独走会 - 南山城村26.6km地点 被轢過リタイア

今日の最大の教訓は、事故に遭ったときは何があっても救急車を呼べ。警察ではなく。

僕は常々、「成功談ではなく、失敗談をこそ語るべし」と思っているし言い続けてますので、今回の顛末もできる限り詳しくシェアしようと思います。成功談ももちろん大切ですけど、失敗の中にも大切なことがあると思っています。日本が安全に自転車で走れる国になるように、顛末をシェアしようと思います。

事故にあったのは4:40頃、国道163号線を大河原駅から数km東に進んだ地点。追い越しのトラックのサイドミラーに後頭部を撥ねられました。そのまま路肩に転倒。後頭部に衝撃を受けた瞬間、「ミラーか?」と浮かんだので、その後は割と冷静に転倒できましたが、下手をすると、トラックの後続に轢かれていたかもしれない状況でした。

かなり偶発的で防ぎようがないように思う事故ですが、不幸中の幸いで、CONTOURで走行中の動画を撮影してたこともあり、事故の瞬間を動画で確認しながら振り返ってみると:

  • まず、反省するべき点があるとすれば、時間。深夜出発なので、暗さ対策はかなり入念に行い、フロントライトx2、リアライト点灯x1、リフレクター類満載にしていて、ドライバーから見えるように対策していたけれど、ドライバーが疲れや眠気で注意散漫になっていてはどうしようもない。深夜はもちろん眠いと思うし、事故にあった、夜が明け始めて明るくなってくる時間帯は、視界がよくなってくるので気が緩む時間帯でもある。今回は計画上、どうしても3:00出発でなければ間に合わない旅程だったのでそうしたが、出発地点をずらすか、より車の少ないルートを選ぶかの余地はあった。ただ、より車の少ないルートとしては369号線→県道4号があるが、・いきなり登りが多く、序盤で体力が削れるのは危険 ・鉄道も全く通らず、万が一の際、全く打つ手がなくなる 等を考えてルートから外している。
  • 追い抜くヘッドライトがあまり右側に逸れない際は緊急体制を取る。事故の際、確かに「あんまり避けていかない車だなー」とは思っていた。結構すれすれ通るな、と思っていたら後頭部に衝撃が走った。だからと言ってどういう緊急体制が取れるのか?とは思うけど、追い抜くヘッドライトの近づき具合は気を払っていてよかったので、これは頭に入れておくのがお勧め。
  • とにかく左に倒れること。
  • 夜はできることなら歩道を走ったほうがいい。田舎の歩道はガラス片とかが落ちていることもあるし、そちらのほうがリスクではあるけれど、車はガラスの比ではない。

そして一番最初の「警察ではなく救急車を呼べ」ですが、当初、転倒したとはいえ、それほど強く落ちてなく、撥ねられた頭も、撥ねられたというほどの痛みもなく、「このまま走り続けるか?」と思ったくらいの怪我だったので、取りあえず救急車ではなくて警察を呼んだのですが、救急で病院に行かないと、後で病院に行くのは結構大変です。だいたい休みの日にツーリングすると思うので、救急を自力で探さないといけないし、何より保険の話が面倒になります。仮に怪我は全くなくて物損対応だけだったとしても保険会社が関与したほうが円満なことが多いので、どんなに大したことなくても、絶対救急車を呼ぶことです。救急車を呼べば自動的に警察も来ます。警察に届け出ていないと、後遺症等も請求できなくなります。

駆けつけてくれた京都府警の方々は、現場に落ちていたパーツが、トラックのサイドミラーのパーツであることを発見してくれたり(証拠になる)、木津駅まで送り届けてくれたり、大変親切にして頂きました。

という訳で、トラックのサイドミラーという危険と、何かあった際は救急車を呼ぼう、という纏めなのですが、大事なのは、仮に事故にあったとしても対処できる備えをしているということ。独走の心得というか。僕は輪行袋はもちろん持ってましたし、保険証・自転車保険の保険証・バンドエイド類、それと履き替え用の靴も持ってました。靴は帰りの輪行時のことを考えてですが、結果的に靴があることでずいぶん楽でした。

