独走会 - 唐招提寺 幻うちわまき

早朝駆け出して、一時間並んで参加券までゲットして中止だって、それもまた一興、なのです。

うちわまきは覚盛上人の逸話に由来する、ちょっとユニークな行事。鼓楼の二階からハート形のかわいらしい形のうちわが撒かれ、それを皆で競い合うように受け止める、というもの。近年は危険なく行事を後世に残せるよう、やり方が様々工夫されているようで、今年は参加するための「参加券」を朝9時に先着400名に配布、うちわまきは400本撒かれるので、参加できれば必ずうちわはゲットできます。そのほか、色札の「抽選券」、あるいは1,000円で買うこともできます。買える、ということは、うちわまきと抽選券でもらえるのは、拝観料以外は要りません。

この日は午後から大雨になることは分かってたので、朝、参加券ゲットしたらその足で家に帰って、バイクは置いて唐招提寺へ。案の上雨はごうごうと降り、決行か中止かの発表時間だった14:30を待たずに中止のアナウンス。でも、鼓楼の周りで待ってた参加券持ちの人びとも特段何か不満を言うでもなく、じっと傘をさして、「形だけ」うちわまきするというのを待ってました。

時間は自分の為にある。忙しい、忙しいと思うのは、やれるときにやれることをやらずに過ごしているから。時間を浪費することも一種の興だという感覚はどうしても拭いがたいんだけど、やりたいことがたくさんあるからという言い草よりも、手抜きの無い時間を過ごしたいと、もし何もしない時間が必要でそれがあったとして、もし手抜きの無い時間を過ごしていれば、その何もしない時間さえも平穏に過ごせるはず、そうじゃないから何かしないと居心地が悪いんだと、雨に打たれた一時間半を思い返すとじんわり脳裏に浮かぶのです。

独走会 - 春日大社

事故からの復帰第一走は、やっぱり春日大社。

縁石乗り上げで落車したり、パンクしたり、なんでもないところで転倒したり、挙句はトラックに轢かれたり。

ちょっとずっと気になってたのは松尾山に行ったことで、実は我が家系は松尾山に参詣するとあまりよいことがない。今年は本厄だしと思って行ってはみたものの、気に病むくらいならやはりここだと決めている春日大社に行って交通安全のお守りを買ってこようと、これが復帰第一走。

復帰といってもホイールがまだ本番仕様ではなくて、ちょっと出かける用に準備した、SHIMANO WH-R500にSERFASの700-25Cを履かせたホイール。いちおうセミディープに当たるそうですが、確かになんだか地面からカンカン突き上げられるというのか突き立ててるというのか、そういう乗り心地。あと、カセットもSHIMANO 105にしているのですが、カシャカシャ音が気になる。ULTEGRAの素材の良さというのを改めて感じた次第、なのでした。

春日野から春日大社に向けて走る小路には修学旅行生と思しき群れ、春日大社には大型バスがと思ったら結婚式。交通安全のお守りは緑に赤の差色という伝統的な神社カラーで僕のロードバイクには全くそぐわない配色なんだけど、それが注意喚起のシンボルなんだと思うと有難く、春日大社により愛着が湧いたのでした。

小鹿も公園デビューしてたらしいし、東大寺の法華堂がちょうど公開再開だったけれど、なんでもいっぺんに行ってしまおうと思うのが無粋。今度と思って今度これなくてもまた来年も生があれば。それくらいが奈良の愉しみ方にちょうどいい。そしてそれは、決して鈍らな訳でも消極的な訳でもないのだ。


独走会 - 南山城村26.6km地点 被轢過リタイア

今日の最大の教訓は、事故に遭ったときは何があっても救急車を呼べ。警察ではなく。

僕は常々、「成功談ではなく、失敗談をこそ語るべし」と思っているし言い続けてますので、今回の顛末もできる限り詳しくシェアしようと思います。成功談ももちろん大切ですけど、失敗の中にも大切なことがあると思っています。日本が安全に自転車で走れる国になるように、顛末をシェアしようと思います。

事故にあったのは4:40頃、国道163号線を大河原駅から数km東に進んだ地点。追い越しのトラックのサイドミラーに後頭部を撥ねられました。そのまま路肩に転倒。後頭部に衝撃を受けた瞬間、「ミラーか?」と浮かんだので、その後は割と冷静に転倒できましたが、下手をすると、トラックの後続に轢かれていたかもしれない状況でした。

