新聞社生まれということも知りませんでした。僕は1995年に大阪に出てきたんですが、『ミーツ』が市民権を得だしたのは1990年代からと判って、意外と最近のことなんだなあと思いました。自分が大阪に来た時既にあったものは、大阪の人なら誰でも知っているものだという思いこみがあったので、『ミーツ』に関しては、「大阪のちょっと感度の高い人なら誰でも知ってる雑誌」と思ってたのが、実はまさに浸透現在進行形の時代に自分もいたんだなあと思った。歴史は正しく知らなければほんとにわからない。
その『ミーツ』と神戸新聞社との確執が赤裸々に語られて興味がぐいぐいそっちに引っ張られるけれど、敢えて言えば、子会社である以上当たり前のことのような気もする。とは言え、あの『ミーツ』の編集長としての感性を残したまま、財務諸表や費用対効果やキャッシュフローやと行った会議に出られるというのはかなりのキャパシティだと僕でもわかるし、そういう懐を持った仕事のできる男になりたいと思う。

『ミーツ』を知ってる人なら誰が読んでも絶対に面白いと思う。読んで損はないし、自分の仕事のスタンスに少なからず影響を与える。『ミーツ』を知らない人にも読んでほしいなと思うし、「あの『ミーツ』の」という関西人特有の権威付けから自由に読める人がどんな感想を持つのかにも興味があるのでぜひ関西人ではない人の感想を読んでみたいです。

『そしてカバたちはタンクで茹で死に』/ジャック・ケルアック&ウィリアム・バロウズ

4309205399 そしてカバたちはタンクで茹で死に
ジャック・ケルアック ウィリアム・バロウズ 山形 浩生
河出書房新社  2010-05-15

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ジャック・ケルアックは『オン・ザ・ロード』を、ウィリアム・バロウズは『裸のランチ』を、それぞれ1冊読んだことがあるだけで、二人がビートジェネレーションであり熱狂的に支持された作家という程度の知識しか持ってないまま読んでみた。『オン・ザ・ロード』も『裸のランチ』も面白かったのは面白かったんだけど、僕は「破滅的な何かを漂わせる魅力ってそんなに魅力か?」と文句をつけたがる性分になっていたので、掘り下げて何冊か読んでみようとはしなかった。ドラッグにせよ精神異常性にせよセックスにせよ、生まれたときから多少なりとも命に関わる病気持って生まれた生い立ちの人間に言わせてもらうと「バカバカしい」ということになっちゃう(もっとも、両親がうまくやってくれたおかげで早くに治り本人は病気で不自由した記憶はないけれど)。精神異常性も自分で好き好んで破滅的な生活に追い込んで陥る分はとくに「バカバカしい」と思ってた。1972年生まれでバブルを越えて青春を1990年代前半に過ごした僕は、問答無用の無茶苦茶さならもっと酷いものを見てきたし、そういう無茶苦茶さに与してもほんとにバカバカしいだけで何にもならんというのも実感的に判ってて、ビートジェネレーションも「今更何なん?」と思っていた。
本著の後書を読んで、ビートジェネレーションが狭い人間関係の中にあって、その引き金となった事件がカー・カマラー事件ということを学んだ。ルシアン・カーが、デビット・イームス・カマラーを殺害した事件で、本著はその事件をベースにして、知人であるケルアックとバロウズが章ごとに書き繋いだ作品だ。カマラーはゲイで、25歳のときに知り合った11歳のルシアンに入れあげる。そして8年間の末、ルシアンに殺される。性的関係はなかったとされる。僕はゲイではないのでその点だけはわからないけれど、カマラーのことを「煩わしいが利用したい部分もあり頼らざるを得ない部分もある」と見なさざるを得ないルシアンの困惑はちょっと判らないでもない。そこにゲイという要素が絡めば一層ややこしくなるのは自明だろう。でも、これって、言ってみれば普通、自分の親に対して誰しもが抱く感情だと思う。その依存の対象が自分の親ではなく、性的に倒錯した男性だったところに、ルシアンの中でも無理が溜まっていったんだと思う。そして、ビート・ジェネレーションの一味は、バイセクシャルが珍しいことではない-というより、「それがどうしたの?こんなの普通のことだよ」と言いたがってるように見える。
1972年に生まれて現代を生きている僕にしたら、「そんなに壊れたいんならさっさと壊れてしまえばいいじゃん」と唾を吐きかけたくなる。その倒錯した破滅的な魅力というのはもちろん判らなくはないんだけど、壊れたがってるくせにうじうじ生きているようなヤツが僕はいちばんしょうもないと思うのだ。何かを壊したいと思ってるならまだいいけど。後書にも書かれていたけれど、この本の一番の無理は、「ストーリーの起点がカー・カマラー事件」であることだ。始まりを終わりに持って来ざるを得ないプロット。それって何のための始まりなの?とプロットにさえ突っ込みたくなる。
僕は既に、雰囲気だけで耽美できるような時代も頃合も年齢も通り過ぎて今を生きているので、このビートジェネレーションの時代の魅力を今更学んで耽ることはできないと思う。自分が実際に生きてきた時代の懐古なら出来ると思うけど、その魅力の根本が全く自分の性に合わない時代の魅力にはもはや理解を示せない。『そしてカバたちはタンクで茹で死に』というタイトルの元になった場面が作中に出てくるけれど、「カバたちってのはつまりビートジェネレーションの仲間全体だろう?」と邪推しても、「ただのラジオ放送からおもしろいと思って引っ張っただけ」と言い返すくらいだろうし。