ちなみに僕が使っているのはこれです:

B004P1A5YG Timberland(ティンバーランド) RADLER TRAIL Camp
Timberland(ティンバーランド)

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ぐるりとファスナーがついていて、真ん中で折れるパッカブル。軽くて小さくなるのでバッグに入れてもそれほど荷物になりません。お勧めです。


さて辛い経験談はこれくらいにして、今回のツーリングについて。

今回、以前から目的地に考えていた蒲郡を目指す旅程を組みました。距離にして180km前後、僕の足ではどう頑張っても12時間欲しいところです。ただ、目的地の都合上、蒲郡に15:00には絶対到着しなければいけなかったので、余裕を見て14:00着で考えても夜中の2:00には出発しないといけない。ただ、帰りは輪行で決めていて、蒲郡からはJRで帰ってくることになりそうなので、疲れ切って帰ってきてJR奈良→近鉄奈良を自転車担いで歩くのは嫌、だったらスタート地点をJR奈良にして3:00スタートにすればいい、と考え、車でJR奈良まで自転車持っていってそこからスタートしました。

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意気揚々とJR奈良駅を出発したところ。

163号線沿いのサークルK笠置店。20km弱を50分くらいで、ペースはそれほどよくはないけれど、夜道なので慎重に走っていたこともあり、予定通りと言えば予定通り。ここに4:00過ぎに到着できたので、伊賀上野を6:00に出れたら予定通り行ける、と思ってたので順調順調と思ってました。

冒頭の動画は、このコンビニに到着する直前くらいです。交通量の少ない、民家もほとんどない夜道を走るのはなかなかに心細いものがありましたが、少し明かりがあるところのナイトライドは、それだけで非日常を味わえ、走っているとき以上に振り返って「刺激だった」と思える経験になるので、事故に遭ったのに言うのもなんですが、お勧めではあります。都市部のナイトライドならいいのではないでしょうか。

繰り返しですけど、「独走」というのは、何かあっても何があっても自分の責任と覚悟を決めて走る態度です。もちろん、僕を轢いたドライバーは悪いのは悪いですからその補償をしてもらわなければいけないですが、そういう「責任」ではなく、自分で「やりたい」と決めてやっていることなんだから、運の悪ささえ独り背負い込むような、そういう態度のことです。だからこそ、単に自由気ままに走るというのではなくて、「孤独の愉しさ喜び」が判るし、判った上で、人と一緒に走る楽しさも判るのだと思います。

”悲しみを知り 独りで泣きましょう”

また転倒

また転倒。これだけコケると自分の運動神経を疑わざるを得ないんだけど、コケるのは決まってなんでもないライドの時。油断していると言えば油断してるけど、今日のに至ってはたぶん15km/hも出てないような走りでハンドルを失って転倒。幸い、TRANSITの皆さんと走ってたので助かりましたが、落ち着いた今、冷静に原因を考えてみると: 
  •  前回もそうだけど、なんでもないとこでハンドルを失ってる。もしかして、緩くなっててハンドルが動いている?→今日、向井さんに締めてもらったのでここは安心。
  • フラットペダルで感覚が狂った。でも前回はビンディング履いてたので、これは今回に限る。
  • 睡眠不足。でもこれも今回限り。
  • タイヤの異常。前回と今回はタイヤは入れ替えているので直接的には関係ないけど、そろそろ新調したほうがいいのか。タイヤの異常とはどういうものがあるのか、どういうときに変えるべきか調べる。
  • リアフレームの異音。今回、今まで室内用で使っていたリアを初めて外で使ったんだけど、段差を踏むたびに気になる音がした。それに気を取られていた気もする。

総じて、油断していることは間違いない。でもあまりに気を張り詰めすぎていると楽しくないし、長く走れない。この辺はいつも課題。とにかく、大怪我せずに済んだことと、TRANSITの皆さんが一緒にいて助けてもらえたことに感謝です。