かなり偶発的で防ぎようがないように思う事故ですが、不幸中の幸いで、CONTOURで走行中の動画を撮影してたこともあり、事故の瞬間を動画で確認しながら振り返ってみると:

  • まず、反省するべき点があるとすれば、時間。深夜出発なので、暗さ対策はかなり入念に行い、フロントライトx2、リアライト点灯x1、リフレクター類満載にしていて、ドライバーから見えるように対策していたけれど、ドライバーが疲れや眠気で注意散漫になっていてはどうしようもない。深夜はもちろん眠いと思うし、事故にあった、夜が明け始めて明るくなってくる時間帯は、視界がよくなってくるので気が緩む時間帯でもある。今回は計画上、どうしても3:00出発でなければ間に合わない旅程だったのでそうしたが、出発地点をずらすか、より車の少ないルートを選ぶかの余地はあった。ただ、より車の少ないルートとしては369号線→県道4号があるが、・いきなり登りが多く、序盤で体力が削れるのは危険 ・鉄道も全く通らず、万が一の際、全く打つ手がなくなる 等を考えてルートから外している。
  • 追い抜くヘッドライトがあまり右側に逸れない際は緊急体制を取る。事故の際、確かに「あんまり避けていかない車だなー」とは思っていた。結構すれすれ通るな、と思っていたら後頭部に衝撃が走った。だからと言ってどういう緊急体制が取れるのか?とは思うけど、追い抜くヘッドライトの近づき具合は気を払っていてよかったので、これは頭に入れておくのがお勧め。
  • とにかく左に倒れること。
  • 夜はできることなら歩道を走ったほうがいい。田舎の歩道はガラス片とかが落ちていることもあるし、そちらのほうがリスクではあるけれど、車はガラスの比ではない。

そして一番最初の「警察ではなく救急車を呼べ」ですが、当初、転倒したとはいえ、それほど強く落ちてなく、撥ねられた頭も、撥ねられたというほどの痛みもなく、「このまま走り続けるか?」と思ったくらいの怪我だったので、取りあえず救急車ではなくて警察を呼んだのですが、救急で病院に行かないと、後で病院に行くのは結構大変です。だいたい休みの日にツーリングすると思うので、救急を自力で探さないといけないし、何より保険の話が面倒になります。仮に怪我は全くなくて物損対応だけだったとしても保険会社が関与したほうが円満なことが多いので、どんなに大したことなくても、絶対救急車を呼ぶことです。救急車を呼べば自動的に警察も来ます。警察に届け出ていないと、後遺症等も請求できなくなります。

駆けつけてくれた京都府警の方々は、現場に落ちていたパーツが、トラックのサイドミラーのパーツであることを発見してくれたり(証拠になる)、木津駅まで送り届けてくれたり、大変親切にして頂きました。

という訳で、トラックのサイドミラーという危険と、何かあった際は救急車を呼ぼう、という纏めなのですが、大事なのは、仮に事故にあったとしても対処できる備えをしているということ。独走の心得というか。僕は輪行袋はもちろん持ってましたし、保険証・自転車保険の保険証・バンドエイド類、それと履き替え用の靴も持ってました。靴は帰りの輪行時のことを考えてですが、結果的に靴があることでずいぶん楽でした。

ちなみに僕が使っているのはこれです:

B004P1A5YG Timberland(ティンバーランド) RADLER TRAIL Camp
Timberland(ティンバーランド)

by G-Tools
ぐるりとファスナーがついていて、真ん中で折れるパッカブル。軽くて小さくなるのでバッグに入れてもそれほど荷物になりません。お勧めです。


さて辛い経験談はこれくらいにして、今回のツーリングについて。

今回、以前から目的地に考えていた蒲郡を目指す旅程を組みました。距離にして180km前後、僕の足ではどう頑張っても12時間欲しいところです。ただ、目的地の都合上、蒲郡に15:00には絶対到着しなければいけなかったので、余裕を見て14:00着で考えても夜中の2:00には出発しないといけない。ただ、帰りは輪行で決めていて、蒲郡からはJRで帰ってくることになりそうなので、疲れ切って帰ってきてJR奈良→近鉄奈良を自転車担いで歩くのは嫌、だったらスタート地点をJR奈良にして3:00スタートにすればいい、と考え、車でJR奈良まで自転車持っていってそこからスタートしました。