パイル地ジャケット調達

スーツのパンツのヒップの部分が裂けるという大惨事に見舞われ、
急遽、夏用のビジネスウェアを買い足すことに。

今から夏のスーツを買うのは金額的に躊躇われるし、
かと言ってあんまりビジネスカジュアルっぽいのも好きじゃないし、
とあれこれ考えつつ、先週末に一通りお気に入りのお店を下見。

だいたいは「とにかくパンツを買おう。グレーのパンツはあるからブラックのパンツを買って、クールビズ用にしよう」
と思ってたんだけど、意外にブラックのパンツがない。
今はネイビージャケット+グレーパンツという超オーソドックスなジャケパン組み合わせなので、
グレージャケット+ブラックパンツというちょっと渋い目にしたいと頭の中で描いてたんだけど、
意外にこれというブラックのパンツがない。

で、仕事帰りに近所のNOOLEY'S good manに立ち寄ってみた。
店員さんに「濃い色目のパンツないですか?」と聞いてみたら、ネイビーを提案してくれた。
店にあるブラック系のは秋物にかかってきてるということで、
今からしばらく着れるものが欲しいというと、ネイビー含めて何着か。

その中からいちばんディティールがビジネス向きっぽいのを選んで試着。
店員さんは、そのパンツは綿100%と違いポリエステルが入ってるんでストレッチが効くけど膝が抜けやすいとか、
いくつか注意点を教えてくれたので、これでいいかと決定。

ついでにちょっと目に入ったジャケットを着てみたのが写真。
パンツが目的だったのに、パンツは仕上がり1週間後で先にジャケット入手。

・生地が今治製パイル地
・しかも袖に裏地をつけていない
・なので例えば半袖シャツとかポロシャツで着ても気持ち悪くない
・本切羽で袖を折り返せる
・着丈が若干短めで、カジュアルな雰囲気を出せる。ジーンズにも合わせられる
・パッチポケットなのも、かっちりした印象を外させてる
・でも、ビジネス的に着る最低限の部分は持ってる

ということでお気に召して購入。
ちょうどセールだったのでよいカンジで上下購入できました。

しかし、ここしばらく、着るものを買う意欲全然なかったのに、
一旦買いだすとあれもこれも買いたくなるから不思議だな~。