街の本屋で本を買う - 2013/04/26 紀伊國屋書店グランフロント大阪店

posthaven移行初めてのエントリは、紀伊國屋書店グランフロント大阪店。

まず最初にどうしても書いておきたいことがあって、これはたぶん開店初日だった昨日だけのことだと思うけど、書店関係者の方と出版関係者の方と思しき方々が、方々で書店の通路を塞いで名刺交換しているのに出くわした。そうでなくても大混雑している初日に、客を押しのけて名刺交換してどうもどうもとやっているのは見苦しいし迷惑だし紀伊國屋書店の店員に対してはいったい誰を見て商売しているのかと言いたくもなります。

今回はたまたま、日経夕刊のプロムナードで小林秀夫と河上徹太郎の上機嫌対談が収録されたCDが『考える人』についてくると知って買おうと思っていたところにグランフロント大阪が今日からオープンというニュースが目に入り、それならとグランフロントの紀伊國屋書店に。

しかし確かに噂に違わぬデカさでした。メガ書店はもう慣れっこですが、それでもこのデカさは凄いな~と思ったのと、好感も持ちました。それはたぶんワンフロアだったからで、このつくりはMARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店のような複数階より良いと思います。延べ床面積はあちらのほうが広いかも知れませんが、メガ書店の良さというのはワンフロアでつくることによって出るんじゃないかと感じました。保有する書籍の数は同じでも、むしろ複数階のほうが多くても、ある一定量を超えたら書籍数自体はそれほど問題ではなく、「すべてを見通せている」という、視覚的な満足感が来店満足度を上げる気がします。これは複数階店だけでなく、ネット書店でも味わえないことです。

目標の書籍にすぐ辿り着けるか、というと、これだけのデカさなのである程度配置を知らないと難しいですが、概ね判りやすい配置だと思います。エスカレーターから上がってきたらすぐ雑誌コーナーになり、その流れで文庫本コーナーになるのは親切かも。たいてい、単行本コーナーを前面に出してると思うんですが、文芸単行本コーナーはそんなに押し出しの強い場所ではなかったです。もちろん新刊コーナーは目立つ位置にありました。それと、同じ本を大量に表紙を見えるように棚に並べ尽くす陳列、あれは意外と効果ありだと思いました。

KINOナビ。しばらく紀伊國屋には行ってなかったので、KINOナビが既存店舗には既にあるものなのか新しく登場したものなのか知らなかったですが取りあえず使ってみました。小林秀夫を買おうとして丸谷才一を思い出すという。しかしなぜかその時、「丸谷才一」という名前も『エホバの顔を避けて』という署名も思い出せず、「河出書房新社」だけしか思い出せなかったので「河出書房」で検索したのですがもちろん大量過ぎて全然見つけられず。仕方なくケータイで自分のメモを見直して、「丸谷」で検索し、出てきた一覧から「丸谷才一」の著者名で絞り込みにしたら、なぜか『エホバ~』が出て来ない。今度は『エホバ』で検索したら、3冊目くらいに『エホバの顔を避けて』が出てきた。なんだろう?と思いつつ、所在地を調べてそこへ。

KINOナビの操作性自体は反応もよく、速くてよい端末だと思います。なにせ店舗がデカいので、状況によってKINOナビを有効に使ったほうがよいかなと思いました。

4309021735 エホバの顔を避けて (KAWADEルネサンス)
丸谷 才一
河出書房新社 2013-02-23

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首尾よく見つけることができて、レジに向かう途中、平積みになっていた本に反応。思わず買ってしまう。

4140883952 知の逆転 (NHK出版新書 395)
ジャレド・ダイアモンド ノーム・チョムスキー オリバー・サックス マービン・ミンスキー トム・レイトン ジェームズ・ワトソン 吉成真由美
NHK出版 2012-12-06

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店舗が大き過ぎて、エレベーターの周囲の通路も跨いだつくりになってるので、レジの済んでない本も一旦店舗の外に持ち出さざるを得ない場所があるんだけど、特に問題なく買い歩くことができました。メガ書店はどこも一緒だと思ってたけど、ここは意外と気に入るかも知れません。 

しかしposthaven... 意外と使いにくい。

  • 貼り付けた写真がエディット中に見えない。
  • Googleと連携してない。
  • facebookとも連携してない(autopostはできる)。
  • タグが自動入力されない。