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意気揚々とJR奈良駅を出発したところ。

163号線沿いのサークルK笠置店。20km弱を50分くらいで、ペースはそれほどよくはないけれど、夜道なので慎重に走っていたこともあり、予定通りと言えば予定通り。ここに4:00過ぎに到着できたので、伊賀上野を6:00に出れたら予定通り行ける、と思ってたので順調順調と思ってました。

冒頭の動画は、このコンビニに到着する直前くらいです。交通量の少ない、民家もほとんどない夜道を走るのはなかなかに心細いものがありましたが、少し明かりがあるところのナイトライドは、それだけで非日常を味わえ、走っているとき以上に振り返って「刺激だった」と思える経験になるので、事故に遭ったのに言うのもなんですが、お勧めではあります。都市部のナイトライドならいいのではないでしょうか。

繰り返しですけど、「独走」というのは、何かあっても何があっても自分の責任と覚悟を決めて走る態度です。もちろん、僕を轢いたドライバーは悪いのは悪いですからその補償をしてもらわなければいけないですが、そういう「責任」ではなく、自分で「やりたい」と決めてやっていることなんだから、運の悪ささえ独り背負い込むような、そういう態度のことです。だからこそ、単に自由気ままに走るというのではなくて、「孤独の愉しさ喜び」が判るし、判った上で、人と一緒に走る楽しさも判るのだと思います。

”悲しみを知り 独りで泣きましょう”

また転倒

また転倒。これだけコケると自分の運動神経を疑わざるを得ないんだけど、コケるのは決まってなんでもないライドの時。油断していると言えば油断してるけど、今日のに至ってはたぶん15km/hも出てないような走りでハンドルを失って転倒。幸い、TRANSITの皆さんと走ってたので助かりましたが、落ち着いた今、冷静に原因を考えてみると: 
  •  前回もそうだけど、なんでもないとこでハンドルを失ってる。もしかして、緩くなっててハンドルが動いている?→今日、向井さんに締めてもらったのでここは安心。
  • フラットペダルで感覚が狂った。でも前回はビンディング履いてたので、これは今回に限る。
  • 睡眠不足。でもこれも今回限り。
  • タイヤの異常。前回と今回はタイヤは入れ替えているので直接的には関係ないけど、そろそろ新調したほうがいいのか。タイヤの異常とはどういうものがあるのか、どういうときに変えるべきか調べる。
  • リアフレームの異音。今回、今まで室内用で使っていたリアを初めて外で使ったんだけど、段差を踏むたびに気になる音がした。それに気を取られていた気もする。

総じて、油断していることは間違いない。でもあまりに気を張り詰めすぎていると楽しくないし、長く走れない。この辺はいつも課題。とにかく、大怪我せずに済んだことと、TRANSITの皆さんが一緒にいて助けてもらえたことに感謝です。

独走会 - 興福寺南円堂・北円堂

これ見たら行っちゃうでしょう!金曜、東京出張の新幹線でこのポスター見て、品川駅の通路脇両サイドにずらーっと並ぶ液晶モニタ全部が映し出すこのヴィジュアル見て感動。朝8:00に出発して繰り出したのです。

 

ほんとはその興福寺も含む南都仏教の堕落を嫌って興福寺から笠置寺に移ったと言われる貞慶が最後に移った海住山寺まで行こうと思ってたのですが時間がなくそれはまた次回。ラストに20%越えの激坂が2,3km続く難コースらしい。

 

久し振りに鹿せんべい買いました。このバンビのほうに気づけなくて、たぶんせんべいにありつけてないと思う。ありつけた親に対して怒ってるのか、そっぽ向いてます(笑)

 

謝る親(笑)


興福寺の駐輪場は、国宝館の真ん前にあります。駐輪場というか、なだらかな丘になってる芝生?地なので、「ほんとにいいの?」とちょっと思います。


8:40くらいに着いて、鹿と戯れたりして、そろそろ9:00かな~と拝観券売り場探してうろうろしたら、もうすでに長蛇の列!いつも思うんだけどそんなに興味ある人いるの!?って。

ICOCA/SUICA/PiTaPaを持ってると100円引きでした。たぶん、車で来てないからということのような気がするけど、僕、自転車です。


南円堂は通例年一日しか公開日が無いそうです。本尊は不空羂索観音坐像。真正面の御姿は非常に迫力があります。自分の視界をすべて埋め尽くしてくるような押し出し感があります。でも威圧感ではないところが素晴らしいです。

 

南円堂から拝む三重塔。意外な撮影スポットでした。

 

北円堂へ。

 

南円堂も北円堂も四天王像があるのですが、南円堂と北円堂でも四天王像の趣ががらっと違っていて、その見比べだけでも楽しめます。

 

「よく観察しましょうね」と子どもに話してる親がたくさんいて、スケッチの課題かなんかが出る学校が多いんでしょうか?堂内は写真はもちろんスケッチも禁止で、あの子たちは自分の記憶を頼りに像を描くんだね~。凄い。


チケットもカッコ良い。一角は最初の段階で切られてたのかな?南円堂・北円堂がそれぞれ左上・右上の角になってました。おまけの「にほひ袋」もかわいい。あと、南円堂は土禁なので、靴袋をくれるのですがこれもまたかわいかったです。

 

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おまけは、興福寺を出て、お気に入りのパン屋「ノモケマナ」に向かうルートです。奈良ホテルをかすめます。

2012/04/15-2012/04/21の振り返り / 独走会 - 醍醐寺

本エントリがこのposterous最後のエントリ。

花粉症の時期も終わり、気候もよくなり、いよいよツーリングにもってこいの季節になってきたというのに、天気予報は土曜の午後から雨!ということで、早朝出発して大津まで走って、その後京都まで戻ったら13:00くらいなのでそこから輪行で帰ろう、という予定だったのですが、ルート確認が曖昧で途中で大幅に時間を食いつぶし、挙句GARMINにガイドさせてみたら、醍醐山を横断せよというルートを案内されていることに途中で気が付き、引き返して大通りに出ようとした醍醐寺境内でリアがパンク、もうムリ、と大津は諦めたのでした。

でも、通り掛からなければ知らなかったし、走りに来ようという候補になかったお寺なので、これもいい機会。コースも行先も気の向くまま、偶然を楽しめるのがツーリングのいいところ。走ってるときは「なんでだよ~GARMIN!」と苛立ってましたが(笑)。

 

仁王門。既にパンクは修理済み。この近くでパンク修理してたら、結構貫禄のある高齢のお坊さんが「パンクですか?」と声をかけてくれました。「すみません、こんなところで」「いえいえ、構いませんよ。ゆっくりなさってください」後で遠目にお坊さんを見かけたとき、追いかけて声を掛けさせてもらえばよかったです。


金堂。意外と金堂に近づく人が少なかったです。


五重塔。なんかちょっとスマートな感じ。五重塔で淡い朱色はあまり見たことがなく、珍しかったです。

 

観音堂。中には後から入れます。観音堂の中で、御朱印を頂けます。3種類ありますが、御本尊と観音様を頂きました。

醍醐寺は世界遺産で、上醍醐・下醍醐・三宝院と境内も広くみどころたくさんで、今回見て回ったのはほんの少しだったのですが、少し立ち寄ったというのもまた悪くないもんだと思っています。


動画は、醍醐山を引き返してきて醍醐寺の境内に入り、パンクして落胆するまで(笑)。

  • 一週間がやたらに早い。
  • ひとつの物事について、要・不要に関わらず探りまくる。
  • 腹の立つこと、面白くないことが続くときは、一旦無神経になる。
  • 責任感を悪用されないように立ち回る。
  • まだまだ足りないとは言え、瞬発的にカウンターを出せたことは自分で評価できる。
  • 固有名詞。

いつか僕らも大人になり老けてゆく

もたもたしなかったご褒美は、ライド中は雨が降らなかったこと。

僕は今、若さを喪失する怖さと戦っている。自分自身で選ぼうとしている、この先の自分自身の人生の歩き方と、自分自身の人間としての成熟のために、心がけている鍛錬は、ある意味で若さからの卒業を求めてくる。若さを忘れないままで成熟することももちろんできると思う、けれど若さを卒業するほうが成熟への近道であることは否めないと思う。