永久保証の代償がこれか・・・。仕方ないのか。

独走会 - 興福寺南円堂・北円堂

これ見たら行っちゃうでしょう!金曜、東京出張の新幹線でこのポスター見て、品川駅の通路脇両サイドにずらーっと並ぶ液晶モニタ全部が映し出すこのヴィジュアル見て感動。朝8:00に出発して繰り出したのです。

 

ほんとはその興福寺も含む南都仏教の堕落を嫌って興福寺から笠置寺に移ったと言われる貞慶が最後に移った海住山寺まで行こうと思ってたのですが時間がなくそれはまた次回。ラストに20%越えの激坂が2,3km続く難コースらしい。

 

久し振りに鹿せんべい買いました。このバンビのほうに気づけなくて、たぶんせんべいにありつけてないと思う。ありつけた親に対して怒ってるのか、そっぽ向いてます(笑)

 

謝る親(笑)


興福寺の駐輪場は、国宝館の真ん前にあります。駐輪場というか、なだらかな丘になってる芝生?地なので、「ほんとにいいの?」とちょっと思います。


8:40くらいに着いて、鹿と戯れたりして、そろそろ9:00かな~と拝観券売り場探してうろうろしたら、もうすでに長蛇の列!いつも思うんだけどそんなに興味ある人いるの!?って。

ICOCA/SUICA/PiTaPaを持ってると100円引きでした。たぶん、車で来てないからということのような気がするけど、僕、自転車です。


南円堂は通例年一日しか公開日が無いそうです。本尊は不空羂索観音坐像。真正面の御姿は非常に迫力があります。自分の視界をすべて埋め尽くしてくるような押し出し感があります。でも威圧感ではないところが素晴らしいです。

 

南円堂から拝む三重塔。意外な撮影スポットでした。

 

北円堂へ。

 

南円堂も北円堂も四天王像があるのですが、南円堂と北円堂でも四天王像の趣ががらっと違っていて、その見比べだけでも楽しめます。

 

「よく観察しましょうね」と子どもに話してる親がたくさんいて、スケッチの課題かなんかが出る学校が多いんでしょうか?堂内は写真はもちろんスケッチも禁止で、あの子たちは自分の記憶を頼りに像を描くんだね~。凄い。


チケットもカッコ良い。一角は最初の段階で切られてたのかな?南円堂・北円堂がそれぞれ左上・右上の角になってました。おまけの「にほひ袋」もかわいい。あと、南円堂は土禁なので、靴袋をくれるのですがこれもまたかわいかったです。

 

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おまけは、興福寺を出て、お気に入りのパン屋「ノモケマナ」に向かうルートです。奈良ホテルをかすめます。

2012/04/15-2012/04/21の振り返り / 独走会 - 醍醐寺

本エントリがこのposterous最後のエントリ。

花粉症の時期も終わり、気候もよくなり、いよいよツーリングにもってこいの季節になってきたというのに、天気予報は土曜の午後から雨!ということで、早朝出発して大津まで走って、その後京都まで戻ったら13:00くらいなのでそこから輪行で帰ろう、という予定だったのですが、ルート確認が曖昧で途中で大幅に時間を食いつぶし、挙句GARMINにガイドさせてみたら、醍醐山を横断せよというルートを案内されていることに途中で気が付き、引き返して大通りに出ようとした醍醐寺境内でリアがパンク、もうムリ、と大津は諦めたのでした。

でも、通り掛からなければ知らなかったし、走りに来ようという候補になかったお寺なので、これもいい機会。コースも行先も気の向くまま、偶然を楽しめるのがツーリングのいいところ。走ってるときは「なんでだよ~GARMIN!」と苛立ってましたが(笑)。

 

仁王門。既にパンクは修理済み。この近くでパンク修理してたら、結構貫禄のある高齢のお坊さんが「パンクですか?」と声をかけてくれました。「すみません、こんなところで」「いえいえ、構いませんよ。ゆっくりなさってください」後で遠目にお坊さんを見かけたとき、追いかけて声を掛けさせてもらえばよかったです。