若さ。微かにでも心を動かされた現実に、ずっと心を動かされ続けるようなこと。むしろ、微かに動いた心のその動揺が、ずっと続くような心性が、若さだと思う。諦めの悪さ。ナイーブさ。憤りやすさ。燃えやすさ。意地。どうでもいいことにえんえん拘り続けられること。刹那的。そういうものから卒業すること。腰を据えること。

そういうものが無くなることそのものは実は怖くない、というかそれには既に麻痺するくらい老けているかもしれない、ただ、それを怖いと感じる自分がいなくなることが怖い。この怖さだけは保ち続けたままで老けたい。だから、その怖さとは戦い続けないといけない。戦い続けている限り、この怖さは消えない。戦いをやめたとき、怖さを感じる自分を無くしてしまう。

負けるのは恐くない
ちょっと逃げ腰になる日が来ることに怯えているけど 

友を訪ねて二十五里

大学時代からの親友に会いに、津まで走ってきました。一里=3.9kmなので二十五里だと若干少な目ですが、語呂がいいのと謙虚に行こうということで。

 

彼は桑名在住で、走ったことないルートだし丁度いいかと思っていたのですが、奥さんの出産があって週末は津にいるということで目的地は津。正直、津に向かうルートは結構走ってて飽きてたのですが、伊賀上野から津への163号は走ったことがなかったのでこのルートを選択。伊賀上野までは、前回の伊勢行で走った369号→県道4号から25号というルートを。月ヶ瀬梅林を通るからなんですが、やっぱりちょっと早かったです。

 

15km地点。朝8:30くらいの太極殿。

 

27km地点。たぶん、369号のピーク、円成寺手前だと思います。下りで路面に雪はちょっと怖いですが、身に染みる寒さの中を走るのは嫌いではないのです。

ただ、足先の冷えはやはり厳しい。太腿や脹脛の冷えはスパッツ等で改善できるけど、足先の冷えはなかなかよい方法がありません。シューズカバーも買いましたが、あんまり効果が感じられず今回はしなかったのですが、しないよりはしたほうがましだったかな~と後悔。柳生に着いたところでシューズ緩めて陽に当てて休憩して冷えと痺れを取りました。

 

42km地点。月ヶ瀬梅林は(いちおう事前にHPでまだ蕾というのは見てたのですが)やっぱり蕾でした。369号のアップダウンを終え、10:40位。だいぶ陽が射しコンディションがよくなってきた頃です。

しかし、ここから県道4号に入り、名張川沿いを走って25号に合流して伊賀上野まで出る、平坦の約20km、今回のルートでいちばんフラットと思っていたこの区間がいちばん辛かった。GARMINの走行ログを見ると、アベレージスピードが他の区間に較べて著しく低い訳でもないので、疲労感だけかも知れないけど、回せなくて辛いと感じてたのは事実で、太腿の前の痙攣が収まらなくなったこともあって一度停車してサイクルチャージを摂取。サイクルチャージはほんと短時間で覿面に効きます。

 

60km地点。お昼は伊賀上野の「文雅堂」の白かげラーメン。醤油豚骨です。走り疲れてるとラーメンは避けたいと思うときもありますがこの時は行けました。でも、胃腸も疲れていることは経験上よく知ってるのでよくよく噛んで食べるよう心掛けました。あと、水分で胃が膨れるのも辛くなると知っているので、スープを飲みたいのも我慢。12:00頃出発、後半戦!

 

伊賀上野から163号に入り、新大仏寺まで3%~4%の登りが約20km続くので、この区間がヤマと思ってたのですが、サイクルチャージとラーメンでエネルギー補給したからかお昼休憩をはさんだからか、全く辛さもなく退屈感もなく走り切れました。足が回転についていけずペダルをカンカン言わせることもなく。ただ、お尻がめちゃくちゃ痛かった!インナーパンツのパッドが大分へたったことを痛感。

 

78km地点。新大沸寺です。新大佛寺は真言宗智山派のお寺で、全国七か所の東大寺別所の一つだそうです。大門には真っ赤ですがちゃんと阿形・吽形がいます。

 

向かって右が大仏殿。中にはちゃんと縮小版の大仏様が。お参りしましたがもちろん撮影は遠慮させて頂きました。御朱印帳持参でしたので、初めて県外の御朱印を頂きました。それが東大寺別所というところにちょっとご満悦。