金堂。意外と金堂に近づく人が少なかったです。


五重塔。なんかちょっとスマートな感じ。五重塔で淡い朱色はあまり見たことがなく、珍しかったです。

 

観音堂。中には後から入れます。観音堂の中で、御朱印を頂けます。3種類ありますが、御本尊と観音様を頂きました。

醍醐寺は世界遺産で、上醍醐・下醍醐・三宝院と境内も広くみどころたくさんで、今回見て回ったのはほんの少しだったのですが、少し立ち寄ったというのもまた悪くないもんだと思っています。


動画は、醍醐山を引き返してきて醍醐寺の境内に入り、パンクして落胆するまで(笑)。

  • 一週間がやたらに早い。
  • ひとつの物事について、要・不要に関わらず探りまくる。
  • 腹の立つこと、面白くないことが続くときは、一旦無神経になる。
  • 責任感を悪用されないように立ち回る。
  • まだまだ足りないとは言え、瞬発的にカウンターを出せたことは自分で評価できる。
  • 固有名詞。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』/村上春樹

何と言っても最大の特徴は「短さ」だと思います。

最近、海外文学の翻訳を読んでいてつくづく思うのは、「長い」ということ。長い小説が嫌いな訳ではないけれど、時間が掛かるのです。電子書籍のいちばん有難いのは「可搬性」で、持ち物の多い通勤時、重くてかさばる本を持ち歩かなくても、電子書籍ならいつでも読めるというのがいいんだけど、それはさておき、「一定の塊の時間でもって物語を通読する」ことが難しい現代の現状をきちんと把握してなのか、本作はとにかく短いです。そして、読み進めるにあたっての勘所を丁寧に解説しながら物語を展開してくれます。基本的な線では読み間違えようがないくらい、丁寧に展開してくれます。

個人的に気になっているのは、「沙羅」が何色なのか?ということ。作中でもきちんと語られる通り、主人公である多崎つくる以外の登場人物は、すべて名前に色が含まれる。親友四人だけでなく、灰田も緑川も。でも、つくるが今現在の時間で向き合っている女性である沙羅は、直接的には色がついていない。敢えてこじつけて沙羅双樹で引っ張ってみれば白色か。または白色と黄色?しかし白と言えばつくるが惹かれていて、五人のバランスを壊す引き金となって、なおかつ殺されてしまったシロと重なってしまう。つくるが、つまりは人が惹かれるのはシロだということなのか?そうすると三日後、沙羅はどんな答えを用意するのだろうか?最後に救いがあるようで、また繰り返されるのだろうか?

もうひとつ、「そしてその悪夢は一九九五年の春に東京で実際に起こったことなのだ」。それが何故起こったのかと言えば、「我々が暮らしている社会がどの程度不幸であるのか、あるいは不幸ではないのか、人それぞれに判断すればいいことだ」。なぜ、僕たちは「自分達でそれぞれに」判断できないのだろう。誰かの判断を奉ってしまうのだろう。ナントカ系とかいうレッテルを、好き好んで自分に張り付けて、誰かの判断を受け入れてしまうのだろう。そうして、自分の判断を誰かに押し付けてしまうのだろう。自分がどんな色であるか、誰かがどんな色であるかは、それぞれ自分自身で決めればいいことだ。同じ色同士で集まるところには、「一九九五年の春に東京で実際に起こった」悪夢に通じる何かが潜んでいることに、もっと鋭敏にならないといけない。繋がりを重んじる前に、それが「繋がらない」を生み出していることや、まずは己が自分を判断できないのならそれだけで害悪であることに自覚的にならなければいけない。

4163821104 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹
文藝春秋 2013-04-12

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ダイバーシティについて

IT業界に勤めていてよかったなと思うのは、思想とか哲学とかの新しい概念のコトバが結構ITの現場から流用されていくので、早い段階でその要諦を「なんとなく」知れていることがあります。例えば最近だとアジリティとかヒューリスティックとかオートノミックとか(最近じゃないか)、あるいはIT業界はコンサルと近く、就労形態についても先端を行くところがあるので、メンターとかコーチングとかもかなり早くから馴染んでました。

そんな中、昨日書いたエントリでダイバーシティが出てきて、昨日は議論について考えたのですが、今日はダイバーシティについて、職業上触れてきて自分の課題となっている点について、書きます。

それは、「果たしてダイバーシティは金科玉条か?」ということです。

「みんなちがって、みんないい」の金子 みすゞに始まり、基本的に世の中みんな「多様性」礼賛です。これには、種を意地していくためには遺伝子レベルの多様性が有用である、つまり、いろんなバリエーションがあるほうが、いろんな危機に対して対応できる個体が存在する可能性が高まるので、種の絶滅を回避することができるから多様性万歳、という補強もされていると思います。

これに近い文脈で、システムの世界には「レジリエンス」という概念があります。回復力、といった意味合いです。システムがダメージを受け破損した際に、どれだけ柔軟に回復することができるか、という能力を指します。

Hiroshi Maruyama's Blogのこのエントリで書かれているように、ソニーCSL北野さんが頑健性には多重性・多様性・モジュール性の3要素があるとしているが、その中で「多様性」については果たしてどうだろう?という見方が最近あると思います。

例えば東日本大震災の被災地である東北地方が、日本の現在状況よりはるかに進んだ移民受入地となっていて、異なる言語を使用し異なる文化を持つ人々が同等割合で分布するような「多様な」地だったとしたら、あれほどまでに迅速で自発的な回復を遂げる行動が取れたでしょうか?あの回復は、それほど多様ではない、もっと言えば一様だったからこその迅速性がそこにはあったと思います。

ITの世界でも、ちょっと正確ではないですが、例えばオフィス環境を全部Windowsにしておくとウィルスとかに一遍にやられるからMacとかLinuxとかも配置しておきましょう、というのが多様性ですが、多様にすることによって複雑になり柔軟でなくなり迅速でなくなるデメリットはあります。そこで「オープン」が金科玉条だったIT業界でも、「垂直統合」と言われる、ぜんぜんオープンじゃないけど、上から下まで1ベンダーで固めてしまってるから安定しているし全体最適されてますよ、という言い方が登場してきました。

ITの世界の潮流は、多くは、世間の様々なところの思想としても広がっていくことが多いと思っています。レジリエンスと「多様性」についてのこの視点と、垂直統合の思想が、どういうふうに世間に広がっていくのか(あるいはいかないのか)、私は興味津々なのです。

議論について

数日前、ウェブ上で、有名ブロガーchikirinさんのブログ「chikirinの日記 for DU」の「「話し合って決める」という幻想」というエントリが物凄く取り上げられていて、興味を惹かれて読みました。私はchikirinさんの存在はさすがにもちろん知ってますが今まで読んだことがなかったですし、この「chikirinの日記 for DU」はマジメに読んでいいものなのかあるいは幾分扇動の入ったものなのか、そういうノリなのかどうなのかも判らないのですが、読んで思ったことがありました。

約めて言うと、このエントリで言われているのは、「議論するということに意味を見いだせない」ということで、「議論して、誰かの意見を放棄させることなんて言語道断で、各々、思っている通りに生きればいい」ということだと思うのですが、この、「議論して誰かの意見を放棄させる」というところに、違和感を感じた訳です。

私にとっての議論というのは、基本的に「自分の意見を変える」ために行うものだったからです。

もちろん、「なんでオレの言うことが判らないんだ!!」と頭に血が上ることも少なくないですが、少なくとも相手がなぜそう考えるかは、相手の話を聞かないと判らない。「話を聞く」ことと「議論」は違う、訳ですが、「話を聞」いて、その先で「議論」したときに何をしているかと言うと、私の場合は、「自分の考え方で変えられるところはあるか」というのを探っている作業になる訳です。

私は以前から、「あなたの”あなた”と私の”あなた”は違う」と言い続けているんですが、誰かとの意見交換(話を聞くのと議論とを明確に分けなければいけないのなら、敢えてこういう言い方をする)において、心がけているのは「主客をできるだけ入れ替える」ことで、自分が説得したいと思うなら相手もこちらを説得したいと思っていて不思議はない、という主客転倒と、止揚じゃないけど、ある考え方とある考え方が交わり否定しあうところでしか、新たな考えが出て来ない、ということです。