ここまで来たら、後は下るだけ!163号をひたすら下ります。長野峠越えでは寒さにびっくり。積雪もあり、登ってきたのに体が瞬時に冷えていくのに驚いたのを覚えています。津市街に出ると海が近いからか吹きさらしでは猛烈な向かい風でちょっときつかったりしますが、既にお昼過ぎで温かいので気持ちよく走れました。

 

102km地点。津に到着!学生時代もあんまり行ったことのない(笑)津城跡で記念撮影。振り返ってみると、津に出るならこのルートがいちばん楽かも。

 

という訳で、ツーリングについての箇条書き:

  • 50km前後で足が止まるのは、スタミナの問題もあると思うけど、朝ご飯の量が足りてないからではないか。
  • シューズカバーはないよりあったほうがましかも。
  • ハンドルが若干送り過ぎのような気がする。調整。
  • 登りを楽にするためにリアの空気圧を、履いているタイヤでは固めの90psiまで入れたが、平地ではやっぱり響いて厳しかった。
  • 太腿が冷えることに関してはやっぱりこれといって解はない。冷えるもんはしょうがない。強いて言うと、引き足のときに攣るので、今はサドル高をロングライド用に低めの楽なポジションにしてるのをちょっと上げてあげるくらいか?

 

そして再会したツレと、母校を見学するも冬休み中だし学食系はまったく空いてないし学部校舎も受験中とかで入ったものの追い出されるしで、毎度毎度母校訪問は散々な目に。

ツレは少し時間を取ってくれるということで、近くのファミレスで晩飯。まあ細かいことを改めて書くのも骨が折れるので書かないけど、最近自分に言い聞かせる言葉として、ツレが「キれるな」、オレが「謙虚に」と言ったのがいちばん印象に残った。表現は違えど、そのエッセンスは同じだと思う。考え抜くこと、容易に投げ出さないこと、自分自身を知ること・判ること。同じように歩みを進めている、気心のあう人間がひとりどこかにいるというのはこの上なく幸せなことです。

 

 

無知は無精、それでもつとめよやと不動

近所の神社寺院をあまりにも知らないな、と検索してみて見つかったHPがあまりに格好良かった長弓寺まで走ってきました。

独走会」という、「犀の角のようにただ独り歩め」という仏陀の言葉を引用したfacebookグループを作るほど、独りで黙々と走るのが好きで(大勢で走るのが嫌いという意味じゃありません、独りで走る愉しみも感じるのです)、暫く走ってなかったので今日は近場だと、前々から行きたかった長弓寺に行ってみました。

あまりに格好良いHPが、「長弓寺 薬師院」と書かれていて、わざわざ薬師院を記しているのにちょっと引っかかりを覚えつつ訪れたのですが、訪れて謎が解けました。長弓寺は本堂の他に薬師院、円生院、法華院、宝光院の塔頭からなる塔頭寺院でした。

富雄川からの入口。伊弉諾神社の鳥居です。生駒は神宮寺あるいは寺院の鎮守である神社がとても多いと思います。写真を撮っていると、向こうから歩いてきたおじさんに「どこから?」と尋ねられ、「近所です」と答えると、「今たくさんお参りきてはるわ、名古屋からと言ってた」と教えてもらい、「名古屋!?」と驚き。名古屋から団体で大勢お参りに来られる程、名の知れたお寺だったんだと驚き。

 

門。寺院の門とロードバイクはとても似合う。

 

蓮池。

 

本堂。国宝です。鎌倉時代の様式の典型的な建築とのことですが、軒のせり上がり具合の迫力が好みです。

 

本堂には「御朱印は各塔頭にお越しください」と書き置きがあったので、まずいちばん近くの法華院に行ってみたのですが、「納経所」と札が置かれた窓口は閉ざされていて、屋内に人がいる気配なし。声を出してみる勇気もなかったので、他の塔頭に足を運ぶことに。

 

蓮池のすぐ近くの円生院。「努力」の文字が僕を迎えます。円生院は不動明王が御本尊だそうですが、この掲示をしげしげと眺めてみると、「初不動 一月二十八日 十時~二時半 どなたでもご参加ください」の文字が。鳥居のところでおじさんが言ってたのはこれのことだったんだ。僕は近所なのに何にも知らずやってきて、たまたま出会えたけれどちょうど時間切れで着いてしまったのだ。