自分の意見を「言う」ということは、誰かにとっては私の意見を「聞く」ということです。ということは、誰かが意見を「言う」ときは、私は誰かの意見を「聞」かなければなりません。それぞれが独立して一方通行でそれでもいいのかも知れませんが、その一方通行の束を一つの行為をしてみたとき、そこに新しい考えの生まれるチャネルを見ることが出来ると思います。

街の本屋で本を買う - 2013/04/13 ジャパンブックス アントレ生駒店

去年もここで買ったの書いたよなと思ってバックナンバ見たら、まさかの同系列!

前回も”世界から「仕事」が消えてゆく”と銘打たれた『COURRIER』、今回も”未来の会社”がメイン特集の『WIRED』。自分が住んでいる土地で、仕事に関する本を買う。これは何かの符牒か。

歩きたくなる奈良の本』の大きなポスターが貼られていたので、そうそう、と思い出し手に取ってみましたが、もちろんいい本ですけれでも僕の結論を簡潔に言うと奈良県人としてはお金を出して買う本ではないなと。何故かと言うと奈良県人としてはこの内容の本ならなくても奈良を歩くことを愉しめるから。遷都1,300年前後、湯水のように出てきた奈良本を隈なく買って読みましたがそれはその当時の奈良ファンとしての思い。今、奈良ファンとしてやるべきことはそれではないと気づかされた本でした。

B00B7DKYFA WIRED VOL.7 GQ JAPAN.2013年4月号増刊
コンデナスト・ジャパン 2013-03-11

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4874354076 歩きたくなる奈良の本 (えるまがMOOK)
京阪神エルマガジン社
京阪神Lマガジン 2013-04-11

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『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATRO』一週間聴きました

五味兄さんのパートは「VOCAL」ではなく「THROAT」なのであります!

LOSTAGE初のライブ盤、『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATRO』、一般には4/3発売だったのですが、五味兄さんが奈良でやってるレコード屋THROAT RECORDSでは3/30に先行発売だったので、喜び勇んで買いに行ってきました。店舗は前々から知ってたんですが中々入る勇気が出ず、今回は明確に買おうとするものがあり一歩を踏み出しやすかったのです。兄さんはとても丁寧な方でした。

で、3/30に買って以降、その土日の時間あるときと、平日の通勤行き帰り、ずーっと聴いてたのですが、ライブアルバムっていいなあと言うのが最大の感想かなー。ライブアルバムと聞いて、僕は直近の『CONTEXT』がNEVERLANDでほぼ一発撮りと聞いてたのでそれと印象を比較するんですけど、音の生々しさ感の表情の違いもあるし、同じ一発でも「本当に戻れない感」というのと、「そこにオーディエンスがいる感」という良さがひしひしと出ます。

 

こんなにやったのね・・・という羨まし過ぎるセットリスト(笑)。アンコールで5曲も!(笑)

僕は『夜に月』がかなり好きで、このアルバムの中でのプレイでも『夜に月』がいちばんかな。サビんとこのコーラスの、CD音源みたいに(これもCD音源なんだけど)ボケてない加減が堪らなかったです。

 

シンプルなデザイン。

それにしても、五味さんの最後の「最高だったよー」というあの一言。ぜひ奈良でも一度、あのテンションで聞きたい(笑)。僕はせっかく奈良に住んでるので、出来るだけツアーは地元奈良のを観るようにしてるんですが、なんかNEVERLANDでやるときの五味さん、結構ボヤキ節が多い気がするし。確かにあんまり奈良って熱くならない気がするし(笑)。

でも思うんだけど、折角、奈良に拘って奈良でやってるんだから、月イチとかで地元でライブやってくれたらいいのになーと。もうちょっと、スケジュール発表を定期的にきちんとやってくれたら集客できそうな気がする。奈良って、なんか、イベントの告知がイマイチうまくない人とかハコとかが多い気がする。


ポスターに加えてもうひとつの店舗特典、マッチ!