何も決めず、ふらっと立ち寄ることの身軽さ、面白さは好きだけれど、知ろうとしなかった無精ゆえの無知で機会を逃すというのはなんとも情けないことだと落胆。行事ごとで忙しくされている納経所に、御朱印を願い出る気持ちにもなれず。「つとめよや」の不動さんの言葉を胸に、今日は静かに引き上げたのでした。

戒壇院、十七時丁度、昭和二十二年生

東大寺戒壇院の御朱印を書く方(正式な呼び名は何と言うのでしょう?)とお友達になりました。

二日に春日大社に初詣した際に、御朱印帳を購入しました。一時、御朱印帳が(ネットも含めた私の目に映る範囲で)一大ブームになったことがあり、その時はどうも安易な感じがして買わなかったのですが、私のロードバイクの「近所乗り」の行先は圧倒的に神社仏閣なので、御朱印帳に御朱印を頂いていくのも良いなと思い、お気に入りの神社である春日大社で御朱印帳を買いました。

記念すべき第一頁はもちろん春日大社でしたので、第二頁はそれなら東大寺でしょうと(ほんとは昨日、稲蔵神社で頂こうと思ったのですが、御朱印を書いてくれるところが判らなかった・・・)、今日は東大寺まで走りました。

ただ、下調べしておいたのですが、東大寺は御堂が多いので、御朱印を頂けるところがとても多いのです。大仏殿はもちろんとして、二月堂、三月堂、四月堂、戒壇院、行基堂、念仏堂、不動堂、まだまだあったと思います。まだ混雑してると思われる初詣の時期の今日、大仏殿にロードバイクで乗り付けてビンディングシューズで歩く気にはなれなかったので、今まで行ったことのない戒壇院でもらうことに決めて出発。

 

大仏池から見た大仏殿。こちら側は人通りも車通りもほとんどありませんでした。いつもの静けさでした。

 

その大仏池側から境内に入れる門があったので、ここから入りました。門の先は華厳寮と千手堂。千手堂は閉まっているようでしたが、ちょうど私が通り過ぎた後におばあさんが持参物と共に立ち止まっていたので、何かあったのかも知れません。

 

戒壇院と千手堂の間の門を、戒壇院側から見ています。この正月飾りが余りにも好みで写真に収めました。

 

このささやかさ、小ささ、均衡感、華美ではないけれども、不動の門に絶対で最低限のアクセントを置いた祝賀の表現。たまりません!

 

戒壇院は参拝時間の終わりが近づいていたからか、全然参拝者がいませんでした。静かなものでした。戒壇院は厳かと言うよりもむしろ人を寄せ付けない厳しい雰囲気があります。

堂内の四天王・二仏を拝ませて頂き、帰りに御朱印をお願いしたら、スーツを着た書き手の方が「自転車ですか?」と聞いて来られる。なんでもその方もクロスバイクに乗られているそうで、一日20km程毎日乗っておられたときがあったとか。主たるスポーツは剣道をされていて、足腰のトレーニングのために自転車も始められたとか。更にお話を聞くと、御勤務先を定年退職されてから、東大寺の職員として戒壇院に詰められているとか。とても若々しい方で、「私の親父も定年退職してますがどこにも出て行きませんよ」と言うと、「おいくつですか?」「65です」「あ、私と同じですわ、昭和二十二年生まれ?」「そうですそうです」「おや奇遇ですなあ~」と話が進みました。

ちょくちょくこの界隈まで走りに来てるので、また寄らせてもらいますと、名乗り、お名前をお伺いし、気持ちよく戒壇院を後にしたのでした。しかしいつも思いますが、年配の方でお話のうまい方というのは本当にうまい。顔がまず常時笑顔だし、使われる言葉に気持ちのよくない言葉が入らない。この方は、定年まで勤められた会社・ご職業も大きいと思いますが、年配の方と話をさせて頂くといつもこうできるように努力しないとなあと思うところです。

 

これが戒壇院の御朱印です。四天王の文字の睨みの効き具合が迫力ですが、書き手の方の人となりに少しでも触れたというだけで、御朱印というものへの印象も大分変わってくるから不思議です。東大寺の他の御堂の御朱印も頂いて行きたいと思います。

ちなみにタイトルの「十七時丁度」は、今日の日没の時刻です。寒いながらも日が出ている時は気持ちよく走れたのですが、日が暮れてからの寒さはサイクリストにとっては厳し過ぎました・・・。